怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

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擽り

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「ふ゛っ、ぅ、やめっ…ろっ、」

「はは、水の中でくすぐられると余計にくすぐったいだろ?声我慢すんなよ。もっと聞かせてみろ。」



健二はそう言いながら俺を容赦なくくすぐってくる。くそ…。正直とんでもなくきつい。逃げたい。逃げれることなら逃げてやりたい。けど健二が俺の事を拘束してっから逃げるに逃げられねぇよ。



「やめっ、ふっ、はっ、はっ、やめ…ろっ、」

「まだまだやめねぇよ。こんぐらいじゃお前反省出来ねぇだろ。」



脇も脇腹もくすぐられすぎて頭がおかしくなりそうだ。きつい。離せよいい加減に…っ。水しぶきを上げることが出来たら逃げれる可能性が上がるのにそれすらも出来ねぇぐらいに健二が俺をがっちりホールドしてくる…。



「や…っ、ぅ、ぐっ、は、ははっ…っ、ぅ、」

「お?口が緩んできたな。くすぐってぇだろ。俺はお前の弱いとこ全部知ってるからな。」

「ぅっ……、やめ、てくれ…っ!」

「何度も言わせるな。お前が後悔するまでやめねぇよ。ついでに星秀の事もどうでも良くなるぐらいにしてやろうか。」



くそ…こいつ。どこまで星秀さんを…っ。どうでもいいなら星秀さんをすぐに逃がせばいいのにどうしてそこまで星秀さんに執着するんだよ…っ。いやけどそんなこと考える余裕は俺にはない。逃げねぇと…。きつい…。



「はは…っ、ぅ、ふっ、」

「暴れまくって可愛いやつ。けどまぁ分かってるだろうが逃がさねぇよ。まだ反省、な?」



何が反省だ…っ!俺は何も悪いことなんてしてねぇのに…っ!悪いことしてんのはお前らじゃねぇか…っ!くそ…っ、息が詰まる。くすぐったい…っ。健二のやつが俺がくすぐられんのに慣れないように脇腹揉んだり指先でくすぐったりしてきて一生苦しい…っ。



「やめっ、ははっ、ぅ、やめっ!」

「余裕なくなってきたなぁ。もっと笑っていいんだぞ誠也。我慢すんなよ。」

「いや…っ、ぁ、ははっ、は、っ、はっ、」

「ほらほら誠也。くすぐってぇんだろ?苦しいんだろ?だったらさっさと星秀なんて忘れて俺達に命を捧げちまえよ。」

「うく゛っ、ぅ、はっ、ははっ、」



誰が…捧げるか…っ!お前らなんかに…っ!



「まだこの状況でそんな目が出来るんだな。けど俺はお前のそういう所嫌いじゃないぜ誠也。」

「はっ、ぁ、うっ、やめっ、ははっ、はっ、ははっ、ふっ…っ、ぅ、」



苦しくてたまらない。辛い。逃げたい。涙が溢れ出る。どうすれば俺は健二から解放される…あ、そうだ。こいつは俺が怪我することを絶対に許さない。治が怒るから。だったら舌を噛めばいい。健二に拘束されまくってる俺は足も手も使えない。だから舌を…と、俺が舌を噛み切ろうとしたその時…っ。



「健二さん。お取り込み中すみません。」

「…渚か?」



助かった…。渚さんが来てくれたおかげで健二は俺をくすぐることをやめてくれた。一旦だろうけど俺は…解放された。



「ふっ…っ、ぅ、はぁ……っ、はぁ……っ、」



呼吸が苦しい…。多分湯船に浸かってることで余計に苦しくなってる…。ああ…このままいっその事気絶したい…。




「何の用だ渚。」

「それがですね…」

「おい渚。聞こえにくいから中に入ってこい。」

「承知しました健二さん。」



そう言って渚さんは俺達がいるお風呂の中に入ってきた。が…俺の顔を見た渚さんは驚いたような顔を見せた。まぁそうだろうな。俺の顔は涙でぐしゃぐしゃ。顔も真っ赤になってるはず。だから驚いてもおかしくは無い。



「…あの健二さん。」

「あー誠也のことか?渚は気にしなくていい。それより要件を言え。」



そう言いながら健二は俺の頭を撫でてきた。そんな健二とは裏腹に渚さんは心配そうに俺を見てくれている。俺をレイプした野郎なのに…。渚さんは俺が恨むべき人なのに星秀さんのために渚さんと手を組んでからというもの渚さんは俺を過度に心配してくれる。だから俺も渚さんを信頼し始めちまってんだ…。



「ラットが見つかりました。勝の部下です。」

「はは、おもしれぇ。で、勝はどうするって?」

「勝自身が直接手を下すとは言ってましたがあいつは多分ラットを逃がすと思うので健二さんに。」

「賢明な判断だ。さすが渚だな。まぁ勝には後から伝えろ。俺が手を下したってな。」

「と、いう事は殺しますか?」

「ああ。痛めつけて殺せ。何が目的でこの組に忍び込んだのか、奴のバックには誰がいるのか…全部吐くまで殺すな。吐けば殺していい。」

「承知しました。」



会話が終わった。ああ…てことはまた俺は健二にいたぶられる。そう思っていたのに渚さんが…。



「健二さん。」

「まだあんのか?」

「いえ、今回は誠也の事です。」

「あ?お前は気にしなくていいって言ったろ?なぁ渚。」

「いえ、気にしなくていいと言うのは出来ません。だって誠也ゆだってますよ。このままだと誠也は気絶します。最悪の場合誠也はしばらく目を覚まさないかもしれませんよ。」



…渚さんがこうして俺を助けてくれるのは星秀さんのため。絶対にそうだ。そう分かってても俺は助けてくれたことが嬉しくて泣きそうになっちまった。



「…それは困るな。まぁ確かにやりすぎたのは事実だ。」

「でしょ?健二さんはいつもやりすぎです。」

「うるせぇな。たく…。まぁけどお前の言う通りでもある。渚、誠也を頼む。体を拭いて髪を乾かしてやれ。それが終わったら俺を呼べ。そん時に俺も風呂から上がる。」



…助かった。健二から離れられる。少しだけかもしれないけど俺は嬉しかった。



「健二さんはまだ風呂に?」

「ああ。もう少し浸かっていく。」

「承知しました。ゆだらないようにしてくださいね。」

「馬鹿。俺は誠也みたいに弱かねぇよ。おら渚、早く誠也を連れていけ。」

「はい。誠也、行こう。抱き抱えてやるから手を伸ばせ。」
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