極道の密にされる健気少年

安達

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冷血な極道

幹部の思い

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あれからソファであのまま寝てしまったようで駿里が起きるとベットの上にいた。そして横を向くと寛也がいた。ああ、幸せだなぁと駿里は寛也に抱きついた。この温かさが匂いが落ち着く。そうしていたら段々とまた眠気が出てきて再び目を閉じようとしたその時着信音がなった。駿里の携帯は没収されているため鳴っている音は寛也の携帯だ。誰からだろうと駿里が覗いてみると志方からだった。気になる…。寛也も松下も橘鷹たちのことを何も教えてくれなかった。その分好奇心から無意識のうちに寛也の携帯に手を伸ばしていた。そして応答ボタンを思わず押しそうになったその時体が急に反転した。





「え、ぁ、うわ…!!」




何があったのか分からなかった駿里だが一瞬のうちに寛也によって押し倒され仰向けに寝る形になった。その上に寛也はお互いが向き合う形で覆いかぶさってきたと思ったらあろう事か駿里の耳元に携帯を当ててきた。





『お疲れ様です組長。』





しかも寛也は通話ボタンを押していたようで志方は喋りだした。駿里がどうしようとあたふたしていると寛也に耳元で囁かれる。





「志方に聞きたい事があったんじゃねぇのか?ほら、聞けよ。」






志方には聞こえないほどの声量で駿里の耳元に口をよせ寛也がそう囁いてきた。その声に駿里はゾクゾクとする。そのせいで駿里は中々喋り出せなかった。そんな駿里を見て寛也は服の中に手を忍ばせてきた。





 「ちょ、やめっ…!」

『あ?駿里?なんでお前が電話に出てんだよ。』






思わず声を出してしまった駿里の声を聞いて電話越しに志方がそう問いかけた。その問いに答えようとした駿里だったが寛也のせいでそれが出来なかった。





「いや…っ、やめろ…っ。」






寛也はあろう事か忍ばせてきた手で乳首を摘んだり擦ったりしてきたのだ。そのせいで駿里はおかしな声ばかりでてしまう。だが志方は寝不足なのか疲れているのか駿里の言ったことに普通に言い返した。






『ん?やめろ?俺なんもしてねぇだろ。つかなんでお前が電話に出てんだよって聞いてんだろうが。組長はどうした?』

 「…っ、ちか、や、は……ぅ゛ふっ!」






執拗に乳首を擦られ摘まれ声を我慢しようと必死になっている駿里はまともに返せない。そんなことが続きやっと志方がおかしいと思ったようでなにかに耐えている様子の駿里に問いかけた。





『は?何お前、今何されてんの?』

 「ぅ…ふっ、……ん゛んっ!」





もう声を我慢できない。駿里が限界を突破して声が出ようとしたその時寛也が口を塞いできた。そのおかげで声が志方に聞こえることは防げたがその代わりに籠った声がこの部屋に響き渡る。ここまで来ればいくら疲れていようが寝不足だろうが分かるはずだ。駿里が今どんな状況なのかという事が。






『…組長。』
 
 「よぉ、志方。」

『何がよぉ、ですか。俺は駿里まだ会ってないんです。そんな可愛い声聞かされて生殺し状態にされたら溜まったもんじゃないです。まったく、尋問すんのやめて帰りますよ。』

 「悪い悪い。で?何の用だ。」

『それが例の件なんですが…今駿里が近くにいますよね?折り返します。それともメールにしましょうか?』

 「メールで頼む。」

『承知しました。では失礼します。』

 「ああ。切るぞ。」





そう言って寛也が電話を切ろうとしたが志方が「待ってください。」と言ってきたのでなにか言い残したのだろうと思い寛也は再び耳元に携帯をよせた。





 「なんだ。」

『帰ったら俺にご褒美として駿里を下さい。では失礼します。』

 「あ?おい。」




志方はそう言うと寛也の答えを待つことなく電話を切った。相変わらず失礼な奴だと思いながら寛也は笑うと携帯を放り投げ横で寝ている駿里を引き寄せた。そうすれば大体駿里は寛也を抱きしめ返すのだが今はムッとしていた。






「何だご機嫌ななめか?」

「当たり前だ…!」






そう言いながら嫌がる駿里を寛也は気にすることなく抱き寄せおでこやら頬やら口やら四方八方にキスを落とす。駿里はそれを拒否ろうと手を伸ばして寛也から離れようとするが寛也はそれを許さない。







「お前が勝手に電話に出ようとするからだろ?」

「それはっ…。」

「知りたい事があったのか?」

「…寛也に言ったら、教えてくれそうになかったから。」

「当たり前だ。しかもだからと言ってあいつらに聞こうとしてたのも感心せんな。俺が寝てると思って好き勝手しようとした罰を与えねぇと。」

「ちがっ、電話がなってたから俺は切ろうとして…!」







寛也の言った罰という言葉に駿里は震えあがる。軽率な行動がこんな結果を招くとは…。慌てて駿里は弁解しようとするも寛也には通用しなかった。







「お前さっき知りたい事があるっつってたろ。今更遅せぇよ馬鹿。」






寛也は完全に怒っていた。くそ、こうなったらもうこの手しかない。そう思った駿里は恥を捨てて愛嬌を出しながら上目遣いをする。

そして…。


 


「…見逃してっ、お願い寛也。」

「なんだその策は。誰から仕込まれた?まさか康二か?おいおいお仕置き案件を自分で増やしてどうすんだよ。嘘ついた罰も増やせねぇといけなくなっちまったのにそれも増えちまったじゃねぇか。」

「そんなっ、寛也、俺病み上がりだから…。」





そんなつもりじゃなかったのにお仕置きがどんどん増えてしまう。どの道されることには変わりないが駿里はお仕置きを先延ばしすべく咄嗟にそう言った。すると意外にも寛也は駿里の言うことを聞いてくれた。






「んー?なら仕方ねぇな。」





寛也にそう言われ本来なら喜ぶべきことなのに素直に駿里は喜べなかった。何年も一緒にいれば寛也の顔色を読むのは慣れたものだ。言葉ではそう言っているものの本心はきっとそう思っていない。





「…怒ってる?」

「ん?怒ってねぇよ。体調悪ぃなら仕方ねぇよ。元気になったらやればいい。」

「………っ。」





先延ばしにすればするほどきっとお仕置きの内容は酷くなっていくだろう。寛也にそう言われて駿里は黙り込んでしまう。そんな駿里の顎を寛也は掴むと返事を即してきた。






「返事は?」

「…はい。」

「まぁとりあえず今は何もしねぇからゆっくり休むといい。」






寛也がそう言ったからには暫くは手を出されない。その暫くの間は何も考えずにゆっくりと休もうと駿里はもう一眠りするかと目を瞑ったが寛也の携帯の着信音でなかなか寝付けなかった。






「ごめんな駿里、仕事の連絡だから音を切る訳にはいかねぇんだ。寝れねぇよな。」





口には出さなかったがなかなか寝付けない様子の駿里を見て寛也が申し訳なさそうにそう言った。そんな寛也に駿里はすぐそんなことないと首を横に振る。






「ううん、気にしないで。それより寛也は仕事に行かなくていいの?」

「あいつらがいるからな。任せとけばいい。俺はお前の傍から離れねぇよ。」

「…ありがとう。」






駿里は罪悪感はあったものの仕事より自分を優先してくれる寛也が素直に嬉しかった。嬉しくて強く抱きついた。寛也もまた、そんな駿里の行動が可愛くて口角が上がる。ちょうどその時誰かのお腹がなった。駿里だ。そういえばここへ帰ってきてから駿里は何も口にしていなかった。それではお腹もすくのも無理はない。






「はは、腹減ったか?」

「ちょっとだけ。」

「なら久しぶりに一緒に作るか。」

「作りたい…っ!」





嬉しさで溢れる駿里の返事を聞くと寛也はさぞ嬉しそうに駿里にキスを落とす。そしてそのまま駿里を抱きかかえキッチンへと向かい始める。






「何作る?」

「あ?パスタに決まってんだろ。」

「寛也はほんとに好きだなぁ。」

「お前もな。」






そう言って2人は笑いながらキッチンへと到着した。そこでやっと寛也は駿里を下ろすと下準備を始める。そんな調子で手際よく楽しく2人で調理をし完成したパスタはトマトパスタだった。






「美味しそう。」

「まだ食うなよ。」

「分かってるよ…!」






本当は味見としてつまみたい気持ちが上回っていたが寛也にそう言われて駿里はいじけたようにそう言った。






「はは、可愛いやつだな。」






寛也にそう笑われながら駿里はテーブルの上にできた料理を運んでいく。その間寛也はキッチンの片付けをしていた。そして駿里が盛り付けなどが終わる前に寛也の方が早く終わり駿里の手伝いに回った。







「もう終わったの?」

「ああ。俺は手際がいいからな。」

「はは、なんだそりゃ。」







本当は一緒に盛りつけをやりたいだけなんだろうな、というのが寛也からヒシヒシと伝わってきて駿里は思わず笑ってしまった。

そしてちょうどその時…。








ガチャ。




玄関の方から音がなった。





「…誰だろ?」

「待て。」





幹部の誰かが帰ってきたのだろうと思いで迎えに行こうとした駿里だったがそれを寛也は何故か止めた。






「多分あいつだな。駿里、お前は俺がいいと言うまでリビングから出るな。」

「わ、わかった。」






寛也が急に顔色を変え少し恐怖すら感じてしまった。そのためすぐに駿里は頷いた。それを見て寛也はリビングから玄関の方まで歩いていった。そしてそこには寛也の予想通り血だらけのスーツをまとった志方がいた。






「お前な…。」

「すみません。だけど俺だって駿里の無事を確認したいです。」

「まずは風呂に入ってこい。絶対にその姿を駿里に見せるな。そのスーツも捨てとけよ。」

「…はい。」

「それが終わったら駿里に会ってもいい。」

「え…?」




怒りのあまり帰れと言われると思っていた志方だったが寛也の予想外の言葉にその場に立ち尽くした。そんな目を丸くして立ち尽くす志方に寛也は再び声をかける。





「なんだ。聞こえなかったのか?駿里に会っていいと言ったんだ。」

「…ありがとうございます。」

「終わったらだぞ。早く風呂入ってこい。」

「はい!」





志方は寛也にそう言われるやいなや勢いよく返事をすると大急ぎで服を脱ぎ風呂場に直行した。そんな志方を見て寛也は思わず笑いが込み上げた。そして駿里が待つリビングへと戻って行った。






「志方さんだった?」

「ああ。お前に逢いたくてうずうずしてたが汗臭かったから風呂に入らせた。」

「はは、仕事終わりだもんね。」

「そうだな。」





寛也はそういった後、駿里に志方を待っとこうと言ったので駿里もそれに賛成をした。そして数分後急いでお風呂から出てきた志方がリビングに来るやいなや駿里を目掛けて走ってきた。そして駿里は気付かぬうちに志方に抱きしめられていた。




「うふ゛っ…!」




笑顔で出迎えようとした駿里だったのに突然前触れもなく志方に抱きしめられうめき声のような声が出てしまった。そんな駿里を見て少し力が強すぎだと寛也がすぐさま止めようとする。




「志方。」

「あと10秒だけです。お願いします。」

「たく、仕方ねぇな。」





寛也もそうだった。駿里に会いたくてたまらなかった。その我儘を聞いて武虎らの処理の全てを志方に頼んだ。志方はそれを何も言わずに受け入れ頼まれてくれた。それを思えば寛也は志方の事を許すしかなかった。まぁ厳しい条件付だったが。それでも志方は許された時間で駿里を感じだ。ここ数日会えなかった寂しさと不安を埋め尽くすようにして。
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