怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

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緊張

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「ま、またそうやってっ、恥ずかしいこと言うなよ…!」



愛してるとか幸せにするとか。あの屋敷にいた時はそういう事を言われる度に怖いと思っていた。その言葉が鎖のように体に絡みついてくるから。それを言われる度俺はここにいなきゃいけない。まだ解放されない。そんな思いになっていた。だけど慎都さんに言われると…全然違ったんだ。



「あ?恥ずかしくねぇだろ。俺がお前を愛してんのは事実だし。それに何年待ったと思ってんだ。お前が俺のそばに居るのが幸せでたまんねぇよ。」

「…………っ。」



すき焼きを作りに行くと言ったはずの慎都さんだけどまだ俺をソファで抱きしめてキスをしまくってくる。こめかみにも頭にも唇にも鼻にも。顔全体にキスをしてきてた。俺はそれをされて思わず固まっちまった。自分でもなんでそうなったのかは分からない。緊張…してしまうんだ。



「し、慎都さん…!」

「んー?」

「キスは、もう…っ、」

「なんでだよ。嫌がってねぇじゃんお前。」

「そうだけど…っ。」



そう。嫌じゃないんだ。それが俺の中で整理できない。嫌で仕方がなかった行為なのにおかしいんだ。俺はおかしくなった。キスされても嫌じゃないなんて…。



「だけど?」

「…長いっ、から!」

「いいじゃねぇか。俺はそんだけお前を探してた。んで、ようやく巡り会えたんだ。これぐらいさせてくれよ。な?誠也。」

「あっ、ちょ…っ。」



慎都さんはまたキスを再開した。しかも今度はさっきよりも強く抱き締められてる。腕も一緒に抱きしめられてるから俺は為す術がない。抵抗する気もないけど恥ずかしくて…心臓がバクバクする。慎都さんに顔を鷲掴みにされて時より笑うその顔を見ると顔が赤くなっていく。



「可愛い顔。」

「…う、うるせぇっ、つかもういいだろっ、満足しただろ!」

「まーだ。こら誠也、逃げようとすんな。」



どの道俺は力の差があって逃げれないけど抵抗する素振りだけは見せてみた。こんな至近距離に慎都さんがいること自体恥ずかしくてどうしていいか分からなくなる。



「長げぇんだよ…!」

「んな長くねぇだろ。俺はその気になればもっとしつこいぞ。」

「や、やだ…!」



またキスをしてこようとした慎都さんを俺は思わず突っぱねた。けど当然そんなのなんの意味もなくて慎都さんは俺を腕を掴んで俺に近づいてきた。



「なんだよそれ。可愛いな。」

「は、離せって…っ。」

「嫌だね。」

「近い…っ、んだよ!」

「そりゃキスすんだから近づかねぇとな。」

「っ、も、キスはいいって!」

「なら本気で抵抗しろよ。それとも出来ねぇ?」

「……………っ。」

「意識してんのか俺の事。」



意識しねぇわけねぇじゃん…。
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