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番外編
通りすがりの女
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「痛い…っ、くそ寛也。」
駿里が朝目覚めるととんでもない激痛に襲われた。激しく抱かれることに慣れてきたというのに昨日はそれを遥かに超える激しさだった為か駿里の体は悲鳴をあげていたのだ。それに何より駿里が寛也に悪態をついた理由は…。
「そーんなこといってっとまた組長にお仕置きされちまうぞ。」
「余計なお世話だっ…!」
「なんだよ人がせっかく心配してやってんのによ。」
朝目覚めると目の前にいたのは寛也ではなく松下だったからだ。こんな痛々しい自分を置いて、仕事とはいえ行ってしまうなんて、と駿里はいじけてしまっていた。
「ほーら、まずは早くベットから出てこい。飯食うぞ。」
「動けないんだよっ…、ていうかそれよりも…っ、なんで康二さんがいるんだ…っ!」
初めは大袈裟かと思ったが体が本当に辛そうな駿里を見て松下はすぐに近くまで駆け寄り駿里を優しく抱きかかえた。お仕置きされていた為、腰は傷んでいるだろうと思ってはいたがここまでとは予想していなかった。あまりにも辛そうなので先程茶化したことを少しだけ後悔しながら駿里のことをリビングまで抱き抱えたまま運んだ。その最中先程駿里に聞かれたことを話し始めた。
「お前しばらく外出禁止だからな。俺はその見張り役ってわけよ。」
「え、なにっ、どういうこと…?」
「あ?お前耳悪ぃの?」
「悪くない!」
駿里にハッキリと聞こえた。「外出禁止」という言葉が。だがそれの意味がわからなかったのだ。なぜならもうお仕置きは済んでいる。なのになぜ外出禁止令が出されなければならないのか…と。松下も松下で駿里の反応を見て不思議がった。寛也から聞かされたことをそのまま言っただけであるし、駿里もその事を知っているはずだと思っていたからだ。だがこの反応を見るに知らされていなかったのかもしれない。
「じゃあなんだよ。まさかお前外出禁止のこと聞かされてねぇ感じ?」
「聞かされてない…っ。」
それもそうだ。駿里は昨日酷く抱かれた挙句に眠ってしまったのだから。寛也とまともに話す時間なんてなかっただろう。
「そうかそうか。まぁ今言ったからな。そーゆー事で。」
「…そんなぁ。」
駿里があからさまに落ち込んでいるのを見て松下はふっと笑った。そして駿里の近くまで行き頬を片手で優しく掴んだ。
「文句言ってっと俺が組長にすぐチクるからな。」
「ごめんなさい…。」
あぁ、可愛すぎる。健気に素直に謝る駿里が可愛くて仕方がない。松下はそんなことを思いながら駿里のおでこに軽くキスをした。駿里は若干それを避けようとしたがお仕置きが増やされることの恐怖からか大人しくされるがままになっていた。そして駿里は松下が数回の触れるだけのキスをして満足した姿を見ると口を開いた。
「…外出禁止ってどれくらい?」
「ざっと1週間ぐらいだ。」
「長い…。」
2日、3日だろうと勝手に予想していた駿里は1週間というワードを聞かされて机にふせた。すると松下はそんな駿里の隣の椅子に座り駿里を抱きかかえ、そのまま自分の膝に座らせた。
「そんな顔すんなって。俺と2人っきりだぞ?喜べよ。」
「喜べない。嬉しくない。」
「へぇ。悪い子だなぁお前は。」
気分が下がり松下に素っ気なく返事をした駿里だったが、松下がそういったことで鳥肌が立った。ゆっくりと松下の顔を見上げると彼はとても悪い笑みを浮かべていた。それを見た体が反射的に逃げようとするも…。
「おっと。逃がさねぇよ。」
松下に強く後ろから抱きしめられ逃げることが叶わなかった。こうなってしまえば松下が満足するまで解放されることはないだろう。
「やめろって、っ、寛也が帰ってくるから…っ!!」
「組長は夜まで帰ってこねぇよ。残念だったな。」
「最悪だっ…!」
そう言って駿里は松下から逃げようと手足をばたつかせる。
「どうしたんだよ駿里。今日はいつにも増して抵抗してくんじゃん。そんなに俺が嫌か?」
「当たり前だっ、離せっ!」
本気で嫌がられたことに少しだけ腹を立てた松下は駿里の頬を強めに掴んだ。そしえ逃げられないようにしてそのまま唇を奪おうとしたその時ーーー。
プルルルルル
誰かの着信音がなった。誰かと言っても今この場でスマホを持っているのは松下だけだ。そのため松下はその着信音を聞いて大きなため息をつく。
「なんだ圷かよ。」
「出ないの?」
「いや、念の為出る。仕事の話かもしれねぇから俺はあっちの部屋に行く。くどいようだが、絶対に家から出るなよ。」
「分かってる。」
そう言った駿里だったが松下が部屋に入るやいなや足を進めて行った。どこへだって?そんなの決まっている。玄関だ。このまま松下といては襲われてしまう。だから駿里はとりあえず外に出ることにした。寛也も夜まで帰ってこないようだし、それまでに帰ってくればバレないだろうと甘い考えを持ちながら…。
そしてそんなことになっているとは思いもしていなかった松下はリビングに戻ってきて苦笑いをした。
「やりやがったなあいつ。」
かなりの失態だ。ペナルティも高くつくだろう。なのに松下は何故かこの状況が楽しくてならなかった。そして今エレベーターの中にいるであろう駿里の元へと向かおうと準備をする。
「たく、鬼ごっこの開始だな。」
そう言うと松下は玄関の方へと足を進めていった。
駿里が朝目覚めるととんでもない激痛に襲われた。激しく抱かれることに慣れてきたというのに昨日はそれを遥かに超える激しさだった為か駿里の体は悲鳴をあげていたのだ。それに何より駿里が寛也に悪態をついた理由は…。
「そーんなこといってっとまた組長にお仕置きされちまうぞ。」
「余計なお世話だっ…!」
「なんだよ人がせっかく心配してやってんのによ。」
朝目覚めると目の前にいたのは寛也ではなく松下だったからだ。こんな痛々しい自分を置いて、仕事とはいえ行ってしまうなんて、と駿里はいじけてしまっていた。
「ほーら、まずは早くベットから出てこい。飯食うぞ。」
「動けないんだよっ…、ていうかそれよりも…っ、なんで康二さんがいるんだ…っ!」
初めは大袈裟かと思ったが体が本当に辛そうな駿里を見て松下はすぐに近くまで駆け寄り駿里を優しく抱きかかえた。お仕置きされていた為、腰は傷んでいるだろうと思ってはいたがここまでとは予想していなかった。あまりにも辛そうなので先程茶化したことを少しだけ後悔しながら駿里のことをリビングまで抱き抱えたまま運んだ。その最中先程駿里に聞かれたことを話し始めた。
「お前しばらく外出禁止だからな。俺はその見張り役ってわけよ。」
「え、なにっ、どういうこと…?」
「あ?お前耳悪ぃの?」
「悪くない!」
駿里にハッキリと聞こえた。「外出禁止」という言葉が。だがそれの意味がわからなかったのだ。なぜならもうお仕置きは済んでいる。なのになぜ外出禁止令が出されなければならないのか…と。松下も松下で駿里の反応を見て不思議がった。寛也から聞かされたことをそのまま言っただけであるし、駿里もその事を知っているはずだと思っていたからだ。だがこの反応を見るに知らされていなかったのかもしれない。
「じゃあなんだよ。まさかお前外出禁止のこと聞かされてねぇ感じ?」
「聞かされてない…っ。」
それもそうだ。駿里は昨日酷く抱かれた挙句に眠ってしまったのだから。寛也とまともに話す時間なんてなかっただろう。
「そうかそうか。まぁ今言ったからな。そーゆー事で。」
「…そんなぁ。」
駿里があからさまに落ち込んでいるのを見て松下はふっと笑った。そして駿里の近くまで行き頬を片手で優しく掴んだ。
「文句言ってっと俺が組長にすぐチクるからな。」
「ごめんなさい…。」
あぁ、可愛すぎる。健気に素直に謝る駿里が可愛くて仕方がない。松下はそんなことを思いながら駿里のおでこに軽くキスをした。駿里は若干それを避けようとしたがお仕置きが増やされることの恐怖からか大人しくされるがままになっていた。そして駿里は松下が数回の触れるだけのキスをして満足した姿を見ると口を開いた。
「…外出禁止ってどれくらい?」
「ざっと1週間ぐらいだ。」
「長い…。」
2日、3日だろうと勝手に予想していた駿里は1週間というワードを聞かされて机にふせた。すると松下はそんな駿里の隣の椅子に座り駿里を抱きかかえ、そのまま自分の膝に座らせた。
「そんな顔すんなって。俺と2人っきりだぞ?喜べよ。」
「喜べない。嬉しくない。」
「へぇ。悪い子だなぁお前は。」
気分が下がり松下に素っ気なく返事をした駿里だったが、松下がそういったことで鳥肌が立った。ゆっくりと松下の顔を見上げると彼はとても悪い笑みを浮かべていた。それを見た体が反射的に逃げようとするも…。
「おっと。逃がさねぇよ。」
松下に強く後ろから抱きしめられ逃げることが叶わなかった。こうなってしまえば松下が満足するまで解放されることはないだろう。
「やめろって、っ、寛也が帰ってくるから…っ!!」
「組長は夜まで帰ってこねぇよ。残念だったな。」
「最悪だっ…!」
そう言って駿里は松下から逃げようと手足をばたつかせる。
「どうしたんだよ駿里。今日はいつにも増して抵抗してくんじゃん。そんなに俺が嫌か?」
「当たり前だっ、離せっ!」
本気で嫌がられたことに少しだけ腹を立てた松下は駿里の頬を強めに掴んだ。そしえ逃げられないようにしてそのまま唇を奪おうとしたその時ーーー。
プルルルルル
誰かの着信音がなった。誰かと言っても今この場でスマホを持っているのは松下だけだ。そのため松下はその着信音を聞いて大きなため息をつく。
「なんだ圷かよ。」
「出ないの?」
「いや、念の為出る。仕事の話かもしれねぇから俺はあっちの部屋に行く。くどいようだが、絶対に家から出るなよ。」
「分かってる。」
そう言った駿里だったが松下が部屋に入るやいなや足を進めて行った。どこへだって?そんなの決まっている。玄関だ。このまま松下といては襲われてしまう。だから駿里はとりあえず外に出ることにした。寛也も夜まで帰ってこないようだし、それまでに帰ってくればバレないだろうと甘い考えを持ちながら…。
そしてそんなことになっているとは思いもしていなかった松下はリビングに戻ってきて苦笑いをした。
「やりやがったなあいつ。」
かなりの失態だ。ペナルティも高くつくだろう。なのに松下は何故かこの状況が楽しくてならなかった。そして今エレベーターの中にいるであろう駿里の元へと向かおうと準備をする。
「たく、鬼ごっこの開始だな。」
そう言うと松下は玄関の方へと足を進めていった。
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