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一騎打ち
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「…はは。油断したな。誠也、俺の後ろに隠れてろ。」
撃たれた…。游さんが…撃たれた…。血が…血が垂れてる。早く…早く止血をしないと…!!
「で、でも…游さん血がっ、」
「大丈夫だ。急所は避けてる。それにこのぐらい日常茶飯事だっての。いいから俺の言う通りにしろ。早く後ろに隠れろ。」
「わ、わかった…。」
俺がここで下手に動いても游さんの足でまといになるだけだ。それなら游さんの言う通りにする方がいい。
「誠也?なぁ誠也。何かくれんぼしてんだよ。お前の居場所はここだろ?忘れたのか?早く戻ってこい。」
「はは、目がイっちまってるぞ渚。」
「游さん。俺はあなたには話しかけてません。俺は誠也と話してます。」
「そうかよ。けど俺はお前とお喋りがしたい気分だ。」
怖い…。俺が知ってる渚さんじゃなかった。あの人は…誰なんだ。今まで俺が話してたのは本当の渚さんじゃ…なかったのか?
「そうですか。じゃあ聞かせてくださいよ游さん。なぜあなた達は組長の事を潰そうとしてくるのですか?健二さんを撃ったのもあなた達の仕業ですよね。どういうことですか?」
「言わなきゃ分かんねぇのか?そもそも俺らは仲良なんてねぇだろ。お互いが利用しあった存在だ。な?そうだろ?」
「それもそうですね。けどなにも切ることなんてないじゃないですか。組長は困っちゃいますよ。今は健二さんも動けない。俺たちはこれからどうしていけばいいんですか。」
「知らねぇよ。お前らの組の事だろ。俺に聞くな。自分で考えろ。今までそうしてきたろ?俺らの指示には従わずに勝手に行動してよ。なぁ渚。なのに今更助けてくださいだぁ?ふざけんじゃねぇよ。」
「家族なのに素っ気ないですね游さん。」
「家族?笑わせるな。」
「盃を交わしたでしょ?あれは家族になるって意味ですよ。」
手に持った銃をカチャカチャとしながら渚さんがそう言った。まだ渚さんは銃口を游さんに向けている。けど游さんは動じない。さすがとしか…言いようがなかった。
「あんなもん形だけだろ。それに俺らはお前らに忠告してた。もちろん近藤治にもな。つーか一番近藤治に忠告してたはずなんだがな。なのにお前らは好き勝手やって頭を困らせた。お前らの失態は誰がカバーしてきたと思ってんだ。頭がいなきゃお前らは今頃潰れてる。当然だろ切られてよ。」
「酷いなぁ游さん。じゃあせめて誠也は返してください。そいつは俺らのもんなんで。」
渚さんは銃口を今度は俺に向けてきた。その時俺は渚さんと目が合って思わず泣きそうになった。だってこんなの渚さんじゃない。悪い夢だと思いたかった…。
「いいや、返さない。返さねぇよ渚。このままここにいたら誠也が潰れちまう。」
「そうですか。では游さん、またあなたの体に穴が空きますよ。」
「なぁ渚。お前にとって星秀はどんな存在なんだ?」
「…はい?」
あ…。渚さんが動揺した。これまで隙すら見せなかった渚さんがその游さんの一言で狼狽えた。
「あいつはお前の事を親友だと言っていたぞ。」
「…なんであなたがそんなこと。星秀が游さんにそれを言ったんですか?違いますよね。嘘ばっかりつかないでくださいよ。」
「嘘じゃねぇよ。本当だ。何故か知りたいか?俺は星秀と繋がってるからだ。」
「…え?」
「あいつが色々手引きした。あいつもかなりの演技派だよな。けどお前らのことを友と言っていたのは本当だろうな。」
「…星秀はどこにいるんだ!」
「そうカッカするな渚。あいつも俺達が守ってやってるから。」
も…ってそれはつまり俺も…って事?安心して…もいい?俺はここから解放される…?あなたを信じてもいいですか…游さん。
「…游さん。星秀も返してください。」
「返さない。お前らはそうやって全てを失っていくんだ。」
「ふざけるな!!!誠也、お前も何してんだ!早くこっちに戻れ!!!!」
「渚、声を荒らげるな。」
「うるせぇ!!誠也、早くこっちに戻れ…」
バン!!!!
「………あ、」
凄まじい爆音とともに静寂が流れた。今度は游さんが渚さんを撃った…。けど游さんは渚さんの足を撃った。多分致命傷にならないように。
「すまんな渚。ここまでするつもりはなかった。けどお前は強いからな。こうするしかない。急所は避けてるから死にはしないだろう。誠也、行こう。」
「……………っ。」
俺は游さんに手を引かれても足を動かせなかった。それは嫌なんじゃない。怖かったんだ。拳銃なんてもの初めて見たし人が撃たれている場面も勿論見たことがない。だから怖くて足がすくんでしまったんだ。
「誠也。怖がらせて悪かった。渚は死なないから大丈夫。行こう。」
「…………う…う、ん、」
撃たれた…。游さんが…撃たれた…。血が…血が垂れてる。早く…早く止血をしないと…!!
「で、でも…游さん血がっ、」
「大丈夫だ。急所は避けてる。それにこのぐらい日常茶飯事だっての。いいから俺の言う通りにしろ。早く後ろに隠れろ。」
「わ、わかった…。」
俺がここで下手に動いても游さんの足でまといになるだけだ。それなら游さんの言う通りにする方がいい。
「誠也?なぁ誠也。何かくれんぼしてんだよ。お前の居場所はここだろ?忘れたのか?早く戻ってこい。」
「はは、目がイっちまってるぞ渚。」
「游さん。俺はあなたには話しかけてません。俺は誠也と話してます。」
「そうかよ。けど俺はお前とお喋りがしたい気分だ。」
怖い…。俺が知ってる渚さんじゃなかった。あの人は…誰なんだ。今まで俺が話してたのは本当の渚さんじゃ…なかったのか?
「そうですか。じゃあ聞かせてくださいよ游さん。なぜあなた達は組長の事を潰そうとしてくるのですか?健二さんを撃ったのもあなた達の仕業ですよね。どういうことですか?」
「言わなきゃ分かんねぇのか?そもそも俺らは仲良なんてねぇだろ。お互いが利用しあった存在だ。な?そうだろ?」
「それもそうですね。けどなにも切ることなんてないじゃないですか。組長は困っちゃいますよ。今は健二さんも動けない。俺たちはこれからどうしていけばいいんですか。」
「知らねぇよ。お前らの組の事だろ。俺に聞くな。自分で考えろ。今までそうしてきたろ?俺らの指示には従わずに勝手に行動してよ。なぁ渚。なのに今更助けてくださいだぁ?ふざけんじゃねぇよ。」
「家族なのに素っ気ないですね游さん。」
「家族?笑わせるな。」
「盃を交わしたでしょ?あれは家族になるって意味ですよ。」
手に持った銃をカチャカチャとしながら渚さんがそう言った。まだ渚さんは銃口を游さんに向けている。けど游さんは動じない。さすがとしか…言いようがなかった。
「あんなもん形だけだろ。それに俺らはお前らに忠告してた。もちろん近藤治にもな。つーか一番近藤治に忠告してたはずなんだがな。なのにお前らは好き勝手やって頭を困らせた。お前らの失態は誰がカバーしてきたと思ってんだ。頭がいなきゃお前らは今頃潰れてる。当然だろ切られてよ。」
「酷いなぁ游さん。じゃあせめて誠也は返してください。そいつは俺らのもんなんで。」
渚さんは銃口を今度は俺に向けてきた。その時俺は渚さんと目が合って思わず泣きそうになった。だってこんなの渚さんじゃない。悪い夢だと思いたかった…。
「いいや、返さない。返さねぇよ渚。このままここにいたら誠也が潰れちまう。」
「そうですか。では游さん、またあなたの体に穴が空きますよ。」
「なぁ渚。お前にとって星秀はどんな存在なんだ?」
「…はい?」
あ…。渚さんが動揺した。これまで隙すら見せなかった渚さんがその游さんの一言で狼狽えた。
「あいつはお前の事を親友だと言っていたぞ。」
「…なんであなたがそんなこと。星秀が游さんにそれを言ったんですか?違いますよね。嘘ばっかりつかないでくださいよ。」
「嘘じゃねぇよ。本当だ。何故か知りたいか?俺は星秀と繋がってるからだ。」
「…え?」
「あいつが色々手引きした。あいつもかなりの演技派だよな。けどお前らのことを友と言っていたのは本当だろうな。」
「…星秀はどこにいるんだ!」
「そうカッカするな渚。あいつも俺達が守ってやってるから。」
も…ってそれはつまり俺も…って事?安心して…もいい?俺はここから解放される…?あなたを信じてもいいですか…游さん。
「…游さん。星秀も返してください。」
「返さない。お前らはそうやって全てを失っていくんだ。」
「ふざけるな!!!誠也、お前も何してんだ!早くこっちに戻れ!!!!」
「渚、声を荒らげるな。」
「うるせぇ!!誠也、早くこっちに戻れ…」
バン!!!!
「………あ、」
凄まじい爆音とともに静寂が流れた。今度は游さんが渚さんを撃った…。けど游さんは渚さんの足を撃った。多分致命傷にならないように。
「すまんな渚。ここまでするつもりはなかった。けどお前は強いからな。こうするしかない。急所は避けてるから死にはしないだろう。誠也、行こう。」
「……………っ。」
俺は游さんに手を引かれても足を動かせなかった。それは嫌なんじゃない。怖かったんだ。拳銃なんてもの初めて見たし人が撃たれている場面も勿論見たことがない。だから怖くて足がすくんでしまったんだ。
「誠也。怖がらせて悪かった。渚は死なないから大丈夫。行こう。」
「…………う…う、ん、」
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