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番外編
誰かここから出して * 最終回
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「ゆ゛、っ、る、し、て゛っ、ぁぁ、あ゛っ…!」
「甘ったるいこと言ってんじゃねぇよ。まだ終わらせねぇ。相当なお仕置きが必要だって俺は言っただろ?」
「えく゛っ、ぅ、ぁ…い゛っ、ゃ、ぁ、むっ、りぃ゛っ、う゛ぅっ、」
まだ終わることがないんだ。その事実を突きつけられた駿里はこぼれ落ちてくる涙を止めることができなくなっていた。散々松下達に虐められた後ということもあり辛いのだ。何度も失神しては起こされるということを繰り返している。ペニスにつけられた玩具も外されることなく動き続けている。亀頭から尿道、そして裏筋までも満遍なく刺激してくる。それに加えて寛也の激しい容赦ない攻め。駿里はまたもや意識を失いそうになっていた。
「まじ泣きじゃねぇか。さっきまでの威勢はどうした…っておいおい、意識飛ばすなって何度言えばわかるんだ。言うことが聞けないようならまた薬使うか?」
「…ひっ、ぃ゛、や!」
「なら頑張れ。俺が出すまで意識を保てたら解放してやる。」
駿里は寛也にそう言われると今にも目の前が暗転しそうなほど疲れきった体にムチを打ち必死に目を開けた。意識を飛ばさないように必死に耐えた。その駿里の姿が寛也にとって健気で美しく愛くるしいかった。
「い゛っ、ぁ、うぅ、えく゛っ、うぅ、が、ま、っ、ん…ぁ゛!」
「そうだ。我慢だ。良い子じゃねぇか。」
そう言うと寛也は駿里の口に噛み付くようにキスをした。そのまましばらく駿里の口内を犯すように舌を動かす。すると寛也は絶頂をが近いようでピストンを早めた。駿里は前立腺や結腸、ペニスを刺激され続けたせいで少しピストンが早くなっただけで再び潮を吹いてしまった。その時思わず失神しそうになるのに耐えた。そんな調子で耐え続けていると寛也はいつの間にか達していた。そして玩具もいつの間にか取られていた。どうやら寛也が絶頂に達したと同時に取ってくれていたようだ。やっと…やっと終わったんだ。解放される。嬉しくて安心していたが連続で達していた駿里はまだ身体をビクビクと痙攣させていた。そんな駿里を寛也は優しく撫でた。駿里が顔を少しだけ上げてその寛也の表情を見ると見たことがないほど優しい顔をしていた
そしてーーー。
「約束は守る。眠っていいぞ駿里。よく頑張ったな。お前は偉い子だ。」
寛也は先程の怒りが綺麗に無くなっていた。駿里を抱いたことで満足感に浸ったのであろう。眠る駿里に優しくキスをすると腫れ物を扱うかのように優しく抱きかかえた。そんな自分をみて寛也は思わずため息をついた。らしくないことをしている。殴って恐怖で支配して飽きれば捨てる。愛人はいつもそんな扱いだった。自ら風呂に入れて綺麗にするなんてことは考えられないことだ。それなのに何故か駿里だけは今までの奴らとは違って近くにいると不思議な気持ちになる。これまでなかった感情だ。如何したものかと寛也は頭を抱えながら駿里の身体をを綺麗に流した。
「…寒くねぇか?」
寛也は眠っている駿里にそう問いかけた。もちろん駿里からの返事はかえってこない。鳥肌はたっていないから寒くはないだろう。それを確認すると寛也は駿里を抱きかかえて風呂場から出た。身体が冷えないうに手際よく駿里の体を吹き乾かすと再びベットに戻り駿里を寝かせた。そして寛也は自らの体を拭くために再び風呂場へ戻って行った。
「くそ…調子が狂う。」
無意識にやっていたが今寛也は自分の事は後回しにしていた。いつも自分優先でなんなら何もかも愛人やらせていた。ベットの後処理も風呂場の掃除も…。なのに気づけば眠ってしまった駿里を綺麗に洗い、しかもベットまで運んでいた。急に我に返った寛也は自分自身がした行いに対してため息をついていた。そんなことを考えながら体を吹いて髪を乾かして服を着ていると誰かが来たようでドアが開く音がした。寛也は誰が来たのかと確認するためにリビングへと足を進めて行った。
「…なんだお前か。どうした森廣。」
「お疲れ様です組長。松下らのことを謝罪にと伺いました。」
「ああ。そんなことか。お前は何も気にしなくていい。あいつらはまだ子供だからな。ちょっと今回は羽目を外しすぎたがあいつらの事だ。俺が酷い事をするとでも思ったか?」
森廣は寛也がそういったことが予想外だった。駿里の事をもしかしたら殺しているのではないかという最悪の事態すら想定していたほどに。だから森廣は直ぐに返答をすることが出来なかった。
「………寛大なお心に感謝します。」
「まぁ、軽くはあっても処罰は下すがな。」
「そうですね。何も無いとあいつらは反省しませんから。」
「ああ。」
会話にひと段落着くと森廣は駿里の存在がこの部屋にないことに気がついた。
「…そういえばあの子は何処にいるのです?」
「駿里のことか?あいつは今寝ている。」
「誠ですか。私が起こしてきましょう。少々お待ちください。」
森廣は焦った。愛人が寝ているなんてあってはならない事だからだ。寛也の世話をさせなければいけない。だから直ぐに駿里を起こしに行こうとしたが…。
「いや、いい。このまま寝かせろ。」
「…良いのですか?」
「俺がいいって言ってんだからそうしろ。それともなんだ。お前は俺になんか文句でもあんのか?」
「いえ。失礼しました。」
寛也は深々と頭を下げる森廣に『もういい。』と言うとずっと前から気になっていたことを森廣に聞いた。
「森廣、康二達は今どこにいる?」
「事務所です。余程反省したようでもう可哀想なほどにしょぼくれてましたよ。組長に嫌われたとでも思っているのでしょう。」
「そうか。ならあいつらの処分はお前に任せる。3日分の仕事でも与えてやれ。それで十分だろう。さっき酷く怒ったしな。」
「承知しました。」
「ああ。頼む。」
「では、私はこれで失礼致します。」
「ああ。」
寛也は森廣がこの家を出た後、駿里が眠っている寝室へと向かった。そして自身も休もうとベットに腰掛けた時、駿里の体がビクリと動いた。どうやら起きているようだ。
「駿里起きてるのか?」
そう言いながら寛也が駿里の顔に手を伸ばすと駿里はビクビクと身体を震えさせた。猫のように体を丸くさせている。そんな駿里をみて寛也は優しく問いかけた。
「そんなに怯えなくていい。今は何もしねぇから。」
「………っ?」
何もしない。寛也がそういったことが信じられなかったのか駿里は目を丸くしていた。ヤクザの男が約束だなんて守ると思っていなかったからだ。そんな駿里をみて寛也は思わず笑いが込み上げた。
「なんだそのとぼけた顔は。こう見えても俺は約束だけはちゃんと守んだよ。それよりお前飯、食ってねぇだろ。」
そう言うと寛也はリビングへと足を進めた。そして数分後帰ってくると寛也の手にはおぼんがあった。駿里のために軽くご飯を作ってくれていたようだ。だが駿里は身体を強ばらせた。何が入っているか分からないからだ。先程松下らに薬を飲まされたことが相当トラウマになっているようだった。その駿里の緊張が伝わった寛也は毒味をするように作った料理を自身の口に運んだ。
「毒なんて入ってねぇよ。そんなに心配なら俺が味見してやる。」
普通に寛也が食べた姿を見て駿里は何も入っていないことは信じた。だが、こんな状況で食欲なんてわかなかった。
「ごめ、んな、さっ、ぃ…お腹、すいてな、なぃ、です…。」
「そうだよな。悪かった。痛めつけられたお前の姿を見て理性が効かなくなっちまってよ。とりあえず今は何もしねぇからゆっくり休め。」
そう言うと寛也は駿里の頬を撫で駿里が眠りにつくまで背中をさすり続けた。
「お前は太陽みたいな奴だな。」
駿里が眠りにつく直前に寛也がそう呟いた。その意味はこの時は分かっていなかった。疲労が勝ってしまった。駿里は寛也にその意味を聞くことが出来ないまま眠りについた。
ーー1年後ーー
「ってことあったの覚えてる?すーっごい前の話なんだけどさ。」
リビングでまったりと過していた駿里はキッチンにいる松下にそう言った。
「あったなぁ。そんな事も。」
「俺あの時康二さんのこと大っ嫌いだった。」
「わざわざ言うなよそんな事。傷つくだろうが。」
冗談でも嫌いと言われるのが嫌な松下は駿里の頭を軽く叩いた。
「はは、ごめん。」
その流れでちょっかい出そうとしてくる松下を綺麗に交しながら駿里をふと思い出したことを口にした。
「あの時さ、寛也が俺のこと太陽だって言ったんだ。その意味わかんなくてさ。でも俺未だに寛也に聞けてないんだ。」
「…そうかよ。じゃあ今日聞いてみろ。そろそろ組長が帰ってくる時間だからよ。」
松下はその太陽の意味をどうやら知っているようだ。教えてくれてもいいのにと駿里は少し不貞腐れる。だがこの様子だと松下は教えてくれそうにないので腹を括ることにした。
「…緊張する。」
「何今更恥ずかしがってんだ馬鹿。ほら、噂してりゃ組長帰ってきたぞ。俺は帰るからな。」
「え、待ってよ…っ!」
すぐさま帰ろうとする松下の手を駿里がすかさず掴んだその時ーーー。
「なんだお前らまた喧嘩してんのか。」
寛也が帰ってきた。
「違いますよ。またってなんですか。」
「はは、そう怒るなよ康二。ならどうしたんだ。俺にはお前らが揉めてるように見えたぞ。」
「駿里が組長に聞きたいことがあるみたいですよ。」
「俺に?」
「はい。では俺はここで失礼しますね。」
松下はそう言うと駿里に頑張れよっと言う視線を送りこの家を後にした。そんな松下をみて状況がまだ掴めていない寛也は駿里の元に向かう。
「駿里、話してみろ。」
「…えっ、と…あのさ、昔寛也にいわれたこと、なんだけど…。」
「ああ。」
駿里は恥ずかしくてなかなか言い出せなかったが寛也は黙って待ってくれた。そしてようやく言う自信がついた駿里はよし、と腹を括り寛也に聞く決断をする。
「俺の事『太陽』って言ったの覚えてる?」
「なんだ。そんなことか。」
「…寛也にとって太陽ってどんな存在なの?」
「んな事適当でいいんだよ。お前が好きなように解釈しろ。」
「え…っ、なんだよそれぇ…。俺凄い頑張って聞いたのに…。」
「そうかそうか。今日も可愛いやつだな。」
そう言って寛也は台所の方へ行ってしまった。なんか…はぐらかされた気がする、と駿里は少しいじけながらも寛也が仕事から帰ってきた嬉しさをひしひしと感じながらクッションを抱きしめていた。そんな駿里を見ながら寛也はボソッと呟いた。
「お前しか見れねぇってことだ。」
太陽はどこにいても存在を感じさせてくれる。それが夜であっても。月に代わって光を照らす。寛也にとって駿里はそんな存在なのだ。どこにいても駿里の事が頭の片隅にある。いつもいつも思っている。そんな事言えるわけねぇだろと寛也は心で呟きながら可愛くて愛おしい駿里の元に帰っていくと強く抱き締めた。
「く、苦しい…っ。」
「我慢しろ。」
「いやだぁっ、はなせ…!」
そんな毎日が幸せだ。2人はいつまでも幸せな日々が続くように愛する人と笑顔の絶えない日々をこれからも過ごしていくだろう。
ーーーーここから出してend
「甘ったるいこと言ってんじゃねぇよ。まだ終わらせねぇ。相当なお仕置きが必要だって俺は言っただろ?」
「えく゛っ、ぅ、ぁ…い゛っ、ゃ、ぁ、むっ、りぃ゛っ、う゛ぅっ、」
まだ終わることがないんだ。その事実を突きつけられた駿里はこぼれ落ちてくる涙を止めることができなくなっていた。散々松下達に虐められた後ということもあり辛いのだ。何度も失神しては起こされるということを繰り返している。ペニスにつけられた玩具も外されることなく動き続けている。亀頭から尿道、そして裏筋までも満遍なく刺激してくる。それに加えて寛也の激しい容赦ない攻め。駿里はまたもや意識を失いそうになっていた。
「まじ泣きじゃねぇか。さっきまでの威勢はどうした…っておいおい、意識飛ばすなって何度言えばわかるんだ。言うことが聞けないようならまた薬使うか?」
「…ひっ、ぃ゛、や!」
「なら頑張れ。俺が出すまで意識を保てたら解放してやる。」
駿里は寛也にそう言われると今にも目の前が暗転しそうなほど疲れきった体にムチを打ち必死に目を開けた。意識を飛ばさないように必死に耐えた。その駿里の姿が寛也にとって健気で美しく愛くるしいかった。
「い゛っ、ぁ、うぅ、えく゛っ、うぅ、が、ま、っ、ん…ぁ゛!」
「そうだ。我慢だ。良い子じゃねぇか。」
そう言うと寛也は駿里の口に噛み付くようにキスをした。そのまましばらく駿里の口内を犯すように舌を動かす。すると寛也は絶頂をが近いようでピストンを早めた。駿里は前立腺や結腸、ペニスを刺激され続けたせいで少しピストンが早くなっただけで再び潮を吹いてしまった。その時思わず失神しそうになるのに耐えた。そんな調子で耐え続けていると寛也はいつの間にか達していた。そして玩具もいつの間にか取られていた。どうやら寛也が絶頂に達したと同時に取ってくれていたようだ。やっと…やっと終わったんだ。解放される。嬉しくて安心していたが連続で達していた駿里はまだ身体をビクビクと痙攣させていた。そんな駿里を寛也は優しく撫でた。駿里が顔を少しだけ上げてその寛也の表情を見ると見たことがないほど優しい顔をしていた
そしてーーー。
「約束は守る。眠っていいぞ駿里。よく頑張ったな。お前は偉い子だ。」
寛也は先程の怒りが綺麗に無くなっていた。駿里を抱いたことで満足感に浸ったのであろう。眠る駿里に優しくキスをすると腫れ物を扱うかのように優しく抱きかかえた。そんな自分をみて寛也は思わずため息をついた。らしくないことをしている。殴って恐怖で支配して飽きれば捨てる。愛人はいつもそんな扱いだった。自ら風呂に入れて綺麗にするなんてことは考えられないことだ。それなのに何故か駿里だけは今までの奴らとは違って近くにいると不思議な気持ちになる。これまでなかった感情だ。如何したものかと寛也は頭を抱えながら駿里の身体をを綺麗に流した。
「…寒くねぇか?」
寛也は眠っている駿里にそう問いかけた。もちろん駿里からの返事はかえってこない。鳥肌はたっていないから寒くはないだろう。それを確認すると寛也は駿里を抱きかかえて風呂場から出た。身体が冷えないうに手際よく駿里の体を吹き乾かすと再びベットに戻り駿里を寝かせた。そして寛也は自らの体を拭くために再び風呂場へ戻って行った。
「くそ…調子が狂う。」
無意識にやっていたが今寛也は自分の事は後回しにしていた。いつも自分優先でなんなら何もかも愛人やらせていた。ベットの後処理も風呂場の掃除も…。なのに気づけば眠ってしまった駿里を綺麗に洗い、しかもベットまで運んでいた。急に我に返った寛也は自分自身がした行いに対してため息をついていた。そんなことを考えながら体を吹いて髪を乾かして服を着ていると誰かが来たようでドアが開く音がした。寛也は誰が来たのかと確認するためにリビングへと足を進めて行った。
「…なんだお前か。どうした森廣。」
「お疲れ様です組長。松下らのことを謝罪にと伺いました。」
「ああ。そんなことか。お前は何も気にしなくていい。あいつらはまだ子供だからな。ちょっと今回は羽目を外しすぎたがあいつらの事だ。俺が酷い事をするとでも思ったか?」
森廣は寛也がそういったことが予想外だった。駿里の事をもしかしたら殺しているのではないかという最悪の事態すら想定していたほどに。だから森廣は直ぐに返答をすることが出来なかった。
「………寛大なお心に感謝します。」
「まぁ、軽くはあっても処罰は下すがな。」
「そうですね。何も無いとあいつらは反省しませんから。」
「ああ。」
会話にひと段落着くと森廣は駿里の存在がこの部屋にないことに気がついた。
「…そういえばあの子は何処にいるのです?」
「駿里のことか?あいつは今寝ている。」
「誠ですか。私が起こしてきましょう。少々お待ちください。」
森廣は焦った。愛人が寝ているなんてあってはならない事だからだ。寛也の世話をさせなければいけない。だから直ぐに駿里を起こしに行こうとしたが…。
「いや、いい。このまま寝かせろ。」
「…良いのですか?」
「俺がいいって言ってんだからそうしろ。それともなんだ。お前は俺になんか文句でもあんのか?」
「いえ。失礼しました。」
寛也は深々と頭を下げる森廣に『もういい。』と言うとずっと前から気になっていたことを森廣に聞いた。
「森廣、康二達は今どこにいる?」
「事務所です。余程反省したようでもう可哀想なほどにしょぼくれてましたよ。組長に嫌われたとでも思っているのでしょう。」
「そうか。ならあいつらの処分はお前に任せる。3日分の仕事でも与えてやれ。それで十分だろう。さっき酷く怒ったしな。」
「承知しました。」
「ああ。頼む。」
「では、私はこれで失礼致します。」
「ああ。」
寛也は森廣がこの家を出た後、駿里が眠っている寝室へと向かった。そして自身も休もうとベットに腰掛けた時、駿里の体がビクリと動いた。どうやら起きているようだ。
「駿里起きてるのか?」
そう言いながら寛也が駿里の顔に手を伸ばすと駿里はビクビクと身体を震えさせた。猫のように体を丸くさせている。そんな駿里をみて寛也は優しく問いかけた。
「そんなに怯えなくていい。今は何もしねぇから。」
「………っ?」
何もしない。寛也がそういったことが信じられなかったのか駿里は目を丸くしていた。ヤクザの男が約束だなんて守ると思っていなかったからだ。そんな駿里をみて寛也は思わず笑いが込み上げた。
「なんだそのとぼけた顔は。こう見えても俺は約束だけはちゃんと守んだよ。それよりお前飯、食ってねぇだろ。」
そう言うと寛也はリビングへと足を進めた。そして数分後帰ってくると寛也の手にはおぼんがあった。駿里のために軽くご飯を作ってくれていたようだ。だが駿里は身体を強ばらせた。何が入っているか分からないからだ。先程松下らに薬を飲まされたことが相当トラウマになっているようだった。その駿里の緊張が伝わった寛也は毒味をするように作った料理を自身の口に運んだ。
「毒なんて入ってねぇよ。そんなに心配なら俺が味見してやる。」
普通に寛也が食べた姿を見て駿里は何も入っていないことは信じた。だが、こんな状況で食欲なんてわかなかった。
「ごめ、んな、さっ、ぃ…お腹、すいてな、なぃ、です…。」
「そうだよな。悪かった。痛めつけられたお前の姿を見て理性が効かなくなっちまってよ。とりあえず今は何もしねぇからゆっくり休め。」
そう言うと寛也は駿里の頬を撫で駿里が眠りにつくまで背中をさすり続けた。
「お前は太陽みたいな奴だな。」
駿里が眠りにつく直前に寛也がそう呟いた。その意味はこの時は分かっていなかった。疲労が勝ってしまった。駿里は寛也にその意味を聞くことが出来ないまま眠りについた。
ーー1年後ーー
「ってことあったの覚えてる?すーっごい前の話なんだけどさ。」
リビングでまったりと過していた駿里はキッチンにいる松下にそう言った。
「あったなぁ。そんな事も。」
「俺あの時康二さんのこと大っ嫌いだった。」
「わざわざ言うなよそんな事。傷つくだろうが。」
冗談でも嫌いと言われるのが嫌な松下は駿里の頭を軽く叩いた。
「はは、ごめん。」
その流れでちょっかい出そうとしてくる松下を綺麗に交しながら駿里をふと思い出したことを口にした。
「あの時さ、寛也が俺のこと太陽だって言ったんだ。その意味わかんなくてさ。でも俺未だに寛也に聞けてないんだ。」
「…そうかよ。じゃあ今日聞いてみろ。そろそろ組長が帰ってくる時間だからよ。」
松下はその太陽の意味をどうやら知っているようだ。教えてくれてもいいのにと駿里は少し不貞腐れる。だがこの様子だと松下は教えてくれそうにないので腹を括ることにした。
「…緊張する。」
「何今更恥ずかしがってんだ馬鹿。ほら、噂してりゃ組長帰ってきたぞ。俺は帰るからな。」
「え、待ってよ…っ!」
すぐさま帰ろうとする松下の手を駿里がすかさず掴んだその時ーーー。
「なんだお前らまた喧嘩してんのか。」
寛也が帰ってきた。
「違いますよ。またってなんですか。」
「はは、そう怒るなよ康二。ならどうしたんだ。俺にはお前らが揉めてるように見えたぞ。」
「駿里が組長に聞きたいことがあるみたいですよ。」
「俺に?」
「はい。では俺はここで失礼しますね。」
松下はそう言うと駿里に頑張れよっと言う視線を送りこの家を後にした。そんな松下をみて状況がまだ掴めていない寛也は駿里の元に向かう。
「駿里、話してみろ。」
「…えっ、と…あのさ、昔寛也にいわれたこと、なんだけど…。」
「ああ。」
駿里は恥ずかしくてなかなか言い出せなかったが寛也は黙って待ってくれた。そしてようやく言う自信がついた駿里はよし、と腹を括り寛也に聞く決断をする。
「俺の事『太陽』って言ったの覚えてる?」
「なんだ。そんなことか。」
「…寛也にとって太陽ってどんな存在なの?」
「んな事適当でいいんだよ。お前が好きなように解釈しろ。」
「え…っ、なんだよそれぇ…。俺凄い頑張って聞いたのに…。」
「そうかそうか。今日も可愛いやつだな。」
そう言って寛也は台所の方へ行ってしまった。なんか…はぐらかされた気がする、と駿里は少しいじけながらも寛也が仕事から帰ってきた嬉しさをひしひしと感じながらクッションを抱きしめていた。そんな駿里を見ながら寛也はボソッと呟いた。
「お前しか見れねぇってことだ。」
太陽はどこにいても存在を感じさせてくれる。それが夜であっても。月に代わって光を照らす。寛也にとって駿里はそんな存在なのだ。どこにいても駿里の事が頭の片隅にある。いつもいつも思っている。そんな事言えるわけねぇだろと寛也は心で呟きながら可愛くて愛おしい駿里の元に帰っていくと強く抱き締めた。
「く、苦しい…っ。」
「我慢しろ。」
「いやだぁっ、はなせ…!」
そんな毎日が幸せだ。2人はいつまでも幸せな日々が続くように愛する人と笑顔の絶えない日々をこれからも過ごしていくだろう。
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