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新たな家
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「誠也、そろそろ着くからな。それと変に緊張なんてしなくていい。大丈夫だからな。」
「…う、うん。」
游さんは俺が緊張してたのを見抜いていたらしい。まぁそりゃそうか。俺は自分でも制御出来ないぐらいにガッチガチになっていた。治のあの屋敷での出来事があるから不安だったんだ。
「游さんの言う通りだよ誠也。大丈夫。お前に酷いことをする人なんて會田会の連中の中にはいない。游さんはちょっと強引なところがあるけどな。ねぇ游さん。あった初日に誠也のこと抱いたらしいですね。」
バックミラー越しに銀時さんがギロッと游さんのことを睨みながらそう言った。そんな銀時さんに気まづそうな顔をしながら游さんが俺の事を抱き寄せてきた。
「うるせぇな。お前は姑かよ銀時。それによぉ、こいつがあまりにも可愛いから仕方ねぇだろ。」
なんだその言い訳…。しかも游さんって距離感凄く近いんだよね。俺の事抱きしめてきて離さないし。けどそれが今は…俺を安心させてるから俺は大人しく游さんに抱きしめられてた。
「それ言い訳になってませんから。誠也、今度游さんに何かされたら俺に言え。俺が游さんから守ってやるから」
「わ、分かりました…!」
敬語で話そうなんて思ってもないのに銀時さんに話しかけられたら俺は不思議と敬語で話してしまうんだ。なんでだろう…。けどこれが尊敬っていう証だと思う。義務とかじゃなく俺の意思で銀時さんには敬語を使おうって思うんだから。
「はは、誠也落ち着け。緊張し過ぎ。大丈夫だって。游さんもお前のこと抱いたけど酷くはしなかったろ?な?だから游さんも悪いやつじゃないから安心して。」
俺が固くなってた原因は游さんじゃないけど銀時さんは俺を気遣ってそう言ってくれた。けどそれだけじゃない。游さんはいい人だよって俺に教えてくれたのもあると思う。游さんと銀時さんは切っても切れない仲間なんだろうな。
「大丈夫です、ちゃんと分かってます…!」
「なら良かった。」
あ…。銀時さんってこんな優しい顔するんだ…と俺が思わず銀時さんに見蕩れていると…。
「誠也!お前よく俺の事分かってんじゃねぇか!」
「うわっ、ちょっと游さん…!」
何が嬉しかったのか游さんは満面の笑みで俺の事を抱きしめて頭を乱暴に撫でてきた。
「游さん調子に乗らないでください。誠也、お前助手席に来るか?」
あまりにも俺の事を強く抱き締めてくるからか運転席に座っていた銀時さんが游さんにちょっと怒った。ヤクザのそんな会話って怖いはずなのに理由は分からないけど俺は楽しかったんだ。気づけば心から笑っていた。こんな風に笑ってる自分がいるなんて過去の俺は考えもしなかったな…。
「銀時てめぇ…。誠也、お前も行かせねぇからな。ここにいろよ。」
俺は助手席になんて行くつもりは元からなかった。けど游さんはそれは許さないと言わんばかりにキツーく睨んできた。
「だ、大丈夫だって游さん。俺は行かねぇから。」
「いい子だ。」
ほんっと何がそんなに嬉しいんだよ…。けど游さんの笑顔を見てるとつられて笑っちまう。不思議なもんだ。
「游さん。事務所に帰ってからは…」
「分かってら。大丈夫だ銀時。頭の前ではこんな事しねぇから。今だけだ。」
「ならいいですけど。まぁけど慎都(しんと)さんも游さんがなんかやらかしたとしても怒らないでしょうけどね。」
「それもそうだな。あの人は俺に甘いから。」
「ほんとですよ。だから俺は大変なんです。」
「そう言うなよ銀時。お前もなんやかんや言って俺の事好きだろ。」
「気持ちの悪いこと言わないで下さい。」
「なんだよ気持ち悪いってよぉ。」
「…好きじゃなければあなたについて行きませんよ。当たり前じゃないですか。」
「はは、ツンデレかよ。誠也と同じだな。」
「え!?俺はツンデレじゃねぇ!」
銀時さんと游さんの会話を聞いて微笑ましく思っていたところに游さんに変なことを言われた。俺はツンデレなんかじゃない!なんてことを言うんだ!游さんはいつも急なだな!
「いやいやツンデレだろ。そういう所も好きだぜ誠也。」
「………………っ。」
調子狂う…。なんなんだよ游さん…。早く目的地につかねぇのかよ。いや、待て待て。つーかさっき新しい登場人物いたよな。銀時さんが確か名前を…なんだっけなぁ………あ!!
「あの、游さん。」
「どうした誠也。」
「慎都さんってだれ?」
これから俺は未知のところに行く。銀時さんと游さん以外の人は誰も知らない。だから出来るだけ知っときたかった。それは俺が怖がりだから。初めてのところに行くとどうしても恐怖があるんだよな。
「あー何だその人のことか。その人は俺の上司。頭だ。んーっとなんて言えば分かりやすいかな。なぁ銀時。」
「ちょっと游さん。あなた慎都さんの補佐でしょ。それぐらいは説明出来ててくださいよ。」
補佐…?てことは慎都さんって人が若頭なんだ…。
「いいだろうが。そういうのもお前の仕事だ銀時。」
「はいはい。んで誠也、慎都さんってのは今の話の流れで大体分かったかも知れねぇけど游さんの直属の上司。つまり會田会の時期組長になるお方だ。今は若頭を務めている。」
「おーさすが銀時だ。」
「全く游さんは…ってこんな話をしてたら着きましたね。誠也、着いたぞ。ここが俺達の事務所だ。」
「外から見てみろ。でっけぇだろ?」
いやこれ…デカイとかのレベルじゃないだろ…。治の屋敷ですら俺にとっちゃデカくてびっくりした。けど游さん達の事務所は…。
「こ、これって…マンション!?」
「そう。マンション丸々俺らの事務所にしたんだ。50階建てだからそんな言うほど大きくはねぇけどな。よし誠也、出るぞ。おいで。銀時も一緒に来るから心配すんな。」
「あ、うん…。」
俺はまた緊張してしまった。游さんと銀時さんのおかげでちょっとは緊張がほぐれてたんだけどそれが戻っちまった。けどここに星秀さんがいる…。早く会いたい…。
「お、誠也。良かったな。お前が会いたがってたやつがいるぞ。」
「…え?だれ?」
「自分の目で見てみな。あそこだ。」
「…う、うん。」
游さんは俺が緊張してたのを見抜いていたらしい。まぁそりゃそうか。俺は自分でも制御出来ないぐらいにガッチガチになっていた。治のあの屋敷での出来事があるから不安だったんだ。
「游さんの言う通りだよ誠也。大丈夫。お前に酷いことをする人なんて會田会の連中の中にはいない。游さんはちょっと強引なところがあるけどな。ねぇ游さん。あった初日に誠也のこと抱いたらしいですね。」
バックミラー越しに銀時さんがギロッと游さんのことを睨みながらそう言った。そんな銀時さんに気まづそうな顔をしながら游さんが俺の事を抱き寄せてきた。
「うるせぇな。お前は姑かよ銀時。それによぉ、こいつがあまりにも可愛いから仕方ねぇだろ。」
なんだその言い訳…。しかも游さんって距離感凄く近いんだよね。俺の事抱きしめてきて離さないし。けどそれが今は…俺を安心させてるから俺は大人しく游さんに抱きしめられてた。
「それ言い訳になってませんから。誠也、今度游さんに何かされたら俺に言え。俺が游さんから守ってやるから」
「わ、分かりました…!」
敬語で話そうなんて思ってもないのに銀時さんに話しかけられたら俺は不思議と敬語で話してしまうんだ。なんでだろう…。けどこれが尊敬っていう証だと思う。義務とかじゃなく俺の意思で銀時さんには敬語を使おうって思うんだから。
「はは、誠也落ち着け。緊張し過ぎ。大丈夫だって。游さんもお前のこと抱いたけど酷くはしなかったろ?な?だから游さんも悪いやつじゃないから安心して。」
俺が固くなってた原因は游さんじゃないけど銀時さんは俺を気遣ってそう言ってくれた。けどそれだけじゃない。游さんはいい人だよって俺に教えてくれたのもあると思う。游さんと銀時さんは切っても切れない仲間なんだろうな。
「大丈夫です、ちゃんと分かってます…!」
「なら良かった。」
あ…。銀時さんってこんな優しい顔するんだ…と俺が思わず銀時さんに見蕩れていると…。
「誠也!お前よく俺の事分かってんじゃねぇか!」
「うわっ、ちょっと游さん…!」
何が嬉しかったのか游さんは満面の笑みで俺の事を抱きしめて頭を乱暴に撫でてきた。
「游さん調子に乗らないでください。誠也、お前助手席に来るか?」
あまりにも俺の事を強く抱き締めてくるからか運転席に座っていた銀時さんが游さんにちょっと怒った。ヤクザのそんな会話って怖いはずなのに理由は分からないけど俺は楽しかったんだ。気づけば心から笑っていた。こんな風に笑ってる自分がいるなんて過去の俺は考えもしなかったな…。
「銀時てめぇ…。誠也、お前も行かせねぇからな。ここにいろよ。」
俺は助手席になんて行くつもりは元からなかった。けど游さんはそれは許さないと言わんばかりにキツーく睨んできた。
「だ、大丈夫だって游さん。俺は行かねぇから。」
「いい子だ。」
ほんっと何がそんなに嬉しいんだよ…。けど游さんの笑顔を見てるとつられて笑っちまう。不思議なもんだ。
「游さん。事務所に帰ってからは…」
「分かってら。大丈夫だ銀時。頭の前ではこんな事しねぇから。今だけだ。」
「ならいいですけど。まぁけど慎都(しんと)さんも游さんがなんかやらかしたとしても怒らないでしょうけどね。」
「それもそうだな。あの人は俺に甘いから。」
「ほんとですよ。だから俺は大変なんです。」
「そう言うなよ銀時。お前もなんやかんや言って俺の事好きだろ。」
「気持ちの悪いこと言わないで下さい。」
「なんだよ気持ち悪いってよぉ。」
「…好きじゃなければあなたについて行きませんよ。当たり前じゃないですか。」
「はは、ツンデレかよ。誠也と同じだな。」
「え!?俺はツンデレじゃねぇ!」
銀時さんと游さんの会話を聞いて微笑ましく思っていたところに游さんに変なことを言われた。俺はツンデレなんかじゃない!なんてことを言うんだ!游さんはいつも急なだな!
「いやいやツンデレだろ。そういう所も好きだぜ誠也。」
「………………っ。」
調子狂う…。なんなんだよ游さん…。早く目的地につかねぇのかよ。いや、待て待て。つーかさっき新しい登場人物いたよな。銀時さんが確か名前を…なんだっけなぁ………あ!!
「あの、游さん。」
「どうした誠也。」
「慎都さんってだれ?」
これから俺は未知のところに行く。銀時さんと游さん以外の人は誰も知らない。だから出来るだけ知っときたかった。それは俺が怖がりだから。初めてのところに行くとどうしても恐怖があるんだよな。
「あー何だその人のことか。その人は俺の上司。頭だ。んーっとなんて言えば分かりやすいかな。なぁ銀時。」
「ちょっと游さん。あなた慎都さんの補佐でしょ。それぐらいは説明出来ててくださいよ。」
補佐…?てことは慎都さんって人が若頭なんだ…。
「いいだろうが。そういうのもお前の仕事だ銀時。」
「はいはい。んで誠也、慎都さんってのは今の話の流れで大体分かったかも知れねぇけど游さんの直属の上司。つまり會田会の時期組長になるお方だ。今は若頭を務めている。」
「おーさすが銀時だ。」
「全く游さんは…ってこんな話をしてたら着きましたね。誠也、着いたぞ。ここが俺達の事務所だ。」
「外から見てみろ。でっけぇだろ?」
いやこれ…デカイとかのレベルじゃないだろ…。治の屋敷ですら俺にとっちゃデカくてびっくりした。けど游さん達の事務所は…。
「こ、これって…マンション!?」
「そう。マンション丸々俺らの事務所にしたんだ。50階建てだからそんな言うほど大きくはねぇけどな。よし誠也、出るぞ。おいで。銀時も一緒に来るから心配すんな。」
「あ、うん…。」
俺はまた緊張してしまった。游さんと銀時さんのおかげでちょっとは緊張がほぐれてたんだけどそれが戻っちまった。けどここに星秀さんがいる…。早く会いたい…。
「お、誠也。良かったな。お前が会いたがってたやつがいるぞ。」
「…え?だれ?」
「自分の目で見てみな。あそこだ。」
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