上 下
128 / 148

これが銀時

しおりを挟む
「ま…っ、ぅ、んっ、ん゛っ、ん!」



俺はまさか星秀さんがキスをしてくるなんて思ってもなかったから構える暇もなくキスをされてしまった。しかも星秀さん力強いんだよ…!



「せいっ、んっ、さっ、んっ、ぅ!」



キスが激しくなっていってる。このままだと取り返しのつかないことになる。星秀さんとやれんのは…嫌じゃねぇけど…!けど!そういう問題じゃねぇんだよ!俺は慎都さんとの約束があるから。ここでやっちまったらそれを破ることになる!それだけは駄目なんだ…と、俺が思っていたその時…。



ガチャ



ん?ガチャ?ドアが…開いた?やべぇ!誰だ…!



「こら星秀。そこまでだ。」



あ…。この声…慎都さんじゃない。游さんでもない。よかった。俺はとりあえず安心することが出来た。



「たく、何してんだよお前。ぶち殺すぞ。とりあえず誠也から離れるんだ。早くしろ星秀。」



星秀さんもさすがにやばいと思ったのか俺にキスをすることを止めた。止めて少し拗ねたような顔をした。星秀さんもこんな顔するんだな…ってそれよりも今は銀時さんが部屋に入ってきたことを考えねぇと!このことを慎都さんにバラされでもしたら大変だ!



「…銀時さん。こんにちは。」

「よぉ誠也。つーかお前も何キスとかされてんだよ。慎都さんに抱き殺されんぞ。まぁ力の弱いお前じゃ抵抗も出来ないだろうけどよ。つーことで問題は星秀だな。なぁ星秀。」

「…すみません銀時さん。我慢出来なくて。」



全然星秀さん反省してないなこれ。適当に返事してる。けど…俺はそんな星秀さんを見え少し安心できた。本音で話せてるってことだから。それだけ銀時さんはいい人なんだよね。



「たく、今回は黙っててやるから二度とこんな真似すんなよ。分かったな星秀。たくよぉ…。まぁいいわ。誠也、お前はとりあえず慎都さんのところに行け。」

「…わ、分かりました。星秀さんまたね。」



本当はもう少し星秀さんと話していたかったけどキスをしたことをバラされるのを恐れた俺は銀時さんの言う通りに動いて星秀さんにさよならしようとした。

けど…。



「あ?何言ってんだ誠也。星秀も行くんだぞ。」

「そうなの…!?」

「喜んでんじゃねぇ!誠也、お前慎都さんの前で絶対そんな顔すんなよ。」

「…銀時さん厳しい。」



俺を守るためにそう言ってくれてるのは分かってるけど慎都さんはそこまで短気な人じゃない…と思う。銀時さんの優しさは凄く嬉しいんだけど厳しい人だなとも同時に思った。けど俺はそんな銀時さんにやっぱり憧れる。男の鏡だと思うこの人は。



「それが俺だ。な?星秀。」

「俺に話を振らないで下さいよ銀時さん。」

「あ?てめぇこら。俺がキス止めたこと根に持ってんだろ。」

「…いえ。」

「その顔は絶対根に持ってやがるな。たく…。つーか星秀。俺はお前のためを思って言ってんだぞ。」

「分かってますよ。ありがとうございます。」

「思ってねぇだろ。たくよぉ。まぁいいや。誠也、おいで。慎都さんとこ行くから。星秀も来いよ。」

「はい。」



はは…っ。星秀さん拗ねてる。そんな星秀さんに呆れ顔をする銀時さん。楽しいなぁ…。俺はそんなことを思いながら銀時さんについて行った。慎都さんのところに行くために。



「慎都さん。失礼します。」

「銀時だな。入れ。」

「失礼します。」



銀時さんはそう言うと扉を開けた。けど何故か一歩後ろに下がったんだ。それで俺を先に入れてくれた。その後銀時さんが入ってきて次に星秀さんも部屋に入ってきた。俺なんかをこんなに丁寧に扱わなくていいのに…っ。どうしていいかわかんねぇし何より申し訳ねぇ!



「誠也。おいで。」



俺が色々考えていると慎都さんがそう言ってきた。この部屋には游さんと慎都さんがいて2人は何かを話していた。けど俺が入ると慎都さんは書類を片付けて俺に手招きをしてくれたんだ。



「慎都さん。」

「よぉ。早く来いって。」

「う、うん。」



な、なんか慎都さん怒ってねぇか…?もしかして銀時さんさっきのこと言ったのか…?嘘だろ。いやでも…気の所為かもしれねぇし隠そう…。



「星秀とちゃんと話せたか?」

「うん。慎都さんのおかげだ。」

「なら良かった…と言いたいとこだが。おい星秀。なんだその顔は。なんでお前が不貞腐れてんだよ。」



…え?星秀さん…?俺は星秀さんが後ろにいたから星秀さんの顔は見えてなかった。なんだ。慎都さんが気難しい顔をしてたのは星秀さんのせいか。よかった…。あの事じゃなかった。



「…別に何もありませんよ。気にしないで下さい慎都さん。」

「何もねぇ顔じゃねぇだろ。おい銀時。お前なんか知ってんなら言え。」

「慎都さん。俺に話を振らないで下さい。」



銀時さんが真顔で慎都さんにそういったのを見て游さんが大笑いしてる。その笑いに俺も釣られて笑っちまった。



「んだよそれ。まぁいいけど。何はともあれ銀時。星秀はお前の一番部下なんだからちゃんと教育しとけよ。俺を失望させてくれるな。」

「分かってますよ慎都さん。じゃあ俺はこの辺で。仕事があるので星秀連れて失礼しますね。」

「ああ。じゃあな。あ、待て銀時。」



帰ろうとした銀時さんを游さんが止めた。これまでの成り行きを笑ってみていただけの游さんが発言したから銀時さんも足を止めて游さんの近くまで来た。



「なんですか游さん。」

「これも追加でよろしく。」

「あ、これ…例の件ですね。承知しました。では失礼します。」



あ…。銀時さん行っちゃった。その銀時さんの後ろを星秀さんもついて行っちゃったから2人ともいなくなっちまった。そんなわけで俺は游さんと慎都さんと3人で部屋に残された。なんか嫌な予感すんだよな…。



「誠也。どうした?モゾモゾして。欲求不満かよ。」

「ち、違ぇし!游さんと一緒にすんな!」

「おーお前俺の事よく分かってんじゃねぇか。ねぇ頭。」

「そうだな。」



何喜んでんだよ!俺は游さんを貶したつもりだったのに游さんは喜んで嬉しそうにしてる。変なやつだな…相変わらず。



「あのぅ頭。せっかく3人になれたんですし楽し事しましょうよ。誠也もしたいだろ?」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています

橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが…… 想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。 ※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。 更新は不定期です。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

処理中です...