極道の密にされる健気少年

安達

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創始

160話 仕方ないじゃん

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「おいお前ら、流石にやりすぎたろ。その辺にしてやれよ。」

「圷さんの言う通りだっ…!」


抵抗するのも疲れた駿里はされるがままになっていた。既にかなりの時間が経っているのにやめようとしない2人に圷がそう言い、駿里に助け舟を出した。


「仕方ねぇな。俺は優しいから許してやるよ。」

「酷いの間違えだ。」

「あー、今なんつったの駿里?」


松下が起き上がろうとした駿里を再び押し倒した。


「何も言ってない。」

「嘘つけ。」


顔を背けた駿里の頬を掴んで松下は鼻先が当たるほど近づいた。恥ずかしさから顔が赤く染っていく駿里を見るのが楽しくて可愛くておでこにキスをしたり、ちょっかいを出し始めた。


「やめっ、近いよっ!」

「照れてんのか?可愛いな。」

「ちがっ、んんっ!」


駿里が口を開いた瞬間、松下は口に噛み付くようなキスをした。顔を手で固定して駿里の舌を絡め取り、歯茎を舐めた。ただ松下のディープキスはねちっこい。なかなか辞めてくれない。


「はぁ…はぁ…長いっ、もう、終わりっ、」

「おい逃げんなって。まだ満足してねぇんだよ。」

「んぶっ、んん…っ!」


再び唇同士が合わさり、舌がねじ込められた。しかも今度は、島袋まで悪ノリしてきた。初めは軽くキスをするだけだったが、その口が耳へと移動してきて舐める際に唾液の音が出るほど激しく舐められ始めてしまう。


「ん゛っ、んんっ!」


しかし、その島袋のおかげで松下に隙ができた。顔を抑えていた松下の手が下へと動いた為、駿里は顔が動かせるようになった。


「待って!」


駿里は顔を必死に背けて2人の攻めから解放されることができたが、すぐに再開されそうになり慌てて声を上げる。


「なんだよ。」

「お腹すきすぎて気持ち悪い……。」


これ嘘ではなく本当だ。駿里は長い時間何も口にしていないのだからそう言うのは無理もない。


「お前って奴はムードもクソもねぇな。」

「駿里らしくていいじゃん。」


椅子に座って優雅にコーヒーを飲んでいた圷が 気持ち悪い というワードに反応し、心配した様子で駿里のところまで来た。


「軽く食べれるもんならあるけど食うか?」

「食べる。」

「口に合うかわかんねぇけど。」


圷が食べていたものは酒のつまみだ。だがそれ以外駿里が口にできるようなものは作らない限りなかった。だから少しでもおなかを膨らませられたらと圷が机に置いてあるおつまみを取りに行った。


「これ康二さんの飲みかけ?」

「そうだぞ。」

「一口飲ませて。」


駿里は空腹なだけでなく喉もかなり乾いていた。


「いいぜ。一口と言わずに飲みたいだけ飲め。」


松下の飲んでいたものはグラスに果物も入っていたのでそれも食べていいぞ、と言われた。


「ありがとう。」


美味しそうに飲む駿里に圷は微笑んだが、グラスの中身を見て青ざめる。


「おい康二。」

「なんだ。」

「お前が飲んでたもんって酒じゃなかったか?」

「……やべぇ。」


そうは言っても酒は苦い。甘党の駿里の口には合わないからすぐに飲むのを辞めるだろう、と思っていた。だが……。


「馬鹿!そんな一気に飲むな!」


駿里は相当喉が渇いていたらしく、グラスの中に入っていた酒を全て飲み干してしまっていた。


「飲んでいいって言ったの康二さんじゃん。」

「悪い、そうだよな。でもこれは酒だったんだよ!」

「どうりで苦いわけだ。」

「何呑気にそんなこと言ってんだ。」


圷が駿里の頬を軽く抓った。


「痛いっ!」

「一口飲んだ時に気づけよな。酒ってのは体に悪いんだぞ。分かってんのか。ちゃんと反省しろ。」


昏睡状態から先程目が覚めたばかりなのに酒なんて飲んだらたまったもんじゃない。圷は相当怒っていた。


「圷さんだっていっぱい飲んでるのに…。」

「俺は大人だからいいんだよ。」

「なんだそれ。狡い。」

「狡くねぇよ。あーこりゃ酒回ってんな。お前のせいだぞ康二。」


駿里が飲んだ酒はアルコールが弱く、グラス一杯分であることがせめてもの救いだった。だが元はと言えば松下が原因なので呆れた目で圷は松下を見た。


「悪い。でもさ、しばらくすれば酒が抜けるだろ。」

「そういう問題じゃねぇんだよ。」


圷が恐れているもの、それは寛也だった。こんなことが知られでもすればタダでは済まない。だが隠しとおそうとして嘘をつくことは二次被害を起こしかねない、と正直に寛也に報告をしようとした時。


「圷さん。」

「なんだよお前は。」

「俺だって18になったもん。」


駿里はムスッとしながら圷に言った。


「まだ言ってんのか。つか、18って子供だろ。」

「大人の仲間入りだ!えっちな映画とかでも18禁って縛りがついてるもん。」

「たしかに。」

「納得させられてんじゃねぇよ。」


台所から帰ってきた島袋が圷に怒鳴った。どうやら駿里に水を飲ませようと取りに行っていたようだ。


「駿里、とりあえず水飲め。」

「お水よりも何か食べたい。」

「飲まねぇって言うなら俺が飲ませてやるよ。」


松下は島袋からコップを奪って水を口に含んだ。そして駿里の口に指を突っ込み口を開けるとそこに水を流し込む。


「零れちゃった。」

「まさかとは思うが、わざと飲まずに全部零したんじゃねぇだろうな。」

「違う!」


なんでそんな酷いこと言うのっ、と駿里が顔をぷいっと背けて松下に怒った。


「酔っ払いの言うことなんぞ信用できるかよ。」

「ほんとだもん。康二さんのばか!」

「誘ってんのか。」


頬っぺたを膨らまして涙目になっている駿里は可愛くて仕方がない。こんなもの見せられて我慢するこっちの身にもなって欲しいと思いながら駿里の頬をつまんだ。


「訳分かんないこと言わないでよ!」

「酒が回ってっから頭が働いてねぇんだよ。それよりもさ、これ初めてじゃねぇよな。」

「なにが。」


駿里は松下がまた変なこと言い始めた、と仏頂面で話を聞き始めた。


「酒を飲んでベロベロになった事がだよ。俺の記憶上これは3回目のはず。だからお前は酒の味絶対知ってるはずなんだよな。その上で飲んだって事でいいよな?」

「そ、そんなのいちいち覚えてない…。」


そんなことがあった気がした。でも酒が回りすぎていて思い出せなかった。


「さぁどうだか。お酒でも別にいいやとか思って飲んだんじゃねぇの?喉乾いてたからってやっていい事と悪いことがあるよな。」


駿里は松下にそう言われて黙り込んでしまった。絶対にお仕置きコースになると焦り出し徐々に松下から距離をとる。


「図星だろ。逃げてんのがいい証拠だ。すっかり元気になったみたいだし、手加減する必要ねぇよな。覚悟しろよ。」

「お仕置きすんの?なら俺も加わらせて貰うとするか。今回はさすがに見過ごせねぇからな。」


海斗がいる為いつもは絶対に加わらない圷まで意地悪く言う。初めてなら見逃してやろうと思ったが3度目となれば話は別だ。


「俺も参加しよーっと。」

「ごめんなさいっ、ちょっと待ってっ、」


駿里は圷、松下、島袋の3人に囲まれて逃げならなくなってしまう。遅いとわかっていながらも謝って許しを乞った。


「なんだ。」

「反省してるから許して…っ」

「前もそう言ってたよな。」

「だって、喉がカラカラだったんだもん!しょうがないじゃん!」

「開き直ってんじゃねぇ。すぐそこに水あっただろうが。」


松下の言う通り少し歩けば台所にある水が飲めた。


「でも許してよっ、お願い康二さん…。」


駿里は最終手段に出た。松下が自分に甘えられると弱くなることを利用して上目遣いでお願いをする。


「いつからそんな手を使えるようになったんだお前。悪い子だな。それに俺が許すって言うと思うか?かれるまで搾り取ってやるよ。」

「謝ったのにっ!」

「謝って済む問題じゃねぇだろ。うーん、でもさすがに病み上がりの駿里にそれはキツすぎだ。」


駿里は圷の発言に安堵する。しかし、お仕置き自体は辞めてくれるつもりは無いようだ。


「だったら何がいいんだよ。」

「その逆はどうだ。」


圷の言ったことに対して松下と島袋は首を傾げる。


「逆?」

「イかせて欲しいっていうまで焦らす。」


3人は顔を見合わせて悪い顔をした。そして手際よく駿里の服を脱がし、松下が駿里を自分の膝の上に乗せた。
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