極道の密にされる健気少年

安達

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相愛

61話 相思

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駿里が目を覚ますと時刻は深夜2時になっていた。
重苦な痛みがあった部分も痛く無くなっており、体も綺麗なっていた。違和感を覚え左腕を見るとそこには針が刺さっており点滴されていた。

駿里が目を覚ました事に気がついて誰かが近づいてきた


「大丈夫か?今は鎮痛剤打ってるから痛みはないが無理はするな」

「……どなたですか?」

「声ガラガラじゃねぇか、俺は司波 彷徨(しば かなた)、旭川組専属の医者だ。組長に言われて駿里の手当てをしていた」

「ありがとうございます」

「お前はお人好しだな。こんな状況なのにお礼なんて言ってよ、組長のこと嫌になっただろ」  

「それセリフ前に誰かにも言われた気がします。それに嫌いじゃないです。そもそも俺が怒らせちゃったから」

「お前な」

「ほんとに俺が悪いんです。俺が嘘ついちゃったんです」

俺は起きあがろうと足を動かすと、ガチャと言う金属音がなった。足には足枷が付いていた。


「悪いな、組長の指示だ」

「いいえ、司波さんは何も悪くないです」

「起きるか?」

「はい」


司波に手を借りて起き上がった


「ご飯あるから食べれるだけ食べろ」

「ありがとうございます」


こんな目に遭っても駿里は寛也のことを嫌いと言わなかった。ちゃんと寛也と向き合おうとしていた。


「お前の体調を見るために毎日ここに来るから、なんかあったらすぐに言えよ。俺は相手が組長だろうが何だろうが言うことは言う。だから絶対なんかあったら相談しろ」

「はい、ありがとうございます」

「食べたらまだ寝てろ」


駿里は司波に言われた通りにねた。
その寝顔を見ながら寛也に電話をした


『なんだ』

「なんだじゃねぇんだよ」

『要件をいえ』

「さっき駿里が目を覚まして、少しご飯を食べて今は寝てる。お前のこと嫌いじゃないってよ、ちゃんとお前と向き合おうとしてた。だから、話し合ってやれ。どうせ、ろくに話を聞いてやってねぇだろ?お前の話を聞いてこの結果は当たり前だと思ってたが、駿里の様子を見てるとお前が思っている事とは違うようだぞ」

『……………』

 「黙ってないで何とか言え。それと力ずくで抑えんな。そんな事しなくてもきっと駿里はお前から離れない」

『……気持ちが落ち着いてから逢いに行く。』

 「いつだよそれ」

『明日行く』

 「はぁ!?お前それ駿里の誕生日の前日たぞ。仕事立て込んでるとか嘘ついて準備してたじゃねぇか。いいのかよ!!それにな、この俺にここに泊まれっていってんのか!!!」

『頼む。今日のお昼頃にちゃんと気持ちが落ち着いてから話し合って駿里を祝いたい』
 
「はぁ、分かったよ。今日だけだからな」


電話を切った司波は駿里の元へと自分もベッドの中に入った。


「お前はほんとにいい奴だな。別の形で出逢いたかったよ、にしてもこんな綺麗で性格もいい奴この世にいるんだな」


司波はあの寛也が駿里に執着する理由がわかった気がした。


「よくよく考えれば寛也、お前も嘘ついてるけどな。なぁ駿里。でも寛也がここまで拗らせるぐらい本気なんだよお前のこと。だからこれからもこんなことがあったとしても、寛也のことを許してくれ。ごめんな」

司波は眠る駿里にくぐもった声で言った。


点滴の針を抜き自分も駿里の隣で寝た。心の中で、いい誕生日になると良いなと呟きながら。
















駿里は朝の9時頃に目が覚めた。隣には気持ちよさそうに寝ている司波の姿があった。夜通し看病してくれたと思い、司波を起こさない様に駿里はリビングへ行くと、松下がいた。


「おはよう、体は大丈夫か?」


駿里の足を見ると数ヶ月前にとれていたはずの足枷があったが、そこには触れずに体のことを心配した


「大丈夫。寛也はどこにいるの?」

「事務所」

「…俺、愛想つかされたかも」


思いがけない発言に松下は思わず目を丸くして駿里見た


 「な、なに」

「いやなんでもない。昼頃に組長ここにくるってよ」

「俺は今すぐにでも会いたいのに」


松下は駿里の髪を優しく何度も撫でた


「そーいや、ヘボ医者がここに来なかったか?」

「もしかして司波さんのこと!?ヘボ医者じゃないし!」

「来たのは来たんだな。帰ったのか?」

「寝てるよ」

「はぁ!?」


急に松下が叫んだので駿里はびっくりして肩をびくつかせた


「急に叫ぶな!」

「お前ガラガラの声で声張り上げたら悪化すんぞ?」


誰のせいだよ、と睨んだが松下にスルーされてそのまま寝室へ直行した。その後を追う様に駿里もついていった。


「おい!!なに寝てんだよテメェ!」


松下は司波が絡まっていた毛布を勢いよく奪った


「…うるせぇな、つか何でお前がいんだよ。今何時だ?」

 「9時すぎてんぞ」

「なら起きるか、駿里大丈夫か?」

「お陰様で大丈夫です!」

「よかった」


3人は仲良く朝食を一緒に食べ寛也を待っていた。
だが、正午を過ぎても寛也は家に戻らなかった。不安そうにずっと待っている駿里の隣に松下は座った


「組長は来るって言ったんだから絶対に来る。組長は言った事は絶対にするって駿里が一番知ってるだろ?」

「大丈夫だ。絶対来るから。」


司波も続けて言った。その後に続いて玄関のドアが開く音が聞こえた。駿里は体に力が入った。
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