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思ってたのと…
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「お疲れ様ですじゃねぇよ。なんで寒い廊下に誠也を長居させてんだ。風邪引くだろうが。」
「いて!何するんすか頭!」
「うるせぇよ。誠也、こいつに何もされてないか?」
「だいじょうぶ、です…。」
慎都さんは游さんと同じで強面な顔をしていた。けど不思議と怖いとは思わなかった。だってこの人…俺に必要以上は近づこうとしなかったから。俺を怖がらせないためとは限らないけど優しい人だなと思った。
「違うんすよ頭。これには訳がありましてね。」
「まぁいい。その訳とやらは後で聞いてやるよ游。とりあえず入れ。誠也もおいで。中の方が暖かいから。」
「…は、はい。」
俺の返事を聞くと慎都さんは笑った。なんか…思ってたのと違うかも。慎都さんって人は游さんと同じで優しい。雰囲気が何となく游さんと似てた。
「…広い。」
「だろ?ここは頭専用の部屋だからな。けどここに住んでるわけじゃねぇ。頭が住んでんのは上の階だ。」
「おら游。ペラペラ喋ってんじゃねぇよ。」
「あ、すんません。」
「たく…。」
そう言いながらも慎都さんは別に怒っていると言うわけでもなさそうだった。きっとこれが2人にとっての日常なんだろうな。俺がそんな事を思っていると慎都さんが俺の向かい側の椅子に座ってきた。
「誠也。まずは急に連れてきてしまってすまないな。お前の様子を確認してこいとだけ伝えたはずがこの馬鹿がお前に手も出してしまったようだ。本当にすまない。」
「…いや、大丈夫、です。」
謝られた…!ヤクザに…っ。しかも若頭に…!この人なんか企んでんのか…!?
「はは、まだ緊張してるな。無理はしなくていい。俺は別に何か企んでるわけじゃねぇから。」
み、見透かされてる…。けどしょうがねぇか。俺があんまりにも緊張してるから。俺の隣に座ってる游さんにすらも笑われてんだから。ただ怖くはない。緊張しているだけで恐怖はなかった。
「だからな誠也、ゆっくりここに慣れていけ。游、お前はとりあえず持ち場に戻れ。そんで星秀のとこ行ってこい。」
「…えぇ。」
「嫌な顔してんじゃねぇ。さっさと行け。」
「…はーい。じゃあ後でな誠也。頭もお疲れ様です。」
「ああ。お疲れ様。」
「じゃあな誠也。」
2回目…。游さんはそんなにここから離れたくないのか…。けど正直言って俺も游さんにどこにも行って欲しくはなかった。怖くない人と分かっていても慎都さんと2人っきりになるのはまだ緊張するから。
「うん…。じゃあね。」
游さん…行っちゃった…。どうしよう…っ。心臓が口から出そうなほど緊張する。そんな事ないって分かってるけど慎都さんも治と同じようなことをしてきたらどうしようとか色々考えてしまう。治に見せられたあの拷問部屋の景色も未だに頭から離れることは無い。だから怖くて…
「誠也。」
「は、はい。」
俺が色々考えていると慎都さんに名前を呼ばれた。その時慎都さんと目が合って…俺と目が合った慎都さんは笑ってきた。いや、微笑んでくれた。
「大丈夫だ誠也。何もしねぇから。まずは自己紹介からしようか。俺この組の若頭を勤めてる如月慎都だ。よろしくな誠也。お前の事は事前に調べさせてもらってる。だが俺は近藤治のようなことはしない。ここで自由に生きたらいい。ただ…。」
そこまで言うと慎都さんは席を立って俺の隣の椅子に座ってきた。元々游さんが座っていた場所だ。
「俺の愛人になってもらう。」
愛人…。てことはやっぱり俺は治にされてたようなことをされるのか…?やべぇ…また…不安になってきた…。
「だが愛人になってもらうと言うだけで他のことは強制しない。ただまぁそうなる以上は他の奴に抱かれることは許さない。分かったな。それができるなら自由にしていいから。」
そんなの…当たり前に出来るに決まってる。あの屋敷にいた時…そうなればいいと何度思ったことか。嫌な行為を何度も何度もさせられても俺は拒否することも出来なかった。なのに慎都さんは俺に選択肢を与えてくれた。
「分かり…ました。ありがとうございます…っ。」
自由…。これまで生きてきて俺になかったものだ。俺も別に贅沢を望んでいたわけじゃない。ただ誰かに愛して欲しかったんだ。その相手は親だ。親にすら愛されない俺は頼る人もいなかった。でも慎都さんはそれを俺に与えてくれる…そんな気がした。でも気がかりなこともある。それはこの人は俺の事を手に入れたいんじゃないのかということ。俺が逃げるとかそんな事は思わないのだろうか…。
「お前は偉いよ。すげぇよ。あそこでよく耐えたな誠也。けどもう我慢はしなくていい。俺がお前を幸せにしてやるから。」
俺がこれまで報われなかったのはこの時幸せになるからだったのかも…しれねぇな。慎都さんを信じていいのか…とか半信半疑じゃない。俺はこの人を…慎都さんを信じたいと思えた。
「………………っ。」
「あーあ。こんなに泣いちまって。全部溜まってるもん出しちまえ。泣きまくれ。俺が全部受け止めてやるから。」
「いて!何するんすか頭!」
「うるせぇよ。誠也、こいつに何もされてないか?」
「だいじょうぶ、です…。」
慎都さんは游さんと同じで強面な顔をしていた。けど不思議と怖いとは思わなかった。だってこの人…俺に必要以上は近づこうとしなかったから。俺を怖がらせないためとは限らないけど優しい人だなと思った。
「違うんすよ頭。これには訳がありましてね。」
「まぁいい。その訳とやらは後で聞いてやるよ游。とりあえず入れ。誠也もおいで。中の方が暖かいから。」
「…は、はい。」
俺の返事を聞くと慎都さんは笑った。なんか…思ってたのと違うかも。慎都さんって人は游さんと同じで優しい。雰囲気が何となく游さんと似てた。
「…広い。」
「だろ?ここは頭専用の部屋だからな。けどここに住んでるわけじゃねぇ。頭が住んでんのは上の階だ。」
「おら游。ペラペラ喋ってんじゃねぇよ。」
「あ、すんません。」
「たく…。」
そう言いながらも慎都さんは別に怒っていると言うわけでもなさそうだった。きっとこれが2人にとっての日常なんだろうな。俺がそんな事を思っていると慎都さんが俺の向かい側の椅子に座ってきた。
「誠也。まずは急に連れてきてしまってすまないな。お前の様子を確認してこいとだけ伝えたはずがこの馬鹿がお前に手も出してしまったようだ。本当にすまない。」
「…いや、大丈夫、です。」
謝られた…!ヤクザに…っ。しかも若頭に…!この人なんか企んでんのか…!?
「はは、まだ緊張してるな。無理はしなくていい。俺は別に何か企んでるわけじゃねぇから。」
み、見透かされてる…。けどしょうがねぇか。俺があんまりにも緊張してるから。俺の隣に座ってる游さんにすらも笑われてんだから。ただ怖くはない。緊張しているだけで恐怖はなかった。
「だからな誠也、ゆっくりここに慣れていけ。游、お前はとりあえず持ち場に戻れ。そんで星秀のとこ行ってこい。」
「…えぇ。」
「嫌な顔してんじゃねぇ。さっさと行け。」
「…はーい。じゃあ後でな誠也。頭もお疲れ様です。」
「ああ。お疲れ様。」
「じゃあな誠也。」
2回目…。游さんはそんなにここから離れたくないのか…。けど正直言って俺も游さんにどこにも行って欲しくはなかった。怖くない人と分かっていても慎都さんと2人っきりになるのはまだ緊張するから。
「うん…。じゃあね。」
游さん…行っちゃった…。どうしよう…っ。心臓が口から出そうなほど緊張する。そんな事ないって分かってるけど慎都さんも治と同じようなことをしてきたらどうしようとか色々考えてしまう。治に見せられたあの拷問部屋の景色も未だに頭から離れることは無い。だから怖くて…
「誠也。」
「は、はい。」
俺が色々考えていると慎都さんに名前を呼ばれた。その時慎都さんと目が合って…俺と目が合った慎都さんは笑ってきた。いや、微笑んでくれた。
「大丈夫だ誠也。何もしねぇから。まずは自己紹介からしようか。俺この組の若頭を勤めてる如月慎都だ。よろしくな誠也。お前の事は事前に調べさせてもらってる。だが俺は近藤治のようなことはしない。ここで自由に生きたらいい。ただ…。」
そこまで言うと慎都さんは席を立って俺の隣の椅子に座ってきた。元々游さんが座っていた場所だ。
「俺の愛人になってもらう。」
愛人…。てことはやっぱり俺は治にされてたようなことをされるのか…?やべぇ…また…不安になってきた…。
「だが愛人になってもらうと言うだけで他のことは強制しない。ただまぁそうなる以上は他の奴に抱かれることは許さない。分かったな。それができるなら自由にしていいから。」
そんなの…当たり前に出来るに決まってる。あの屋敷にいた時…そうなればいいと何度思ったことか。嫌な行為を何度も何度もさせられても俺は拒否することも出来なかった。なのに慎都さんは俺に選択肢を与えてくれた。
「分かり…ました。ありがとうございます…っ。」
自由…。これまで生きてきて俺になかったものだ。俺も別に贅沢を望んでいたわけじゃない。ただ誰かに愛して欲しかったんだ。その相手は親だ。親にすら愛されない俺は頼る人もいなかった。でも慎都さんはそれを俺に与えてくれる…そんな気がした。でも気がかりなこともある。それはこの人は俺の事を手に入れたいんじゃないのかということ。俺が逃げるとかそんな事は思わないのだろうか…。
「お前は偉いよ。すげぇよ。あそこでよく耐えたな誠也。けどもう我慢はしなくていい。俺がお前を幸せにしてやるから。」
俺がこれまで報われなかったのはこの時幸せになるからだったのかも…しれねぇな。慎都さんを信じていいのか…とか半信半疑じゃない。俺はこの人を…慎都さんを信じたいと思えた。
「………………っ。」
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