極道の密にされる健気少年

日常

43話 励

「駿里、辞めたかったら学校やめていいんだぞ。俺はお前がしたいようにして」


「やめないよ！せっかく通わせてもらったんだから最後までする」



駿里は寛也の言葉を遮るように言った。


「そうか、ならいい。ご飯を食べに行こう」


「うん！お腹すいたよ」








リビングに着くと、松下が珍しく料理を作っていた。


「すご！美味しそう」


「松下は料理が好きだからな」


「そーなの！？でも作ってくれたことないよね?」


「こいつはやるならちゃんとやりたいやつだからな。仕事で忙しい日は中途半端になっちまうからだろ？」


「はい」


松下は恥ずかしそうに言った。


「美味い。」


「だろ！」


「流石だな、松下」


「ありがとうごさまいます！！組長！」







松下の手料理を食べ終わった寛也は少し出かけてくると事務所にいった。



「ん？勉強すんの？」


「少しだけ、今日の復習しようと思って」


「偉いぞ！！」


松下は駿里の髪をわしゃわしゃと撫でた


「もう！あっち行ってろって！」


「それお前口癖だな」
　

「康二さんがしつこいからだ！」


「じゃあ俺あっちの部屋行ってるから、勉強頑張れよ！」


「うん、ありがと」



駿里は昼の集中力が嘘のように勉強に励んでいた。3時間まったり勉強して時計を見ると11時30分になっていた。


「まだ帰ってこない」


駿里はいつの間にか寝落ちしていた。
寛也が帰ってきたのは深夜の1時頃だった。



「頑張ったんだな」


参考書や何やら散らかっている机に駿里眠っている駿里を嬉しそうに笑った。駿里にブランケットをかけて近くのソファで眠っている松下に寛也は毛布をかけてやった。気持ちよさそうに寝ている駿里を抱えて寝室へ向かい駿里を抱き締めて寝た。


































「朝だよ、寛也」


「おはよう、早いな」


「今日は森廣さんもくるんだから、早起きしないと」


寛也は駿里に手を引かれ、リビングへ向かった。


「おはようございます。組長、駿里くん」


「ああ」


「おはよう、森廣さん」


「ご飯を食べたら早速始めましょうか駿里くん。午前中3時間、午後から3時間というスケジュールで進めますね」


「はい！よろしくお願いします」


「組長は仕事に行っててください」


「なんでだ」


「駿里くんの気が散ります」


「お前言うな」


「すべては駿里の成績向上の為ですよ」


「はぁ、じゃあ任せる」


「おまかせを」


「いってらっしゃい」


「行ってくる。頑張れよ」


「うん」


「じゃあ始めましょうか」













森廣と駿里はみっちり1日勉強をした。今はその後の休憩タイムに入っていた。



「どうぞ」


「ありがとう」


森廣はホットカフェラテを疲れきった駿里に渡した。


「森廣さんはどうして、司法試験を受けたの?」


「私は勉強する事が息抜きのようなものだったので組長に受けてみてはと言われたんです」


「すごいなあ」


「それに弁護士資格取っておけば、何かの役に立つかもしれないでしょう?」


「森廣さんはヤクザらしくない」


「私自身も思います」


「どうしてこの世界に入ったの?」


「さぁ？なんででしょうね」


「なにそのグレーゾーン！気になる」


森廣は無邪気な少年に微笑み頭を撫でた


「もう今日は休みましょう。明日からもありますからね」


「うん、おやすみ」


「おやすみなさい」







森廣は駿里のコップを片付けながら昔のことを思い出していた。


「ヤクザらしくないか、、」




















そんな感じで森廣と寛也に勉強を教えられながら、1ヶ月間の間駿里は頑張った。そしてついに模試の日、会場へ行き、そろそろ帰ってくる時間になっていた