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挑戦
134話 帰宅
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「ただいまー!」
「誰に言ってんだ。」
誰もいない自宅に向かって駿里が大きな声でそういったため寛也は笑いが込み上げてきた。
「久しぶりの我が家に言ったんだよ。」
「後で康二達のところにも言いに行こうな。」
「そうだね。その時お土産も渡しに行く!」
2人は服を部屋着に着替えて、旅行の荷物を片付けた後、お土産を持って事務所に向かった。
「あっ皆いる!」
3日ぶりの駿里の声を聞いて事務所にいた圷、北風、松下、島袋に天馬、森廣までも喜んだ。
「「「おかえり。」」」
森廣はすぐさま寛也の元に向かいここ3日あったことを報告しに行った。内密の話のため寛也と森廣は専用のオフィス部屋に入っていった。
「会いたかったぞ駿里。」
島袋が駿里の元に来て頭をポンポンしてきた。
「いい顔してる。楽しかったんだな。」
圷は優しい笑顔で微笑んで言ってくれた。
「おかえり駿里。」
と、天馬。北風も微笑んで駿里を見ている。皆駿里が帰ってきて嬉しそうだった。だが、松下だけは違った。
「これみんなへのお土産!」
「ありがとな。」
駿里は大きな紙袋2個のそれぞれを天馬と北風に渡した。島袋と圷も何が入っているのか興味津々で紙袋を覗いている。
「…康二さん?、なんか怒ってる?」
他のみんなとは反応が違い笑顔を見せない松下にどうしたのかと駿里は心配になった。
「怒ってる。」
「なんでよ。」
「お前がバイトなんかするって言ったからだ。」
松下は駿里に近寄って頬を軽く引っ張った。
「痛い。」
「痛くねぇたろ、加減してんだから。あのなぁ、駿里。外の世界って危険なんだぞわかってんのか?」
キレ気味の松下が真面目な顔して優しく言ってくれた。
「それ俺らが言ったらダメだろ。」
松下が言ったことに対して圷が笑いながら言った。
「お前は黙ってろ。」
「大丈夫だよ康二さん。俺もう18歳だもん。」
「そういう問題じゃねぇんだよ。何かあってからじゃ遅いだろうが。」
「何かある前に寛也とか康二達を頼らせてもらう。万が一に備えて防犯システムとかも用意してくれてるみたいだから安心して。」
十分な程に対策しているのに松下の顔色は変わらない。実際駿里が攫われたこともあったし、駿里狙いのやつが近づいてきたことも沢山あった。その経験が松下を不安にさせるのだ。自分自身を駿里を傷つけたから。
「約束だぞ。絶対おかしいと思ったら組長や俺らに連絡しろ。」
「分かった、ありがとうね。康二さんはほんと心配症だなぁ。」
「ったく、お前は。すぐ調子乗んだから。」
松下は駿里を引き寄せ強く抱き締めた。
「あははっ、康二さんもお土産見てよ!」
「そうだな。」
2人は駿里からのお土産に群がっている島袋たちのところに行った。
「おっこれピアスじゃん。」
「ずりぃ、島袋だけなの?」
「みんなの分もあるよ。」
少しハブてるように言った松下に駿里は笑いながら言った。
「早速つける。」
「俺も。」
天馬と北風が今していたピアスを取り駿里からのお土産のそれを着けた。
「ありがとう。」
「なんで駿里が礼言ってんだよ。俺らが言うセリフだろ。」
おかしな奴だなぁ、と天馬が笑っていた。その間に島袋や圷、松下も駿里からのお土産のピアスを付けていた。
「圷さん、これ海斗にも渡しといてもらいたいんだ。」
「ああ、ありがとな。」
「こちらこそありがとう!」
「ってかお前ピアス開けてなくね?」
圷が駿里の耳たぶを触りながら言った。見た目では見えなかっただけかと思ったが、触った感じでも穴がなかったからだ。
「今日司波さんに開けてもらうんだ。」
「なんであいつなんだ、俺が開けてやるよ。」
「駿里、松下は絶対やめとけ、こいつ画鋲で開けてっから。松下に開けてもらうぐらいなら俺が開けてやるよ。」
同レベルの島袋に言われたので松下は軽くしばいた。
「康二はピアス開けるの一番下手だからな。」
「チッ、てめぇらだけには言われたくねぇ。」
島袋同様、天馬にもそういわれた為ムカついたが実際下手なのでそれ以上何も言わなかった。
「でもやっぱ司波が一番いいかもな。」
「そうそう、やっぱ医者にやってもらうのが安全だ。わかってんじゃねぇかよ。」
島袋上から目線で言われ再び手が出そうになったが
駿里の前だったので松下は抑えた。
「うるせぇ黙ってろ。」
「喧嘩するほど仲がいいって言葉ほんとだったんだ。」
「「は?」」
駿里は島袋と松下が口喧嘩をしているのを見てそう思った。本気でぶつかり合っているものの自分のミスはちゃんと認め、相手を傷つけるようなことは言わない。そんな関係を見ていいなとも思うのだった。
「なわねぇだろ。お前のこの目は腐ってんのか?」
松下は駿里の顔を上に向かせて自分と目を合わせた。
「腐ってない!俺目だけはいいもん。視力両目Aなんだからね。」
「そういうことじゃねぇんだよ。」
真顔で松下に言われ、駿里はどういうこと?っと言う顔をしてみる。そしてぷにっ、と松下に鼻を摘まれた。
「ははっ、面白ぇ。駿里ってちょっと抜けてるよな。」
圷が駿里の肩を抱きながら豪快に笑った。他のみんなも笑っている。
「抜けてないし!」
こんなに笑われて恥ずかしくなった駿里はムキになって顔を背けた。
「あんまり駿里を苛めてやんなよお前ら。」
オフィスからでてきた寛也は駿里に群がっている島袋達を退かし、自分の元に寄せた。
「ほんとだよ!」
「悪かったって。怒んなや。」
「なんか奢ってくれたら許す。」
駿里はダメ元で言った。
「お前図々しくなったな。そこが可愛いんだけど。またなんか買いに行こう。」
「ほんとにいいの?」
まさか本当に奢ってくれるとは思っていなかったので寛也の腕の中にいる駿里は聞き返した。
「いいよ。」
「ありがとう康二さん!」
「良かったな。」
寛也に頭を撫でられ駿里は嬉しそうに頷いた。
「それとあと少しで司波が来るぞ。」
「楽しみ!」
駿里がそう言って数分後事務所のドアが開いた。
「うぃーっす……ん?珍しく全員揃ってんな。なんかあんのか?」
「偶然だ。」
「へぇ、偶然ねぇ。」
島袋は偶然だと言ったが、全てを悟ったように司波はわざとらしい態度でそう言った。司波の読み通り駿里の帰りを待ち望んだ幹部たちが事務所に大集結したのだ。
「司波さん来てくれてありがとう。」
「おぉ駿里。元気そうでなによりだ。早速ピアス開けるか。」
「お願いします!」
司波は痛くないように保冷剤で耳を冷やしたあと、ピアッサーを当てた。
「いくぞ駿里。」
「ま、待って!」
針が耳についたあたりで駿里が声を上げたので司波は手を止めた。
「どうした?」
「そんなに見られると緊張する……。」
怖くなって止めたのかと思ったらそんな理由かと司波は安心した。
「ってことだ、お前らどっか行け。」
寛也が側にいた松下達を追い払った。寛也に言われれば言うことを聞くしかなく、松下らはこの場を退散して行った。
「おしっ、気を取り直して行くか。その前にもう一回冷やすからな。」
なるべく痛い思いをしないで済むように司波はしっかりとした準備をした。消毒をして保冷剤で痛覚が鈍ったのを確認し、再びピアッサーを耳に当てた。
「開いたぞ駿里。」
「え?」
「痛くねぇようにしたからな。両耳終わってる。」
司波に触ってみろ、と言われ駿里が耳を触ってみるとピアスがついていた。
「ありがとう!」
「いいよ。でもちゃんと毎日消毒しろよ。」
司波から念には念をと1ヶ月分の消毒液を渡された。
「分かった。」
「少しでも膿んだりしたらすぐに俺を呼べ。すぐに対処してらるから。」
軽い感じに膿んだ写メを司波は送ってくれた。この状態に近くなったらすぐに連絡できるように、と。
「うん、ありがとう。」
「じゃ俺は帰るからな。」
司波は駿里の頭をポンっと撫で立ち上がった。
「司波、礼を言う。」
「この借りは返してもらうからな寛也。」
冗談のつもりで言ったが、寛也は本気で仮を返してくれる様子だった。
「ああ。」
駿里と寛也は司波を事務所の外まで見送った。そしてその後皆と同じ柄のピアスを駿里は寛也につけてもらった。もちろん寛也には駿里が着けた。
「誰に言ってんだ。」
誰もいない自宅に向かって駿里が大きな声でそういったため寛也は笑いが込み上げてきた。
「久しぶりの我が家に言ったんだよ。」
「後で康二達のところにも言いに行こうな。」
「そうだね。その時お土産も渡しに行く!」
2人は服を部屋着に着替えて、旅行の荷物を片付けた後、お土産を持って事務所に向かった。
「あっ皆いる!」
3日ぶりの駿里の声を聞いて事務所にいた圷、北風、松下、島袋に天馬、森廣までも喜んだ。
「「「おかえり。」」」
森廣はすぐさま寛也の元に向かいここ3日あったことを報告しに行った。内密の話のため寛也と森廣は専用のオフィス部屋に入っていった。
「会いたかったぞ駿里。」
島袋が駿里の元に来て頭をポンポンしてきた。
「いい顔してる。楽しかったんだな。」
圷は優しい笑顔で微笑んで言ってくれた。
「おかえり駿里。」
と、天馬。北風も微笑んで駿里を見ている。皆駿里が帰ってきて嬉しそうだった。だが、松下だけは違った。
「これみんなへのお土産!」
「ありがとな。」
駿里は大きな紙袋2個のそれぞれを天馬と北風に渡した。島袋と圷も何が入っているのか興味津々で紙袋を覗いている。
「…康二さん?、なんか怒ってる?」
他のみんなとは反応が違い笑顔を見せない松下にどうしたのかと駿里は心配になった。
「怒ってる。」
「なんでよ。」
「お前がバイトなんかするって言ったからだ。」
松下は駿里に近寄って頬を軽く引っ張った。
「痛い。」
「痛くねぇたろ、加減してんだから。あのなぁ、駿里。外の世界って危険なんだぞわかってんのか?」
キレ気味の松下が真面目な顔して優しく言ってくれた。
「それ俺らが言ったらダメだろ。」
松下が言ったことに対して圷が笑いながら言った。
「お前は黙ってろ。」
「大丈夫だよ康二さん。俺もう18歳だもん。」
「そういう問題じゃねぇんだよ。何かあってからじゃ遅いだろうが。」
「何かある前に寛也とか康二達を頼らせてもらう。万が一に備えて防犯システムとかも用意してくれてるみたいだから安心して。」
十分な程に対策しているのに松下の顔色は変わらない。実際駿里が攫われたこともあったし、駿里狙いのやつが近づいてきたことも沢山あった。その経験が松下を不安にさせるのだ。自分自身を駿里を傷つけたから。
「約束だぞ。絶対おかしいと思ったら組長や俺らに連絡しろ。」
「分かった、ありがとうね。康二さんはほんと心配症だなぁ。」
「ったく、お前は。すぐ調子乗んだから。」
松下は駿里を引き寄せ強く抱き締めた。
「あははっ、康二さんもお土産見てよ!」
「そうだな。」
2人は駿里からのお土産に群がっている島袋たちのところに行った。
「おっこれピアスじゃん。」
「ずりぃ、島袋だけなの?」
「みんなの分もあるよ。」
少しハブてるように言った松下に駿里は笑いながら言った。
「早速つける。」
「俺も。」
天馬と北風が今していたピアスを取り駿里からのお土産のそれを着けた。
「ありがとう。」
「なんで駿里が礼言ってんだよ。俺らが言うセリフだろ。」
おかしな奴だなぁ、と天馬が笑っていた。その間に島袋や圷、松下も駿里からのお土産のピアスを付けていた。
「圷さん、これ海斗にも渡しといてもらいたいんだ。」
「ああ、ありがとな。」
「こちらこそありがとう!」
「ってかお前ピアス開けてなくね?」
圷が駿里の耳たぶを触りながら言った。見た目では見えなかっただけかと思ったが、触った感じでも穴がなかったからだ。
「今日司波さんに開けてもらうんだ。」
「なんであいつなんだ、俺が開けてやるよ。」
「駿里、松下は絶対やめとけ、こいつ画鋲で開けてっから。松下に開けてもらうぐらいなら俺が開けてやるよ。」
同レベルの島袋に言われたので松下は軽くしばいた。
「康二はピアス開けるの一番下手だからな。」
「チッ、てめぇらだけには言われたくねぇ。」
島袋同様、天馬にもそういわれた為ムカついたが実際下手なのでそれ以上何も言わなかった。
「でもやっぱ司波が一番いいかもな。」
「そうそう、やっぱ医者にやってもらうのが安全だ。わかってんじゃねぇかよ。」
島袋上から目線で言われ再び手が出そうになったが
駿里の前だったので松下は抑えた。
「うるせぇ黙ってろ。」
「喧嘩するほど仲がいいって言葉ほんとだったんだ。」
「「は?」」
駿里は島袋と松下が口喧嘩をしているのを見てそう思った。本気でぶつかり合っているものの自分のミスはちゃんと認め、相手を傷つけるようなことは言わない。そんな関係を見ていいなとも思うのだった。
「なわねぇだろ。お前のこの目は腐ってんのか?」
松下は駿里の顔を上に向かせて自分と目を合わせた。
「腐ってない!俺目だけはいいもん。視力両目Aなんだからね。」
「そういうことじゃねぇんだよ。」
真顔で松下に言われ、駿里はどういうこと?っと言う顔をしてみる。そしてぷにっ、と松下に鼻を摘まれた。
「ははっ、面白ぇ。駿里ってちょっと抜けてるよな。」
圷が駿里の肩を抱きながら豪快に笑った。他のみんなも笑っている。
「抜けてないし!」
こんなに笑われて恥ずかしくなった駿里はムキになって顔を背けた。
「あんまり駿里を苛めてやんなよお前ら。」
オフィスからでてきた寛也は駿里に群がっている島袋達を退かし、自分の元に寄せた。
「ほんとだよ!」
「悪かったって。怒んなや。」
「なんか奢ってくれたら許す。」
駿里はダメ元で言った。
「お前図々しくなったな。そこが可愛いんだけど。またなんか買いに行こう。」
「ほんとにいいの?」
まさか本当に奢ってくれるとは思っていなかったので寛也の腕の中にいる駿里は聞き返した。
「いいよ。」
「ありがとう康二さん!」
「良かったな。」
寛也に頭を撫でられ駿里は嬉しそうに頷いた。
「それとあと少しで司波が来るぞ。」
「楽しみ!」
駿里がそう言って数分後事務所のドアが開いた。
「うぃーっす……ん?珍しく全員揃ってんな。なんかあんのか?」
「偶然だ。」
「へぇ、偶然ねぇ。」
島袋は偶然だと言ったが、全てを悟ったように司波はわざとらしい態度でそう言った。司波の読み通り駿里の帰りを待ち望んだ幹部たちが事務所に大集結したのだ。
「司波さん来てくれてありがとう。」
「おぉ駿里。元気そうでなによりだ。早速ピアス開けるか。」
「お願いします!」
司波は痛くないように保冷剤で耳を冷やしたあと、ピアッサーを当てた。
「いくぞ駿里。」
「ま、待って!」
針が耳についたあたりで駿里が声を上げたので司波は手を止めた。
「どうした?」
「そんなに見られると緊張する……。」
怖くなって止めたのかと思ったらそんな理由かと司波は安心した。
「ってことだ、お前らどっか行け。」
寛也が側にいた松下達を追い払った。寛也に言われれば言うことを聞くしかなく、松下らはこの場を退散して行った。
「おしっ、気を取り直して行くか。その前にもう一回冷やすからな。」
なるべく痛い思いをしないで済むように司波はしっかりとした準備をした。消毒をして保冷剤で痛覚が鈍ったのを確認し、再びピアッサーを耳に当てた。
「開いたぞ駿里。」
「え?」
「痛くねぇようにしたからな。両耳終わってる。」
司波に触ってみろ、と言われ駿里が耳を触ってみるとピアスがついていた。
「ありがとう!」
「いいよ。でもちゃんと毎日消毒しろよ。」
司波から念には念をと1ヶ月分の消毒液を渡された。
「分かった。」
「少しでも膿んだりしたらすぐに俺を呼べ。すぐに対処してらるから。」
軽い感じに膿んだ写メを司波は送ってくれた。この状態に近くなったらすぐに連絡できるように、と。
「うん、ありがとう。」
「じゃ俺は帰るからな。」
司波は駿里の頭をポンっと撫で立ち上がった。
「司波、礼を言う。」
「この借りは返してもらうからな寛也。」
冗談のつもりで言ったが、寛也は本気で仮を返してくれる様子だった。
「ああ。」
駿里と寛也は司波を事務所の外まで見送った。そしてその後皆と同じ柄のピアスを駿里は寛也につけてもらった。もちろん寛也には駿里が着けた。
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