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笑顔
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「なぁ誠也。そんな無理して思い出さなくていいって。そんな簡単に思い出せたらとっくに思い出せてるっつーの。」
「分かってるけど…考えたら思い出せるかもしれねぇじゃん!」
「無理だろ。」
「なっ、なんでそんなこと言うんだ!」
諦めなきゃ何が起こるか分かんねぇだろ…って心の中で思ってんのと同時に俺は慎都さんの言う通りだなとも分かってる。けどな、気になりだしたら止まんねぇんだよ。
「あのな誠也。思い出せねぇってことは嫌な記憶だ。それを無理に掘り返す必要なんてねぇしこれから新しく俺達の思い出作ってけばいいだろ。それにそんなに頭使ったら疲れるぞ。」
「…たしかに。」
「だろ?お前ただでさえ馬鹿なんだから。」
「うん…うん?」
貶されたよな俺今。最後の一言要らねぇじゃんか…っ!!
「ばかじゃねぇし…!」
「はは、そうか?」
「そうだし…!」
「まぁどっちでもいいだろ。結局誠也は可愛いし。」
「可愛いってなんだよ慎都さんっ、俺は男だ…!」
「あ?んな事分かってるよ。何言ってんだお前。」
なんだよそれ!俺が悪いのか!?なんで俺が呆れられた顔されなきゃいけねぇんだよ…っ!たく…っ。
「…もういいや。」
俺が思ってる事と慎都さんが思ってることがすれ違いすぎてて話にならねぇ。それに俺が馬鹿なのは事実だし…。認めたくないだけで…。だからもうこの話は終わりだ!そう思って俺が下を向くと…。
「んー?どうした誠也。下向くなよ。せっかくの可愛い顔が見れねぇだろ?」
と、言って俺の顔を上げさせてきた。しかもこれ…キスされる。
「……………っ。」
「キスしただけなのに恥ずかしがりやがって。意外とピュアだなお前。」
「うるせぇ…!」
「図星だな。可愛いやつ。」
「……………っ!」
調子狂わせるな…!!そりゃキスされたら誰だって………いや誰でもそうなるわけじゃないか。だって治にされた時は嫌悪感しかなかった。渚さんにされた時は嫌悪感こそなかったもののこんな気持ちにはならなかった。ならなんで俺は…。そんなことを俺が考えていたその時…。
コンコン
「頭。お疲れ様です。」
游さんの声だ。さっき慎都さんが頼んでたものが届いたのかも。俺は一旦考えることをやめた。ただがむしゃらに考えても解決しねぇしな。
「お、游が来たようだな。」
「うん。そうみたいだな。」
「迎えに行ってやれ誠也。」
「なんで俺?」
「游が喜ぶだろうから。」
「…?わかった…。」
俺なんかが迎えに行っても喜ばねぇだろ。んな事は言わねぇけどさ。そんな事を思いながら俺は扉を開けた。
するとーーー。
「お!誠也じゃねぇか!出迎えてくれたのか!お前って奴は可愛いなぁ!」
「うわっ…!!」
扉を開けて游さんと目が合ったその瞬間に俺は一気に苦しくなった。なんでかって?游さんが飛びついてきたからだ!
「ゆ、游さんっ、苦しい…っ。」
「可愛いなぁお前。」
「おい游。程々にしろ。誠也が潰れるだろうが。それとちゃんと肉持ってきたか?」
「もちろんです。」
游さんは俺を離すことなく抱きしめたまま慎都さんに持ってきたものを見せびらかしていた。慎都さんも慎都さんでそんな游さんを気にすることなく食べ物を受け取った。俺…このままなのか…?
「ありがとな。じゃあ游、お前もう帰っていいぞ。」
「え?何言ってるんですか頭。俺帰りませんよ?」
「は?」
俺を抱きしめたままけ口喧嘩すんなよ…もう!別にいいけどさ…。
「頭、俺もここで食べます。」
「はぁ?」
「いいでしょ別に。ね、誠也。」
「誠也、こんなやつ無視していいぞ。帰れ游。」
「嫌ですよ。」
「…はぁ。たく、仕方ねぇな。食ったら仕事しろよ。」
「はーい。」
「全く…。つーかお前はいつまで誠也を抱きしめてんだよ。いい加減離せ。こいつは俺のもんだ。」
「もう仕方ないですねぇ。」
そう言って游さんは渋々俺を離してくれた。やっと…解放された。けど俺は自分をに驚いた。だって游さんに抱きつかれた時何も思わなかった…。怖いとも…。そんなこんなあって3人でご飯を食べることになったんだけど游さんと慎都さんは俺を挟むようにして同じソファに座ってきた。狭いっつーの。
「そういや游。星秀はどんな様子だ?」
「いやぁ、それがですね。あいつすげぇっすよ。仕事が出来まくりです。近藤治が手の内に収めておきたかったのも分かると言いますか…あいつは凄いです。」
星秀さんが褒められてなんだか俺まで嬉しくなった。星秀さんも何からも怯えることなく生活できる。本当に良かった。
「相変わらず語彙力ねぇな游は。」
「酷いっすよ頭。」
「まぁ何はともあれ元気ならよかった。あいつもこれで何からも怯えなくていいだろうからな。」
「そうっすね。」
2人は本当に優しい人なんだろうな。こうやって俺たちを助けてくれたわけだし。それに游さんと慎都さんに救われた人は俺たちだけじゃないんだろうな。
「そういや頭。誠也は星秀のとこ行かせないんですか?」
「あーそれはもう少し後でな。会わせようと思ったんだが星秀が仕事に集中出来てんならそっとしといてやる方がいいだろ。」
「頭。んな事言って本当は会わせたくないだけじゃないんですか?」
「違ぇよ馬鹿。」
「いて!」
あ、慎都さんが游さんを殴った。なんかすげぇ音したぞ今。ゴツンって。慎都さんは力強いなやっぱり。
「すぐ暴力振るうの無しですよ頭。なぁ誠也。」
「游さんが余計なこと言うからだよ。」
「はは、言われてやんの。」
「頭ぁ!」
「分かってるけど…考えたら思い出せるかもしれねぇじゃん!」
「無理だろ。」
「なっ、なんでそんなこと言うんだ!」
諦めなきゃ何が起こるか分かんねぇだろ…って心の中で思ってんのと同時に俺は慎都さんの言う通りだなとも分かってる。けどな、気になりだしたら止まんねぇんだよ。
「あのな誠也。思い出せねぇってことは嫌な記憶だ。それを無理に掘り返す必要なんてねぇしこれから新しく俺達の思い出作ってけばいいだろ。それにそんなに頭使ったら疲れるぞ。」
「…たしかに。」
「だろ?お前ただでさえ馬鹿なんだから。」
「うん…うん?」
貶されたよな俺今。最後の一言要らねぇじゃんか…っ!!
「ばかじゃねぇし…!」
「はは、そうか?」
「そうだし…!」
「まぁどっちでもいいだろ。結局誠也は可愛いし。」
「可愛いってなんだよ慎都さんっ、俺は男だ…!」
「あ?んな事分かってるよ。何言ってんだお前。」
なんだよそれ!俺が悪いのか!?なんで俺が呆れられた顔されなきゃいけねぇんだよ…っ!たく…っ。
「…もういいや。」
俺が思ってる事と慎都さんが思ってることがすれ違いすぎてて話にならねぇ。それに俺が馬鹿なのは事実だし…。認めたくないだけで…。だからもうこの話は終わりだ!そう思って俺が下を向くと…。
「んー?どうした誠也。下向くなよ。せっかくの可愛い顔が見れねぇだろ?」
と、言って俺の顔を上げさせてきた。しかもこれ…キスされる。
「……………っ。」
「キスしただけなのに恥ずかしがりやがって。意外とピュアだなお前。」
「うるせぇ…!」
「図星だな。可愛いやつ。」
「……………っ!」
調子狂わせるな…!!そりゃキスされたら誰だって………いや誰でもそうなるわけじゃないか。だって治にされた時は嫌悪感しかなかった。渚さんにされた時は嫌悪感こそなかったもののこんな気持ちにはならなかった。ならなんで俺は…。そんなことを俺が考えていたその時…。
コンコン
「頭。お疲れ様です。」
游さんの声だ。さっき慎都さんが頼んでたものが届いたのかも。俺は一旦考えることをやめた。ただがむしゃらに考えても解決しねぇしな。
「お、游が来たようだな。」
「うん。そうみたいだな。」
「迎えに行ってやれ誠也。」
「なんで俺?」
「游が喜ぶだろうから。」
「…?わかった…。」
俺なんかが迎えに行っても喜ばねぇだろ。んな事は言わねぇけどさ。そんな事を思いながら俺は扉を開けた。
するとーーー。
「お!誠也じゃねぇか!出迎えてくれたのか!お前って奴は可愛いなぁ!」
「うわっ…!!」
扉を開けて游さんと目が合ったその瞬間に俺は一気に苦しくなった。なんでかって?游さんが飛びついてきたからだ!
「ゆ、游さんっ、苦しい…っ。」
「可愛いなぁお前。」
「おい游。程々にしろ。誠也が潰れるだろうが。それとちゃんと肉持ってきたか?」
「もちろんです。」
游さんは俺を離すことなく抱きしめたまま慎都さんに持ってきたものを見せびらかしていた。慎都さんも慎都さんでそんな游さんを気にすることなく食べ物を受け取った。俺…このままなのか…?
「ありがとな。じゃあ游、お前もう帰っていいぞ。」
「え?何言ってるんですか頭。俺帰りませんよ?」
「は?」
俺を抱きしめたままけ口喧嘩すんなよ…もう!別にいいけどさ…。
「頭、俺もここで食べます。」
「はぁ?」
「いいでしょ別に。ね、誠也。」
「誠也、こんなやつ無視していいぞ。帰れ游。」
「嫌ですよ。」
「…はぁ。たく、仕方ねぇな。食ったら仕事しろよ。」
「はーい。」
「全く…。つーかお前はいつまで誠也を抱きしめてんだよ。いい加減離せ。こいつは俺のもんだ。」
「もう仕方ないですねぇ。」
そう言って游さんは渋々俺を離してくれた。やっと…解放された。けど俺は自分をに驚いた。だって游さんに抱きつかれた時何も思わなかった…。怖いとも…。そんなこんなあって3人でご飯を食べることになったんだけど游さんと慎都さんは俺を挟むようにして同じソファに座ってきた。狭いっつーの。
「そういや游。星秀はどんな様子だ?」
「いやぁ、それがですね。あいつすげぇっすよ。仕事が出来まくりです。近藤治が手の内に収めておきたかったのも分かると言いますか…あいつは凄いです。」
星秀さんが褒められてなんだか俺まで嬉しくなった。星秀さんも何からも怯えることなく生活できる。本当に良かった。
「相変わらず語彙力ねぇな游は。」
「酷いっすよ頭。」
「まぁ何はともあれ元気ならよかった。あいつもこれで何からも怯えなくていいだろうからな。」
「そうっすね。」
2人は本当に優しい人なんだろうな。こうやって俺たちを助けてくれたわけだし。それに游さんと慎都さんに救われた人は俺たちだけじゃないんだろうな。
「そういや頭。誠也は星秀のとこ行かせないんですか?」
「あーそれはもう少し後でな。会わせようと思ったんだが星秀が仕事に集中出来てんならそっとしといてやる方がいいだろ。」
「頭。んな事言って本当は会わせたくないだけじゃないんですか?」
「違ぇよ馬鹿。」
「いて!」
あ、慎都さんが游さんを殴った。なんかすげぇ音したぞ今。ゴツンって。慎都さんは力強いなやっぱり。
「すぐ暴力振るうの無しですよ頭。なぁ誠也。」
「游さんが余計なこと言うからだよ。」
「はは、言われてやんの。」
「頭ぁ!」
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