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「おら誠也。どこいくつもりだ。こっちに来い。」



あれから飯食って2人で皿洗って一息しようと俺は椅子に座ろうとしてたんだ。そしたら慎都さんがソファに座りながら俺の事を呼んできた。別にそれはいいんだ。けど慎都さんの顔が問題だ!あの顔はなんか企んでる。おかしい。俺は騙されないぞ。



「…絶対手を出してくるだろ慎都さん。」

「当たり前だろ。馬鹿言うな。」

「なら行かねぇ!」

「そうか。そうかそうか。お前がそのつもりなら仕方ねぇ。」

「…なんだよ。」



大抵慎都さんは俺が拒むと追いかけて捕まえる。それか俺が根負けして慎都さんのところに行かざるを得ない状況を作るんだ。でも今回は慎都さんが…下がった?そんなこと…いや違う。そんなことあるわけがない。何か企んでんだ!



「俺は誠也よりも体力が桁違いにあるからな。お前が鬼ごっこしたいってならしてやるよ。だがその代わり朝まで抱かせてもらう。お前の願いを聞いてやるんだからな。」

「っ、分かったっ、ちゃんと行くから…!」



やっぱり…。慎都さんが引き下がるわけがなかった。だから俺はとぼとぼと慎都さんの所まで歩いて行った。朝まで抱かれたら俺は明日一日中起きられないだろうからな。そうなったら星秀さんに会えない。



「いい子だ誠也。」



俺が隣に来ただけで嬉しそうに慎都さんが笑う。その慎都さんの顔を見てたら俺も笑いそうになる。いや笑わねぇけどな!?俺にもプライドがあるし…。いらねぇプライドかもしれないけど素直になんかなってたまるか。



「…それ慎都さんの口癖だよな。」

「あ?」

「俺にいい子だって言うの。」

「事実だろ?お前がいい子だから俺はそう言ってんだ。」

「…いい子じゃねぇだろ俺は。」



親から毎日のように言われてた。だから俺はいい子なんかじゃねぇ。血の繋がりがあるだけであの人たちは俺を家族と思ってなかった。俺みたいに苦しんでる子供は沢山いる。そう思って俺はあの時頑張った。1人じゃないって。そんな解決方法しか出来ねぇ俺はいい子どころか弱いやつだ。



「なーに言ってんだ。お前はいい子どころか強い子だ。まだ16のガキのくせに根性がある。俺に歯向かうのはお前ぐらいだ。他のやつはビビって歯向かわない。」

「…そんなこと言うのは慎都さんぐらいだ。」

「は?俺は大多数の意見だと思うけどな。」

「それはねぇよ。俺の親は…」



思い出すのも辛くなるぐらいの罵声を浴びせられた。あれが日常だったし俺にとってはあの人たちしか頼れる人がいなかった。だから俺には耐えるしか方法がなかったんだ。でも本当のことを言えば…そりゃ愛して欲しかった。



「そんなこと言わなかったって?それはお前の親がおかしいんだ。」

「…え?」

「お前はそんな親に育てられてんのにこんないい子に育ってる。これはお前が強いって証拠だぞ。俺は色んなやつを見てきた。ここに居るやつらは誠也みたいに親に恵まれなかったやつばかりだ。」

「そうなのか…?」



游さんも…慎都さんもそうなのかもしれない。でも…そうだよな。ちゃんとした家庭に生まれてたらヤクザになろうなんて思考にはまずならないはずだ。人を殺したり人を騙したり人から金を取る仕事。普通にできる内容じゃない。そうだよな…。俺はまだまだ幸せな方なんだよ。



「そうだよ誠也。だからこそ言える。お前は悪くない。悪い子なんかじゃねぇよ。環境が悪かったんだ。お前にも普通の家庭のような環境があればきっとすげぇキラキラしたら人生が送れたと思うぜ。それだけ親の影響は大きいんだ。それが分かってても親も初めての親だから難しい部分があるのかもしれねぇけどな。まぁそれを言い訳にするのは良くねぇけどな。」

「…慎都さんは…。」

「ん?」



慎都さんも…もし俺と同じような環境で育ってたらどうしてそんなに優しく…。優しくしてくれるんだ。人を恨んでてもおかしくない。ヤクザになったなら尚更そうだと思う…ってのは俺の勝手な解釈か。



「慎都さんも…そうなのか?」

「さぁどうだろうな。」

「教えてくれねぇの…?」

「俺は今が幸せだからいいんだ。それに生まれた環境をいつまでも恨んでたら前に進めない。それこそ時間の無駄だ。恨んでても相手は俺のことすら忘れてるだろうからな。それにお前との約束もあったから。」

「…そっか。」

「ああ。だから抱かせてくれ誠也。」

「うん……うん?」



ま、待てよ。危ねぇ!話の流れで騙された!慎都さん今抱かせてくれって言ったよな!?どさくさに紛れてなんてことを!



「お、いいのか。じゃあ遠慮なく。」

「待て!!いいとは言ってない!」

「は?男に二言はねぇぞ誠也。」

「わっ、ちょ、脱がすなっ!」



慎都さんはスルッと俺のズボンを下着ごと脱がしてきた。この人なんでこんなに仕事早いんだよ…っ!



「何?もっと触れって?仕方ねぇな。」

「やめっ、ぁ…っ!」



不意に乳首を触られて俺は変な声出しちまった…!声出してすぐ口を押えたけど時すでに遅し。慎都さんのスイッチが完全に入った。慎都さん…獣の顔になっちまった。



「いい声。お前乳首好きだよな。」

「好きじゃっ、ねぇ、触んなっ!」

「好きじゃねぇなら好きにさせてやるよ。」

「いいっ、やめっ、ろってっ、いいからっ!」

「遠慮すんな。お前の全てを愛してやるからよ。」
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