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番外編
〜オメガバース〜 下した決断
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「やだっ、ぁ、おねがぃっ…。」
「辞めるわけ…あ?」
吉村が腰を進め陰茎の先っぽが駿里の後孔に入りかけた時、スマホの着信音が鳴った。
「チッ、いい所だったのによ。」
スマホに表示された通話相手を見て吉村は苛立ちをかくせていなかった。そしてスマホを手に取り乱暴に通話ボタンを押した。よほど面倒くさがったのだろう、駿里に聞かれてしまうのに吉村はスピーカにした。その為電話内容は駿里にも聞こえるようになった。
「もしもし松下さん。どうかされましたか?」
『組長に言われて俺と志方だけ今から帰ることになったからお前もう帰っていいぞ。仕事あんのに悪かったな。』
「…いえ。お役に立てて良かったです。お気を付けて。」
通話が終わった瞬間吉村は怒りが抑えられずスマホを床に思いっきり投げ捨てた。駿里はただただ怖かった。その怒りが自分の方に飛んでこないかと彼の様子を伺っていた。
「なんだよクソ!こんな時まで邪魔すんのかよ!でもバレたらめんどくせぇしなぁ。名残惜しいがさっさとこいつ風呂入れて帰るか。」
なぜこんな奴が松下に信頼されたのか駿里は不思議でならなかった。演技をしたとしても頭の良い松下は勘づきそうなのに。駿里はそんなことを思いながら吉村の様子を見ていた。するとその視線が伝わったのか吉村が自分の方を見てきた。
「また来るからな。俺の連絡先追加しとけよ。お前はもう俺のモノなんだから。言う事聞かないならこの動画拡散させるからな。あと、今日あったことはあいつらに黙ってろよ。」
「…はい。」
吉村が駿里につけていた拘束具を全て取り雑にお風呂に入れた。駿里は吉村に付けられた跡や拘束具によりついた傷を全て隠せるように首元まである服を着て大人しくしていた。
「じゃあな。またすぐに逢いに来てやる。」
そう言って吉村が帰っていった。今から帰ってくる松下と志方の二人に助けを求めればあいつから解放される。なのにそんな簡単なことが出来なかった。動画をばら撒かれるのが怖いんじゃない。ただ寛也や松下を傷つけたくなかったのだ。いつも助けられてばかりの皆に迷惑をかけたくない。大切な家族だから。自分のせいで余計な心配やストレスを与えたくない。
「俺が我慢すればいいんだ。」
駿里が出した決断は残酷なものだった。しばらく寝込んでいると玄関が開いた音がした。松下達が帰ってきたのだ。
「ただいま駿里。」
「お前まだ寝てたのかよ。寝坊助だな。」
「うるせぇよ松下。駿里、まだ体だるいのか?」
ああ、助けて欲しい。優しい2人の顔を見るだけて駿里は涙が零れ落ちそうになった。でも駄目だ。
「ううん、大丈夫だよ。」
「そうか。飯食えるか?」
「もうちょっとだけ寝る。」
「分かった。松下、行くぞ。」
志方が寝室を出ようと松下に言い、この部屋から出ていこうとした。だが、一向に松下がその場から歩こうとしない。どうしたものかと不思議に思った志方は歩いた道を戻り松下の所まで来た。いつものように駿里から離れたくなくその場を動かなくなったのかと思ったが表情を見る限りそうでは無さそうだ。
「松下…?」
「辞めるわけ…あ?」
吉村が腰を進め陰茎の先っぽが駿里の後孔に入りかけた時、スマホの着信音が鳴った。
「チッ、いい所だったのによ。」
スマホに表示された通話相手を見て吉村は苛立ちをかくせていなかった。そしてスマホを手に取り乱暴に通話ボタンを押した。よほど面倒くさがったのだろう、駿里に聞かれてしまうのに吉村はスピーカにした。その為電話内容は駿里にも聞こえるようになった。
「もしもし松下さん。どうかされましたか?」
『組長に言われて俺と志方だけ今から帰ることになったからお前もう帰っていいぞ。仕事あんのに悪かったな。』
「…いえ。お役に立てて良かったです。お気を付けて。」
通話が終わった瞬間吉村は怒りが抑えられずスマホを床に思いっきり投げ捨てた。駿里はただただ怖かった。その怒りが自分の方に飛んでこないかと彼の様子を伺っていた。
「なんだよクソ!こんな時まで邪魔すんのかよ!でもバレたらめんどくせぇしなぁ。名残惜しいがさっさとこいつ風呂入れて帰るか。」
なぜこんな奴が松下に信頼されたのか駿里は不思議でならなかった。演技をしたとしても頭の良い松下は勘づきそうなのに。駿里はそんなことを思いながら吉村の様子を見ていた。するとその視線が伝わったのか吉村が自分の方を見てきた。
「また来るからな。俺の連絡先追加しとけよ。お前はもう俺のモノなんだから。言う事聞かないならこの動画拡散させるからな。あと、今日あったことはあいつらに黙ってろよ。」
「…はい。」
吉村が駿里につけていた拘束具を全て取り雑にお風呂に入れた。駿里は吉村に付けられた跡や拘束具によりついた傷を全て隠せるように首元まである服を着て大人しくしていた。
「じゃあな。またすぐに逢いに来てやる。」
そう言って吉村が帰っていった。今から帰ってくる松下と志方の二人に助けを求めればあいつから解放される。なのにそんな簡単なことが出来なかった。動画をばら撒かれるのが怖いんじゃない。ただ寛也や松下を傷つけたくなかったのだ。いつも助けられてばかりの皆に迷惑をかけたくない。大切な家族だから。自分のせいで余計な心配やストレスを与えたくない。
「俺が我慢すればいいんだ。」
駿里が出した決断は残酷なものだった。しばらく寝込んでいると玄関が開いた音がした。松下達が帰ってきたのだ。
「ただいま駿里。」
「お前まだ寝てたのかよ。寝坊助だな。」
「うるせぇよ松下。駿里、まだ体だるいのか?」
ああ、助けて欲しい。優しい2人の顔を見るだけて駿里は涙が零れ落ちそうになった。でも駄目だ。
「ううん、大丈夫だよ。」
「そうか。飯食えるか?」
「もうちょっとだけ寝る。」
「分かった。松下、行くぞ。」
志方が寝室を出ようと松下に言い、この部屋から出ていこうとした。だが、一向に松下がその場から歩こうとしない。どうしたものかと不思議に思った志方は歩いた道を戻り松下の所まで来た。いつものように駿里から離れたくなくその場を動かなくなったのかと思ったが表情を見る限りそうでは無さそうだ。
「松下…?」
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