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笑顔
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「……………んー。」
「お、誠也。起きたかおはよう。」
渚さんの声がする…。まだ眠い………ん?渚さん?さっき俺と一緒にいたのは星秀さんと蓮さんだよな…。てことはまた星秀さんはどこに行っちまったのか…!?
「お、おいどうした誠也。そんな勢いよく起きたら体痛めるぞ馬鹿!」
そうだった俺…。全身痛いんだった…。くそ…痛ぇな。まじで痛ぇ…。渚さんに指摘されて余計に痛くなってきた…。
「………いってぇ。」
「言わんこっちゃねぇ。馬鹿が。」
馬鹿馬鹿言いながらも渚さんは俺の近くに来てくれて背中をさすってくれた。この人は相変わらずだ。
「おい渚。あんま馬鹿馬鹿言うなよ。誠也がもっと馬鹿になるだろ。」
今度は蓮さんだ。けどなんか俺すげぇ貶されてねぇか?もっとってなんだよ…。俺が元から馬鹿見てぇじゃねぇか…。
「蓮さんが1番ひでぇ…。」
「はは、確かに。誠也の言う通りだな。」
あ…この声…。
「星秀さん…。」
「ん?どうした?」
俺は星秀さんが近くにいた安心から思わず星秀さんの名前を呼んでしまった。その瞬間みんなが俺に注目する…。やめろよ俺は注目されんのに慣れてねぇんだよ。ここにくるまで空気みたいな扱いだったから。
「あ、や…なんでもない。」
「なんだよ誠也。気になることがあるならなんでも言えって。」
「ほんとになんでもないんだ。」
「そうか?」
そう。俺はただ安心した。それだけだから。
「ならいいけどよ。」
俺も…。俺も良かった。星秀さんがどこにも行かないで安心した。だから俺は星秀さんに頭を撫でられて思わず微笑んだ。そしたら蓮さんが…。
「はぁ…。星秀。お前も鈍感だな。腹が立つぜ全く。」
って言ってきたんだ。だから俺はドキッとした。何かを蓮さんに悟られた気がしたから。
「珍しく俺もお前に同感だ、蓮。」
「おい渚。珍しくってなんだよ。」
「言葉の通りだよ。お前はいつも的外れだもんな。」
「はぁ?」
蓮さんと渚さんに俺は何かを悟られたようだけど2人が口喧嘩を始めてくれたおかげで話が逸れた。よかった…。つか俺なんで動揺してんだよ…。なんもねぇじゃねぇか動揺することなんて…。俺らしくねぇぞ…しっかりしろ。
「渚…てめぇ…。」
「あ?やんのか?」
「受けてやるよ。」
「よく言うぜ。蓮は喧嘩弱いくせに。」
「うるせぇな渚!口喧嘩で勝負でいいだろ!」
「おいお前らやめろって。たく、蓮も渚も仕事は出来るくせに幼稚だよな。誠也の前だぞ。いい加減にしとけ。」
蓮さんと渚さんの言い合いがヒートアップしてきてさすがにまずいと思ったのか星秀さんが2人のことを止めた。まぁヒートアップしてたって言っても星秀さんがそう言うだけで2人は言い争いすることをやめたんだからそこまでの喧嘩じゃなかったけどな。
「別にいいじゃねぇか。んだよ星秀。誠也と俺らは一緒に暮らすんだろ?気とか使うだけ無駄だろ。」
「そういうんじゃねぇ。俺はお前らに大人に慣れって言ってんだ。」
と、星秀さんが言うと渚さんも蓮さんも黙り込んだ。そんな状況がおかしくて俺は思わず笑っちまった。
「ははっ。」
みんなが仲良くて…環境は良くないかもしれないけどこうやって支え合ってる星秀さんと渚さんと蓮さんが何だか羨ましくて…けどみんなが幸せそうで俺は嬉しかった。そんな人達がこうやって言い争いをしてる平和なこの空間に俺は自然と笑顔になった。そんな俺を見て、まるで時間が止まったかのように星秀さん達はピタリと止まった。
「…な、なんだよ。なんで揃いも揃って俺を見るんだ。」
星秀さんも渚さんも蓮さんも俺を見てただ頭を撫でてきた。沈黙のまま…。けど数秒の沈黙の後、渚さんが俺の頬を掴んで微笑んできた。
「誠也ってそんな風に笑うんだな。こりゃ神様がくれた宝物だ。」
「…え?」
渚さんがあまりにも嬉しそうにそう言ってきたから俺は…渚さんを見つめちまった。そんな事言われたの始めてだったから…。親にも…言われたことがない。
「渚の言う通りだ。笑顔が一番可愛いぞお前。」
と、蓮さんも言ってきた。俺は褒められるとどうしたらいいのか分からなくなる。穴に入りたくなる…。経験が…ないから。
「顔が赤いぞ誠也。」
褒められすぎてフリーズした俺に星秀さんが微笑みながらそう言ってきた。そんでほっぺをツンツンしてきた。それでも俺はフリーズしてる。3人に囲まれて身体中触られてんのにフリーズしてんだ。俺…馬鹿だ。蓮さんの言う通り…かも。
「…だ、だってっ、」
「はは、可愛いやつ。こっち向いてみろ。」
「…えっ、ま、っ、」
星秀さんに顔を鷲掴みにされて何をされるのか悟った俺は咄嗟に手が出た。けどその手は渚さんに掴まれて俺は星秀さんのされるがままに顔を動かされる。そして俺の唇に星秀さんの唇が触れた。この感覚…なんだ。おかしい…俺心臓が…変だ。なんだこれ…っ。
「なぁ誠也。お前りんごみたいに顔が赤いぞ。」
「…う、うるせぇ!」
一々俺の顔のことを中継するな!恥ずかしいじゃねぇか!だから俺はそう言ってきた渚さんに思わず声を荒らげた。なのに渚さんにはノーダメージでそれどころか…。
「おーおー。図星かよ。つか誠也。俺ともキスしようぜ。」
「渚さんっ、ま、待って…!」
俺は渚さんにキスされそうになっている。いやこれは確実にされる。まず3人に囲まれてる時点で俺は逃げらんねぇんだから。
「待たねぇ。」
「な、っ、もう…んぶっ!」
「お、誠也。起きたかおはよう。」
渚さんの声がする…。まだ眠い………ん?渚さん?さっき俺と一緒にいたのは星秀さんと蓮さんだよな…。てことはまた星秀さんはどこに行っちまったのか…!?
「お、おいどうした誠也。そんな勢いよく起きたら体痛めるぞ馬鹿!」
そうだった俺…。全身痛いんだった…。くそ…痛ぇな。まじで痛ぇ…。渚さんに指摘されて余計に痛くなってきた…。
「………いってぇ。」
「言わんこっちゃねぇ。馬鹿が。」
馬鹿馬鹿言いながらも渚さんは俺の近くに来てくれて背中をさすってくれた。この人は相変わらずだ。
「おい渚。あんま馬鹿馬鹿言うなよ。誠也がもっと馬鹿になるだろ。」
今度は蓮さんだ。けどなんか俺すげぇ貶されてねぇか?もっとってなんだよ…。俺が元から馬鹿見てぇじゃねぇか…。
「蓮さんが1番ひでぇ…。」
「はは、確かに。誠也の言う通りだな。」
あ…この声…。
「星秀さん…。」
「ん?どうした?」
俺は星秀さんが近くにいた安心から思わず星秀さんの名前を呼んでしまった。その瞬間みんなが俺に注目する…。やめろよ俺は注目されんのに慣れてねぇんだよ。ここにくるまで空気みたいな扱いだったから。
「あ、や…なんでもない。」
「なんだよ誠也。気になることがあるならなんでも言えって。」
「ほんとになんでもないんだ。」
「そうか?」
そう。俺はただ安心した。それだけだから。
「ならいいけどよ。」
俺も…。俺も良かった。星秀さんがどこにも行かないで安心した。だから俺は星秀さんに頭を撫でられて思わず微笑んだ。そしたら蓮さんが…。
「はぁ…。星秀。お前も鈍感だな。腹が立つぜ全く。」
って言ってきたんだ。だから俺はドキッとした。何かを蓮さんに悟られた気がしたから。
「珍しく俺もお前に同感だ、蓮。」
「おい渚。珍しくってなんだよ。」
「言葉の通りだよ。お前はいつも的外れだもんな。」
「はぁ?」
蓮さんと渚さんに俺は何かを悟られたようだけど2人が口喧嘩を始めてくれたおかげで話が逸れた。よかった…。つか俺なんで動揺してんだよ…。なんもねぇじゃねぇか動揺することなんて…。俺らしくねぇぞ…しっかりしろ。
「渚…てめぇ…。」
「あ?やんのか?」
「受けてやるよ。」
「よく言うぜ。蓮は喧嘩弱いくせに。」
「うるせぇな渚!口喧嘩で勝負でいいだろ!」
「おいお前らやめろって。たく、蓮も渚も仕事は出来るくせに幼稚だよな。誠也の前だぞ。いい加減にしとけ。」
蓮さんと渚さんの言い合いがヒートアップしてきてさすがにまずいと思ったのか星秀さんが2人のことを止めた。まぁヒートアップしてたって言っても星秀さんがそう言うだけで2人は言い争いすることをやめたんだからそこまでの喧嘩じゃなかったけどな。
「別にいいじゃねぇか。んだよ星秀。誠也と俺らは一緒に暮らすんだろ?気とか使うだけ無駄だろ。」
「そういうんじゃねぇ。俺はお前らに大人に慣れって言ってんだ。」
と、星秀さんが言うと渚さんも蓮さんも黙り込んだ。そんな状況がおかしくて俺は思わず笑っちまった。
「ははっ。」
みんなが仲良くて…環境は良くないかもしれないけどこうやって支え合ってる星秀さんと渚さんと蓮さんが何だか羨ましくて…けどみんなが幸せそうで俺は嬉しかった。そんな人達がこうやって言い争いをしてる平和なこの空間に俺は自然と笑顔になった。そんな俺を見て、まるで時間が止まったかのように星秀さん達はピタリと止まった。
「…な、なんだよ。なんで揃いも揃って俺を見るんだ。」
星秀さんも渚さんも蓮さんも俺を見てただ頭を撫でてきた。沈黙のまま…。けど数秒の沈黙の後、渚さんが俺の頬を掴んで微笑んできた。
「誠也ってそんな風に笑うんだな。こりゃ神様がくれた宝物だ。」
「…え?」
渚さんがあまりにも嬉しそうにそう言ってきたから俺は…渚さんを見つめちまった。そんな事言われたの始めてだったから…。親にも…言われたことがない。
「渚の言う通りだ。笑顔が一番可愛いぞお前。」
と、蓮さんも言ってきた。俺は褒められるとどうしたらいいのか分からなくなる。穴に入りたくなる…。経験が…ないから。
「顔が赤いぞ誠也。」
褒められすぎてフリーズした俺に星秀さんが微笑みながらそう言ってきた。そんでほっぺをツンツンしてきた。それでも俺はフリーズしてる。3人に囲まれて身体中触られてんのにフリーズしてんだ。俺…馬鹿だ。蓮さんの言う通り…かも。
「…だ、だってっ、」
「はは、可愛いやつ。こっち向いてみろ。」
「…えっ、ま、っ、」
星秀さんに顔を鷲掴みにされて何をされるのか悟った俺は咄嗟に手が出た。けどその手は渚さんに掴まれて俺は星秀さんのされるがままに顔を動かされる。そして俺の唇に星秀さんの唇が触れた。この感覚…なんだ。おかしい…俺心臓が…変だ。なんだこれ…っ。
「なぁ誠也。お前りんごみたいに顔が赤いぞ。」
「…う、うるせぇ!」
一々俺の顔のことを中継するな!恥ずかしいじゃねぇか!だから俺はそう言ってきた渚さんに思わず声を荒らげた。なのに渚さんにはノーダメージでそれどころか…。
「おーおー。図星かよ。つか誠也。俺ともキスしようぜ。」
「渚さんっ、ま、待って…!」
俺は渚さんにキスされそうになっている。いやこれは確実にされる。まず3人に囲まれてる時点で俺は逃げらんねぇんだから。
「待たねぇ。」
「な、っ、もう…んぶっ!」
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