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お家

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「またな誠也!頭もお疲れ様です!」

「おう。お疲れ游。あの件の事頼むな。」

「はい。またなんかあったら報告しに来ますね。」

「ああ。」



慎都さんがそう返事をすると游さんは俺に満面の笑みで手を振って部屋を出ていった。結局游さん、この部屋に3時間ぐらいいた気がする。でもそのおかげで俺は緊張せずに怖い思いもせずに過ごせた。



「誠也、俺達も帰るぞ。」



ん…?帰る?帰るってどこに行くつもりなんだ慎都さん。



「どこに?」

「家だ。仕事終わったから家に帰る。」



そっか。事務所が広すぎて忘れてたけどここは家じゃないんだ。慎都さんの家はまた別のところにある。きっとここよりも広いんだろうな。



「分かった。」

「ん。いい子。こっちだ。おいで誠也。」

「うん。」



俺は言われるがままに慎都さんについて行った。そんで部屋を出て廊下を少しだけ歩いたところで慎都さんは止まった。



「ここは俺だけが使える専用のエレベーターなんだ。まぁ游も使う時はあるがそれ以外の連中はこのエレベーターも使えねぇから安心しろ。」

「…凄い作りだな。」



専用のエレベーターがある事自体にも俺は驚いたけどそれよりも驚いたのはカードキーでエレベーターが動いたということ。時代はここまで進歩してたのか…。俺は知らねぇことばかりだな。



「そのだろ?組長が作ってくれたんだ。」



組長…ってことは治みたいな立場ってことだよな。慎都さんは時期組長になるって言ってたから…今のこの組のトップの人。どんな人なんだろう。だけど俺は不思議と怖いとは思わなかった。それは慎都さんがこんなにもいい人だから。



「なぁ慎都さん。」

「ん?」

「組長ってどんな人?」

「あーお前は知らなくていい。まぁ時に挨拶することになるだろうけどな。それまでは何も知らなくていい。」

「わ、わかった…。」



俺の頭をポンポンとしながら慎都さんはそう言った。だから俺はその通りにしようと思った。慎都さんがいうならその通りにした方がいいって思ったから。



「誠也、エレベーター来たぞ。」

「あ、うん。」



エレベーターも凄く綺麗だった。俺が知ってるエレベーターじゃない。これは…凄いな。



「ここが俺の家だ。」



エレベーターにも驚いたけどやっぱり慎都さんの家は格別だった。広すぎる。こんなの宮殿だ。それに玄関も凄くセキュリティ万全って感じだった。恐ろしい…。俺こんなところに住むのか…。



「広すぎだろ…。」

「そうか?このぐらい普通だろ。」

「普通じゃねぇだろ…!」

「そんな驚くなって。これからお前はここで生活すんのに毎日驚いてたら心臓がやられんぞ。」

「俺はそんなにヤワじゃねぇし…!」

「はは、そうかよ。」



俺が強がってるのを慎都さんは見越してる。この人には嘘をつくことが出来ないなとつくづく思う。けど慎都さんは俺の嘘を見抜いても何もしてこない。笑うだけで俺を責めたりはしないんだ。



「誠也、夜ご飯はすき焼きにしようと思うけどいいか?」

「そ、そんなの食べていいのか…!?」



俺はすき焼きなんて豪華なご飯を食べたことがない。鍋ですら食べたことがないんだ。そんな美味しそうなものが食べられるなんて俺は考えただけでも幸せだった。



「なんだよお前。すき焼き食べたことねぇの?」

「ない…。」

「そうかそうか。なら一緒に食べよう。美味いぜあれは。」



深入りをしてくることも慎都さんはしない。どこまでも本当に優しい。



「ありがとう慎都さん。」

「ああ。作ってやるから休んどけ。初めての場所に連れてこられて疲れたろ。」

「…なんで俺にそんなに優しくしてくれるんだ。」

「事務所で言ったろ?お前を守ると誓ったってよ。あと夜は長いからな。」

「…ん?どういう意味だ?」

「まぁ夜になれば分かる。それまで休んどけ。出来たら声かけるから。」

「分かった。」



俺は慎都さんの言ったその言葉の意味を重く考えなかった。慎都さんは優しい人。それが定着してたから。



「いい子だ誠也。愛してんぞ。俺がお前を幸せにしてやるからな。」
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