極道の密にされる健気少年

安達

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平穏

25話 事務所

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「早く行こうよ」


「ちょっと待て」



絶対に駿里が寝坊すると思っていた寛也はゆっくりと準備していたが、楽しみで仕方がない駿里にせかされていた



「遅いよ…。」


「お前が早すぎるんだ。出る1時間前からせかすな。ほら、準備できたぞ。ほら行こう。」



駿里はウキウキしながら寛也の跡をついてエレベーターに乗った。ここは最上階の60階だった。事務所は3階だったため少し時間がかかったが着いた。事務所いったそこはまるでバーのようなところだった。



「「おはようございます!!」」



そこにいた数名の人たちが寛也に挨拶をした。俺はその声に思わず少しビクッとしてしまいそれを寛也に笑われた。



「ビビりすぎた。家に戻るか?」


「ビビってないし、戻らない…!」


「そうか。」


「そうだ…!」


「分かったからそう怒るな。それとここの中ならどこにでもいっていいからゆっくりしてろ。」


「わかった。」


駿里がそう言うと寛也は駿里の頭を撫で仕事をする部屋へと足を進めて行った。それからすぐに2人ほど駿里の方に近づいてきた。



「は!?お前なんでいんの?」



目を丸くして声を荒らげながら驚く松下。家から駿里が出ているということに驚いたのだろう。



「俺に会いにきたのか?」



とんだ勘違いを言う島袋。




「気分転換に連れてきた。暇なとき相手してやってやれ」



島袋の勘違いに我慢できなくなったのか寛也はそう言った。そして森廣と何かを話始める。そんな寛也に気を取られていた駿里の背後に誰かが近づいてきた。



「君が噂の駿里か~」



後ろから誰かに話しかけられた。誰だ。そう思い駿里が後ろをむくと明るそうな男の人が立っていた。



「俺はここのバーを経営してんだ。俺は会議に参加しないから、会議の間俺のとこにくるか?」



勝手に判断してたら寛也に怒られる。だが許しを乞うにも寛也は今話をしていた。駿里がどうしていいかわからず固まっていると…。



「行ってきていい。何かご馳走してもらえ。食べたいものはなんでも食べとけ、後で俺が金払いに来るから。」


「ありがとう!」


「じゃあ行こうか駿里。」


「は、はい…!」



駿里がそう言いその男について行こうとすると後ろから抗議の声が聞こえてきた。



「はあ!??お前ごときが駿里と2人っきりになってんじゃねぇよ」


「康二。お前は今から大事な会議だろ?さっさといけ」


「あ?喧嘩売ってんのか」


「おい!康二!何してんだ。さっさと来い。始めんぞ」


「チッ」


「相変わらず無愛想な奴だな。俺の名前は柳原 天馬だ。よろしくな!」


「駿里です。よろしくお願いします!」


「こっちおいで。俺の自慢のカクテルご馳走してやるよ」











天馬さんはカクテルを作りながらバーのカウンター席に座っている俺に優しく話しかけてくれていた


「駿里も大変だろ?あいつの恋人なんて」


「寛也と親しいんですか?」


「あいつは昔からの腐れ縁だからな」


「寛也のこと教えて頂けますか?」


「・・・・内緒だぞ?何が知りたいんだ?」


「寛也が前にこの世界にはきたくなかったみたいなこと言ってたんです。他に夢でもあったんですか?」


「・・・・あいつはな、サッカーが好きだったんだよ」


「え?そーなんですか?」


「駿里の事もつい最近見つけたんじゃない。ずっと前から知ってたんだ」


「どういうことですか?」


「寛也はサッカーが好きだった、でもあいつの親が許さなかったんだよ、それで強制的辞めさせられたんだ。その寂しさを高校サッカーとか見て埋めてたんだ。30にもなってもな。キモいだろ。マジでキモい。たぶんそこでお前を見つけたんだろうよ」


「初めて聞きました」


「俺はずっと駿里の話をあいつから聞いてた。うざいぐらいな。ほんとうるせーって感じだわ。それ以外にもお前を攫うつもりなんてなかったのも聞いてた」


「じゃあどうして」


「お前がヤクザに狙われてたからだ。」


「寛也とは別のですか?」


「そうだ。ヤクザなんてどこにでもいるからな。その中でも赤浜組って言ってな凶悪な奴らなんだが、お前はそこんとこの組長に目をつけられてた。だからあいつらに取られるぐらいなら自分のものにしようと無理矢理連れてきた」


「そうだったんだ」


「ああ、本当の理由は幹部にも言わないで、連れ去られたようにして自分の家で守るだけのつもりだったみたいだが,思った以上に寛也は駿里に執着してたみたいでお前を酷い目に合わせたみたいだな。嫉妬深くて大変だろ?今はもうお仕置きとか言って酷いことされてないか?大丈夫か」


「今は大丈夫です。じゃあ俺寛也の所に来なきゃ酷い目にあったいたって事ですか?」


「そーゆーことだ。お前は部活の先輩にレイプされただろ?それは赤浜組の指示だ。お前を襲ったあいつらは赤浜組のものだからな」


「そうだったんだ」


「無理だとは思うが。少しは感謝してやれ」


「どうして言ってくれなかったんだろう」


「不器用だからな、あいつは。まあでもお前はこれからも振り回されるだろうから嫌になったらここに来い」


「ありがとうございます天馬さん」


「俺が慰めてやるよ。今俺に乗り換えるか?」


笑いながら言ってくるが、目を見ると冗談には思えなかった。


「何言ってんですか!」


駿里は笑って返した。



「よし!できたぞ!どうだ?」


「すっごい美味しいです!」


「ならよかった。これは俺の奢りだ」


「いいんですか?」


「ああ、お礼も兼ねてな。あいつのことよろしく頼む。それとお前は今から危険な目に遭うかもしれない、その時は、、」


「大丈夫です。覚悟してます」


「肝が座ってるなほんとに。しっかり者の上に驚くほど顔が整ってるんだ、あいつが惚れるわけだ」


「恥ずかしいです、、、」



天馬は微笑んだ。



会議が終わったようで、松下が勢いよく来て駿里の隣のカウンター席に座った



「あ~癒されるわ」


「離れろ!」


松下いつものごとく駿里に抱きついてガッチリガードしていた。すると、松下の頭上ら辺からバンとすごい音がした



「おい。離れろ。くっつきすぎだ」


「組長、痛いっすよー」


「お前が悪い。さっさと仕事に戻れ」


「はい」


「子供みたいだなあいつ」


と、天馬がいい笑ったのにつられ駿里も笑った




「駿里。こいつと何話してたんだ?」


「世間話」


「嘘つくな」


「へぇ~寛也は俺のこと信じてくれないんだ」


「なんかお前図々しくなったな。まあいい、話が変わるがここに来たのはお前の望みを一つ聞いたってことだろ?帰ってから俺のいうこと一つ聞けよ」


「なんでだよ!後から言うの無しじゃん!」


「口答えするな。せっかく俺が優しめにしてやろうと思ったのにな」


「え、、あっ、言うこと聞きます」


「いい子だな」


「あの~イチャイチャするなら別の場所でやってくれませんかね~?それとも俺も仲間に入れてくれんの?」


「馬鹿かお前は。そんなことするわけねぇだろ。くそ、仕事にもどりたくねぇ」


「もう帰る時間が遅くなっちゃうから早く戻りなよ」


「夜まで待ってろ。昼は一緒に食べような」


「うん。あとでね」


つまらなさそうに寛也は仕事部屋に戻っていった








「心配する必要無さそうだな。思った以上に気持ち悪いぐらいラブラブだな。不安とかないのか?」


「実は通信制の学校に通いたいんです」


「通信か!お前高校生だったなそれなら許してくれそうだけどな?言わないのか?」


「この前学校に行きたいって言って怒らせちゃったから」


「今と昔は違うだろ?関係も変わってきてる。不満があるなら言わないとすれ違っちまうぞ?」


「そうですよね」











駿里はお昼一緒に食べるときにでも言ってみようと思った。
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