怖いお兄さん達に誘拐されたお話

こちょこちょ

｢ふざけんな横暴だろそんなの…っ！｣

｢それが俺だ。｣



何堂々と言ってんだよこの野郎！くそっ、力が強すぎて逃げらんねぇ！足はさっきまで動かせてたけど俺の足の動きを封じるために慎都さんが俺の足の上に座ってきたんだ！おかげで全身動かせねぇ！



｢このっ、犯罪者だっ、痴漢っ、変態やろう！｣

｢そうだな。俺はヤクザで若頭なわけだから世間で言うと犯罪者だ。游もそうだ。よく分かってんじゃねぇか誠也。偉いぞ。｣

｢褒められたくねぇよ…！｣

｢もういいから言えって誠也。頭もそんなに待ってくれねぇよ。｣

｢そうだぞ。それ以上待たせんなら俺も黙ってねぇ。｣



この動けない状況で何かされたら一溜りもない！でもどう凄んでも俺には逃げられるすべがない！なら言うしかねぇ…けど。



｢ねぇ頭。もうやっちゃいましょうよ。可愛いこいつ見てると我慢できません。誠也の服でも脱がせますか？｣

｢あ？馬鹿かお前。こいつの裸を見ていいのは俺だけだ。｣

｢…ちぇ、けち。｣

｢けちじゃねぇ。｣

｢じゃあ何するんですか頭は。俺はてっきり誠也が言うまでイカせんのかなぁって思ったんですけど。｣

｢それだと誠也がびひっちまうだろ。考えろ馬鹿。俺はこいつに常に本音で話して欲しいからな。怯えて俺に近寄れなくなるなんて言語道断だ。だからそれはしねぇ。｣



ならこの離せよ…！慎都さんは優しいのに優しくない！いや優しいけどさ！俺の嫌なことをやるわけでもないからよ！けどそれなら俺がされることは一つだ！あれも嫌なんだよ！



｢確かに。頭の言う通りです。｣

｢だろ？それに俺は知ってんだ。イカせ続けるよりもいい方法をな。｣

｢えーなんですか？｣

｢くすぐるんだよ。｣



や、やっぱり！嫌だって言ってんのに！俺は無駄だとわかってっけど大暴れを始めた。



｢おい誠也暴れんなよ。ていうかそれ…すげぇ面白そうです。｣

｢ま、待てってっ、それこそ横暴だろ！｣

｢何言ってんだ。お前が早く頭に言えばいいだけだろ？それにくすぐりは赤ん坊にも出来るいい技だ。辛くもねぇしよ。ただ笑うだけだろ？｣




ただ笑うだけならこんなに嫌がらねぇよ！！くすぐったいのが嫌なんだって！辛いのは辛いし！


 
｢ふざけんなっ、嫌だ俺は…っ！｣

｢なら言えって。最後のチャンスだぞ誠也。｣

｢だってよ。頭がここまで待ってくれるのは珍しいんだぞ誠也。さぁどうする？｣

｢……………っ。｣



くそ…っ。言えねぇ…っ。それを言えばくすぐられることは無いのになんかすげぇ恥ずかしい！口が動かねぇ！すきってただ二文字の言葉なのにそれが口から出ねぇ！何やってんだよ俺は…っ！



｢そうか。言えないのか。それなら仕方ねぇな。｣

｢あーあ。馬鹿だなぁお前。せっかく頭が待ってくれるってのによ。まぁ時間オーバーだけどな。｣

｢游。しっかり抑えてろよ。｣

｢もちろんです。｣

｢や、やめろって、慎都さ…っ、ははっ、はははっ、やめ！｣



あーも！やだやだ！嫌だって言ってんのに！慎都さんはそんな俺を無視してくすぐり始めやがった！しかも初めからしっかりとくすぐってくる。おかげで俺は大暴れだ！



｢お、すげぇくすぐりに弱い。｣

｢だろ？｣

｢知ってたんですか頭。｣

｢ああ。くすぐったことあるからな。｣

｢へぇ。俺も後で試そ。｣

｢やっ、ははっ、あははっ、ははっ、ぎぶっ、やめっ、やめろっ！｣



くすぐったすぎる！前くすぐられた時以上にくすぐってぇ！逃げようにも全然逃げらんねぇ！身体がガチガチに拘束されてるわけじゃねぇのに全然動かせねぇ！くそ！くすぐったい…っ！！



｢あー？ギブだって？なら言え。俺に好きって言ったら直ぐにやめてやるから。｣

｢やっ、はははっ、ははっ、やめっ、１回っ、やめろっ！｣

｢お前が先に言え。じゃねぇと俺もやめねぇ。｣



楽しそうにくすぐりやがって！後ろにいる游さんも見えては無いもののニヤニヤしてんのが分かる！ちょっと游さんのこと好きって言っただけなのに！まじでこの人大人げない！でも俺もくすぐりに決して強くねぇから長いことくすぐられんのは嫌だ。くそ…っ。



｢わかっ、ははっ、はははっ、あはっ、わかったからっ、あははっ！やめろ！｣

｢だから言えって言ってんだろ。なぁ誠也。頭をこれ以上待たせるな。｣

｢ほら誠也。早く。俺はもう待たねぇぞ。次言わねぇなら夜もいじめてやる。｣



それはまじで勘弁だ！仕方ねぇ！もう恥ずかしがってる場合じゃねぇ！



｢すきっ、ははっ、はははっ、あはっ、好きだから！！｣

｢おい誠也。俺の名前も言え。｣



なんなんだよこの人！好きって言ったらいいって言ったのに！でも従わないとくすぐられ続ける！それはもう無理だ！



｢しっ、はは、はははっ、しんとっ、さん、すきっ、だからっ、あはっ、やめ！！｣

｢いい子だ誠也。｣