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「誠也。起きろって。星秀に逢いに行くんだろ?」



…んん…?慎都さんの声……。会いに行く…会い……に…。そうだ!!星秀さん!!!



「おっと、そんな勢いよく起き上がるなよ。体に悪いぞ。」

「おはよ…慎都さん。」

「おはよう誠也。」

「もう朝?」

「ああ。9時ぐらい。飯食って行こう。」

「うん。」



あれ…?体が痛くない。痛くないだけじゃない。体がなんか軽い。なんでだ?腰も足も全然キツくない。こんな事初めてだ。



「誠也、起き上がれそうか?」

「起き上がれる。体がなんか…軽い。 」

「お、やるじゃねぇか。なら今夜は少し無理させても大丈夫そうたな。」

「な、なんでそうなるんだよ!」

「お前の望みを一つ叶えてやるんだ。俺の望みも聞いてもらわねぇとだろ?」

「………………っ。」



こればっかりは仕方ねぇ。また慎都さんの機嫌を損ねて星秀さんに会わせたくないなんて言われたら大変だ。今は何も言わないでおこう。




「ん?どうした誠也。反論しねぇんだな。元気ねぇの?」

「そんなことない。」

「ふーん。ならいいけど。」



慎都さんはそう言って俺の顔をじっと見てきた。なんだよもう…。またなんか悟られてる気分になる。



「…なんだよ。」

「いやてっきりもっと騒ぐかと思ってよ。今夜激しくしてもいいって事か?」

「…そうしたいなら好きにしろよ。」



思ったより体も痛くないし、慎都さんは俺に過度な無理をさせてこない。それに何よりも慎都さんは俺の望むことをさせてくれる。だから俺も慎都さんに返さなきゃいけない。あと…嫌じゃない。俺もついにイカれちまったのかもしらねぇけど慎都さんとやんのは嫌じゃない…。



「へぇ。可愛いなお前。じゃあそうさせてもらうわ。」

「ま、待てって慎都さんっ、先に星秀さん…!」



慎都さんがスイッチの入った顔をして俺に抱きついてきたから俺は慌てて叫んだ。さすがに今抱かれたら動けなくなる!



 「ああ。ちゃんと分かってるよ。游にも会い行かねぇとな。支度したら直ぐに出るぞ。」

「…うん。」

「あと俺のマッサージ効果あったみたいで良かった。」

「マッサージ…?なんの事だ?」



俺、慎都さんにマッサージなんてして貰ったか…?思い当たらない。あ…もしかして…俺が寝てる間にしてくれたのか?



「お前がぐっすり寝てる間にやってやったんだよ。無理させちまったし明日動けなくなったら困るからな。星秀に会いに行きたいって言ってたしよ。だからマッサージしてやったんだ。」

「……ありがとう。」



こんな風にこれまで誰かが俺の体のことを気遣ってくれたことがあっただろうか。いや………一人だけいた。それは星秀さん…。ただ一人だけだった。でもそんとき星秀さんも余裕なくて関われた時間は少ない。だからこそこうして慎都さんが色々俺にしてくれて嬉しかった。なんか俺…泣きそう…。



「こんぐらいで礼を言うな。そもそも無理させた俺が…はぁ!?なんで泣いてんだお前!」

「あ、いや…これは…っ、」



俺もなんで泣いてんのか分かんねぇよ。気づいたら涙が出てた。嬉しいのか。悲しいのか…いや何言ってんだ俺は。嬉しいからに決まってんだろ。



「嬉しかったから…。」

「嬉しい?はぁ?どういう事だ。」

「俺は…マッサージしてもらった事ない。」



そこに喜んだんじゃねぇけど…な。上手く言えない。涙が出てるから。俺が嬉しいと思ったのは慎都さんが俺の事を気遣ってくれたこと。俺の事を性欲処理とかとして見てるんじゃなくて一人の人間として見てくれてることが嬉しかったんだ。



「そんなに嬉しかったなら毎日してやるよ。まぁそれは毎日俺とやるって意味にもなるけどよ。お前がそれを望むなら俺は喜んで毎日するぜ誠也。」

「…ま、毎日は勘弁っ、」

「勘弁ってなんだよてめぇ。毎日やるに決まってんだろ。」

「なんで慎都さんはそんなに元気なんだよ!」

「いや逆に誠也の性欲の無さにビックリするわ。俺が16の時なんて性欲の塊だったぞ。だから俺が鍛えてやるよ。毎日愛し合おうぜ誠也。」

「……………っ。」



毎日…っ。体力持つか……って俺は何を考えてるんだ。前は…嫌だとか…どうやって逃げようとか…。それしか考えられなかった。なのに俺は今…体力の心配をした。やべぇ…また泣きそう…。



「…どうせ俺が嫌って言ってもやるんだろ。」

「よく分かってんじゃねぇか。だがまぁ安心しろ。お前の体調を見てやるからよ。」

「…余計なお世話だ。」

「おいおいそんな事言うなよ誠也…ってまた泣いてんのか。仕方ねぇやつだ。ほら誠也、おいで。抱きしめてやるから。」
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