極道の密にされる健気少年

安達

文字の大きさ
上 下
72 / 579
謀叛

71話 調査

しおりを挟む
裏切り者がいると発覚してから1ヶ月がたとうとしていた。だが手がかりは何一つ掴めていない。寛也と森廣は追い込まれていった。寛也のオフィスで沈黙が流れる


「…組長」

沈黙を破ったのは森廣だった

「思いとどまったのではないでしょうか、ここ最近動きがありません。それなら調査はここで打ち切りにしませんか?」

「真実が知りたくないだけだろお前は。現実を見ろ、そいつのせいで俺たちは危機にさらされてんだぞ?」

寛也とて、現実を見たくなかった。だが、今旭川組が経営している風俗やキャバクラがどんどん倒産している。経営困難に陥っていた

「…そうですね」

「辛いのは俺も同じだ」

そうだよな、何くよくよしてんだと森廣は喝を入れた

「もう一度調べ直してきます」

「任せた」

寛也のオフィスから出た森廣は幹部たちの様子を見ていた。いつもの様子と何も変わらない。到底この中に裏切り者がいるなんて信じられなかった。出ている証拠が間違いだと信じたかった。

森廣はこれまでで1番嫌な仕事だなと、やるせない気持ちになった。



自分のオフィスへと戻った森廣は、1から調べ直していた。


コンコン


「入れ」

「こんにちは」

入ってきた人物は駿里だった。

「どうしましたか?駿里くん」

森廣言いながら、開いていたパソコンとタブレットを閉じた。

「最近寛也忙しそうだから、どうしたのかなと思って」

「組長は社長でもありますからね。忙しくない方が不思議ですよ。」

「そっか」

少し寂しそうにしている駿里に微笑んでいった。

「お菓子は好きですか?これでも食べて元気だしてください」

そう言って森廣は駿里に後で食べようと思っていた手作りクッキーとトリュフを渡した

「ありがとうございます!すごく美味しそう!」

「良かったです」

駿里は満足そうに天馬の所へ戻って行った。






森廣は駿里みてハッとおもった。ずっと組に不満があるものが裏切り者だと思っていた。だが違うかもしれない。もしかしたら駿里が目当てではないかと疑った。

それに裏切り者は独断で行動しているとは思えなかった。だからと言って今の旭川組に手を出すことをする愚か者は居ないはずだ。そうなれば辿り着くのは1人の人物だった。


三浦 裕太


こいつは駿里に執着している。その上財力もある。手に入れたいと思ったものを手に入れるためには手段をとわない。裏切り者はこいつと共謀して駿里を自分のものにしようとしている可能性もあるなとその線で調べ始めようとした時



「失礼します。森廣さん入ってもよろしいでしょうか?」

松下の声が聞こえた

「入れ」

「失礼します!お仕事中に申し訳ございません。頼まれていた資料です」

森廣は松下にココ最近の売上をまとめた資料を持ってくるように言っていた

「ありがとう」

「どうされたんですか、なんかすごく疲れてますね。俺、手伝います!」

眩しい笑顔を向けて言ってきた松下に森廣はこのことを言い出そうか迷った。松下は裏切り者がいると特定出来ている幹部の中の一人だが、裏切り者の容疑者から外されていた。だが、寛也に報告なしに言うのはダメだなと思い言うのをやめた。

「なんでもない、最近眠れてないだけだ」

「ちゃんと寝てくださいよ」

「用が済んだなら仕事に戻れ」

「はーい」

松下が森廣のオフィスから出た5分後また戻ってきた

「今度はなんだ」

「これ飲んでください!じゃあ、失礼します!」

エナジードリンクを渡すと急いで自分の仕事に松下は戻った。森廣はいい部下を持ったなと嬉しそうにエナジードリンクを飲んだ。

森廣は飲み終わったあと、寛也に三浦裕太との共犯のが可能性としてあることを報告しに行った。


「…それで松下にも協力してもらいませか?島袋も同じように容疑者から外れてますし、2人にも協力をして貰った方がより早く裏切り者を見つけられると思います」

「いや、あいつらは顔に出やすいからダメだ。それに他の幹部との関わりがいちばん多いしな」

「そう言われれば、そうでした」

「森廣、今日もう終わりにしよう。残りは明日調べたらいい。」

寛也は最近森廣が寝ずにこの件について調べているのを知っていたので寝るように即した

「分かりました。お疲れ様でした組長」

「おつかれ」

寛也は駿里を連れて家へと戻った。森廣も同様に久しぶりに家へと戻った。








「最近忙しそうだね、無理しないでよ」

家に戻った2人は直ぐにお風呂に入り湯船に浸かっていた。

「立て込んでんだ。少々無理してもお前の顔を見ると疲れが吹き飛ぶ」

「それなら癒しまくってあげる!」

「ああ、頼む」


今日は寛也が疲れていることもあってお風呂から上がって2人はそのまま寝た。駿里が朝起きると当たり前のように寛也は仕事に行っていた。

リビング行くと誰もいない。その事も不思議に思っていた。前は誰か一人は来ていたし、来ていなくても朝ごはんが作られていた。だが、ここ最近は寛也が買ってきたパンが置いてあるのみだった。

駿里は何か嫌な予感がするなあって思いながら、机に置いてあった置き手紙に気がついた。それには、、、


『今日から家を出るな。事務所にも来るなよ。不自由な生活を強いてしまって悪い。 後でちゃんと事情を言うから今は黙って俺の言うことを聞いて欲しい。何かあれば俺か、森廣のどちらかだけに連絡をしろ』

と言う内容だった。きっと何かが起こってるんだろうと思い、駿里は寛也の言うことを聞いた。

暇になるであろう駿里のために寛也は大量にゲームと映画のDVDを買っていたので、駿里は暇にならなかった。少し寂しいなとは思っていたが、仕事なので仕方がないと割り切った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヤクザに囚われて

BL
友達の借金のカタに売られてなんやかんやされちゃうお話です

アダルトショップでオナホになった俺

ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。 覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。 バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

冷酷組長の狂愛

さてぃー
BL
関東最大勢力神城組組長と無気力美男子の甘くて焦ったい物語 ※はエロありです

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

ヤクザと捨て子

幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子 ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。 ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。

モルモットの生活

麒麟
BL
ある施設でモルモットとして飼われている僕。 日々あらゆる実験が行われている僕の生活の話です。 痛い実験から気持ち良くなる実験、いろんな実験をしています。

変態村♂〜俺、やられます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。 そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。 暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。 必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。 その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。 果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

処理中です...