77 / 220
ピリつき
しおりを挟む
「な、何言ってるんですか健二さん。もう笑わせないで下さいよ。こいつはちゃんといい子にしてましたよ。それに懐かないのは仕方ないじゃないですか。ここに無理に連れてきたんですから。誠也もそりゃ緊張しますよ。」
また躾される…。そう思うと俺はすぐに泣きそうになってしまった。なのに蓮さんがそう言ってくれたんだ。俺を庇ってくれた。この人も星秀さんのために俺をこうして庇ってくれてるのかもしれないけどそれでも俺は嬉しかった。ここに来てから…いや俺の人生において俺の味方をしてくれた人なんて数少ないから。
「そうだな。そうかもしれねぇな。だが蓮。これは組長の指示なんだよ。誠也がいい子かどうかなんて関係ねぇんだ。分かるだろ?なぁ?誠也も分かるだろ?お前がこの結果を招いたんだ。」
「ぁ…っ、や、」
そう言って健二が俺の服を脱がしにきた。俺はそのあまりの恐怖に抵抗することすら出来ずにいると…。
「健二さん!」
そう言って蓮さんが健二の腕を掴んで止めてくれたんだ。俺はその光景を見て思わず涙を流してしまった。ああ…ほんと俺恥ずかしい。男なのに…。
「なんだよ蓮。俺に逆らうのか?」
「そういう訳じゃないです…。ただ…。」
「あ?はっきり言えよ蓮。どうしたお前らしくねぇぞ。これまで組長の玩具を俺達がどう扱おうが何も言わなかったじゃねぇか。誠也だけ特別扱いか?他のやつはどうでもいいのかよ。それにあいつらの処分はお前も関わってたよなぁ。今更善人ぶるのか?」
「そうですね。そういう事になります。けどそれには理由もあります。確かに健二さんの言う通り誠也は組長には懐いてないかもしれません。けどそれは理由があるじゃないですか。誠也も気持ちがあるんです。あんまり酷くしてやらないでください。ちゃんと話し合えば誠也も逃げようとなんてしません。」
「…はは。笑わせてくれるな。」
蓮さんは…何もおかしいことを言ってない。なのに健二は笑った。それも呆れたように笑った。
「なぁ蓮。お前いつからそんな人間らしくなったんだ?」
「…はい?」
空気がピリつく…。俺は口すら挟めない。この2人の会話を聞いてるだけなのに俺は恐怖で固まってしまう…。
「俺らにはそれは必要ねぇだろ?情なんてもんはとっくの昔に捨てちまっただろうが。こいつを見て思い出したか?そんなもんがあれば死ぬぞ。いいか蓮、こいつは組長のもんだ。お前のものじゃない。お前がそうやって誠也を庇うことに何も言わねぇが俺の邪魔をするなら俺も黙ってねぇぞ。」
「…健二さんはどうしてそこまで誠也を追い詰めるんですか。」
「はぁ?何言ってんだお前。よく言うぜ。お前もこいつを犯したじゃねぇか。」
「確かにそうですね。けど俺はここまでのことはしてません。」
蓮さんの…言う通りだ。蓮さんは俺の事を寝かせてくれた。健二はそれすらさせてくれなかったのに。
「はは、ここまで?これでも足りねぇぐらいなのに。まぁ俺だって本音言うとここまでしたくないぜ。けど誠也が悪いだろ。こいつ、初めはいい子にしてたから俺も優しくしてやってたけどちょっと目を離した隙に星秀に懐いてやがる。あの玩具にな。そりゃおかしいだろ。こいつは組長のもんなのによ。」
「星秀は…っ。」
「なんだよ蓮。文句あんのか?」
「…いえ。ですが、誠也の躾することには俺は反対です。お願いです健二さん。誠也に一度チャンスを与えてやってください。二度と組長を拒まないよう俺が話し合いますから。」
蓮さん…。その気持ちだけで俺は嬉しかった。けど現実はそう上手くはいかない。それはよく分かってる。だってその証拠に健二のやつ、今笑ってんだから。蓮さんが必死にお願いをしてるこの状況でこいつ…笑ってんだ。そんなやつが俺の躾をしないなんて選択するはずが…ねぇ。
「残念だがその願いは聞けねぇな蓮。躾に参加しねぇならさっさとここから出ろ。邪魔だ。いくらお前でも容赦しねぇよ。」
また躾される…。そう思うと俺はすぐに泣きそうになってしまった。なのに蓮さんがそう言ってくれたんだ。俺を庇ってくれた。この人も星秀さんのために俺をこうして庇ってくれてるのかもしれないけどそれでも俺は嬉しかった。ここに来てから…いや俺の人生において俺の味方をしてくれた人なんて数少ないから。
「そうだな。そうかもしれねぇな。だが蓮。これは組長の指示なんだよ。誠也がいい子かどうかなんて関係ねぇんだ。分かるだろ?なぁ?誠也も分かるだろ?お前がこの結果を招いたんだ。」
「ぁ…っ、や、」
そう言って健二が俺の服を脱がしにきた。俺はそのあまりの恐怖に抵抗することすら出来ずにいると…。
「健二さん!」
そう言って蓮さんが健二の腕を掴んで止めてくれたんだ。俺はその光景を見て思わず涙を流してしまった。ああ…ほんと俺恥ずかしい。男なのに…。
「なんだよ蓮。俺に逆らうのか?」
「そういう訳じゃないです…。ただ…。」
「あ?はっきり言えよ蓮。どうしたお前らしくねぇぞ。これまで組長の玩具を俺達がどう扱おうが何も言わなかったじゃねぇか。誠也だけ特別扱いか?他のやつはどうでもいいのかよ。それにあいつらの処分はお前も関わってたよなぁ。今更善人ぶるのか?」
「そうですね。そういう事になります。けどそれには理由もあります。確かに健二さんの言う通り誠也は組長には懐いてないかもしれません。けどそれは理由があるじゃないですか。誠也も気持ちがあるんです。あんまり酷くしてやらないでください。ちゃんと話し合えば誠也も逃げようとなんてしません。」
「…はは。笑わせてくれるな。」
蓮さんは…何もおかしいことを言ってない。なのに健二は笑った。それも呆れたように笑った。
「なぁ蓮。お前いつからそんな人間らしくなったんだ?」
「…はい?」
空気がピリつく…。俺は口すら挟めない。この2人の会話を聞いてるだけなのに俺は恐怖で固まってしまう…。
「俺らにはそれは必要ねぇだろ?情なんてもんはとっくの昔に捨てちまっただろうが。こいつを見て思い出したか?そんなもんがあれば死ぬぞ。いいか蓮、こいつは組長のもんだ。お前のものじゃない。お前がそうやって誠也を庇うことに何も言わねぇが俺の邪魔をするなら俺も黙ってねぇぞ。」
「…健二さんはどうしてそこまで誠也を追い詰めるんですか。」
「はぁ?何言ってんだお前。よく言うぜ。お前もこいつを犯したじゃねぇか。」
「確かにそうですね。けど俺はここまでのことはしてません。」
蓮さんの…言う通りだ。蓮さんは俺の事を寝かせてくれた。健二はそれすらさせてくれなかったのに。
「はは、ここまで?これでも足りねぇぐらいなのに。まぁ俺だって本音言うとここまでしたくないぜ。けど誠也が悪いだろ。こいつ、初めはいい子にしてたから俺も優しくしてやってたけどちょっと目を離した隙に星秀に懐いてやがる。あの玩具にな。そりゃおかしいだろ。こいつは組長のもんなのによ。」
「星秀は…っ。」
「なんだよ蓮。文句あんのか?」
「…いえ。ですが、誠也の躾することには俺は反対です。お願いです健二さん。誠也に一度チャンスを与えてやってください。二度と組長を拒まないよう俺が話し合いますから。」
蓮さん…。その気持ちだけで俺は嬉しかった。けど現実はそう上手くはいかない。それはよく分かってる。だってその証拠に健二のやつ、今笑ってんだから。蓮さんが必死にお願いをしてるこの状況でこいつ…笑ってんだ。そんなやつが俺の躾をしないなんて選択するはずが…ねぇ。
「残念だがその願いは聞けねぇな蓮。躾に参加しねぇならさっさとここから出ろ。邪魔だ。いくらお前でも容赦しねぇよ。」
68
お気に入りに追加
571
あなたにおすすめの小説
中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています
橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが……
想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。
※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。
更新は不定期です。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。



目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
インテリヤクザは子守りができない
タタミ
BL
とある事件で大学を中退した初瀬岳は、極道の道へ進みわずか5年で兼城組の若頭にまで上り詰めていた。
冷酷非道なやり口で出世したものの不必要に凄惨な報復を繰り返した結果、組長から『人間味を学べ』という名目で組のシマで立ちんぼをしていた少年・皆木冬馬の教育を任されてしまう。
なんでも性接待で物事を進めようとするバカな冬馬を煙たがっていたが、小学生の頃に親に捨てられ字もろくに読めないとわかると、徐々に同情という名の情を抱くようになり……──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる