極道の密にされる健気少年

本家

52話 アルバム

よっぽど楽しかったのだろう。寛也と駿里も付き人も皆笑顔で帰ってきた。


「「若様、お帰りなさいませ」」


次々に出てきてはそう言って一礼をする本家の組員さんには駿里は慣れないでいた


「夕食は親父達としよう」


「うん！」


すると1人の組員が寛也の前にきた


「でしたら、料理が出来次第呼びに行かせていただきます。若様の部下の分もお作りいたします」


「頼む、御子柴」


御子柴と呼ばれた男は一礼をしてどこかへ行った


「あの人誰?すごくかっこいい」


「親父の側近。俺が小さい頃からそうだった」


「そうなんだ」


「駿里、俺の部屋に行こう」


駿里と寛也を部屋まで送り届けると、森廣達はどこかは行ってしまった



「どっか行っちゃった」


「あいつらはあいつらで再会したい相手がいる。俺のせいでなかなか会えなかった仲間にでも会いに行ったんだろ」


「そっか！寛也って兄弟いるの?」


「兄が2人いる。後で会うか？兄貴達も今日帰ってきてるみたいだから」


「会いたい」


「兄貴はちょっと怖いけど、気にするな。そういう性格なんだ」


「うん、わかった。あ！あれってアルバム?」


「そうだ。見るか？」


「見たい！小さい頃の寛也絶対可愛いじゃん！」


凄く駿里が喜ぶので、寛也は5冊ほどアルバムを持ってきた


「うわあ！いっぱいあるんだね！」


「親父とお袋が撮りまくるんだよ」


口には出さなかったがちょっと羨ましいと駿里は思った。それを寛也も感じとった


「昔は昔、今は今だろ?」


「それ、俺が言ったセリフじゃん！」


2人は思わず笑った。駿里は寛也のアルバムを楽しそうに見て、その駿里を寛也は楽しそうにみて。そこに御子柴がやってきた。


「若様、夕食の準備ができました」


「ああ、今行く」


御子柴は驚いた。あの寛也が笑っていたことに、しかもアルバムなんて見ていた。御子柴はますます駿里のことが気になっていった