怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

文字の大きさ
上 下
60 / 214

嫌悪感

しおりを挟む
「つかお前風呂に入らなきゃだな。組長に可愛がられたのか?」



健二…いやこいつは本当に無駄口が多い。出来れば俺は健二と話したくない。なのにひたすらに話しかけてくる。喋ってなきゃ死ぬのかよってぐらいな。



「…そんなんじゃない。」

「なんだよ。ご機嫌ななめか?」

「…違う。」

「んだよ。可愛くねぇやつ。まぁ星秀も最初はこんなんだったな。それが段々と従順になっていった。だから誠也も最終的にはそうなるんだよ。今はこんなに反抗できる余裕があるみたいだけどな。」



うるさい…。うるせぇんだよ…。人をなんだと思ってんだ…。



「無視かよ。まぁいいか。風呂入るぞ。」



健二はそう言いながら俺の服を脱がしてきた。この行為にも慣れ始めてる自分がいる。前の自分なら抵抗してただろうけどその気力すらもうない。いや正直に言うと怖いってのもある。反抗すればするほどやられるから。



「お前の体組長の印だらけだな。」

「…っ、」

「ん?どうした。」



どうしたじゃねぇよ…。噛まれた傷触られて痛くねぇわけねぇじゃんか。さっき無視した仕返しか?ほんとに腹立つ野郎だ…。



「…痛い。」

「あー悪かった悪かった。けどお前が無視するからだろ?」



俺のせいかよ…。めんどくせぇ…。



「……………。」

「また無視か。まぁいい。それが出来るのも今のうちだけだもんな。」



健二はそう言って笑いながら服を脱ぎ始めた。こいつも裸になるのか…。勃起してるし…。気持ち悪い…。



「おい誠也。何目を逸らしてんだよ。」

「…別にそんなんじゃない。」

「ならなんで横見てんだよ。そこには何もねぇだろ?」

「…っ、うるさい!」

「反抗的な目だな。はは、いいねぇ。犯したくなる。組長が許すなら俺はお前の頭の中から星秀が消えるぐらいに犯したいな。」

「……………っ。」



こいつは星秀さんが嫌いなのか…?星秀さんが健二に何かしたのか?違うだろ。俺はそれを見た訳じゃないから分かんねぇけど星秀さんがするとしたら逃げようとすることぐらいだと思う。なのになんでこいつはこんなに星秀さんに大して嫌悪感を抱いてるんだよ。



「はは、冗談だ。そんな顔するなって誠也。」

「……笑えない冗談はやめてください。」

「笑えない?何馬鹿なこと言ってんだ。笑えるだろ。俺はいつだってお前を抱きたいんだから。ほら誠也来い。風呂入るぞ。」



俺はそう言った健二に腕を引かれた。出来れば俺は自分で歩きたくない。それぐらいに足腰が痛かった。それだけじゃない。噛まれたところ腕、首すらも痛かった。言ってしまえば全身が痛い…。



「さっと体洗って湯船に浸かろうな。」

「……………。」

「ん?誠也。返事は?」

「…はい。」

「よし。いい子だ。」



健二はそう言うとその言葉通りさっと俺と自分の体を洗った。そんでその後俺は健二のされるがままとなり湯船に浸かった。



「あーいい湯だな。なぁ誠也。」

「…そうですね。」

「つかさっき組長から連絡入ってたんだけど星秀逃がすんだってな。お前が取引したんだろ?立派じゃねぇか。」



うるさい。触るな気持ち悪い…。けど俺は健二に聞きたいことがあった。それは本当に星秀さんを逃してくれるのかということ。こいつらは極道だ。そんな簡単にいくわけない。俺の中でその疑いが消えなかった。だからここで俺は健二にそのことを聞こうとした。



「あの健二さん…。」

「どうした?」

「星秀さんは本当に解放されるんですよね…?」

「何言ってんだ。当たり前だろ?俺たちを疑ってんのか?」

「そういうわけじゃ…ないけど、」



信用出来ないんだ。疑ってるかって?そんなの当たり前だ。お前らなんか信用出来ない。だからこうやって聞いてるんだ。



「じゃあなんだよ。」

「…心配になってっ、」

「ふーん。けどまぁ安心しろよ。本当に逃がしてやるから。けど星秀がそれを望まずに帰ってくるかもしれねぇけどな。」

「…え?」

「星秀はお前に対して特別な感情を持ってる。だから戻ってくるはずだ。そうなりゃ俺らは捕まえるぜ星秀を。」

「っ、約束が違う…!!!」



俺がそう叫ぶように言うと健二が俺の腕を掴んできた。俺が怒りのあまり立ち上がったから遠くに行かないようにそうしたんだと思う。けど俺はその健二の手が気持ち悪くて振り払おうとした…が、俺が健二に勝てるはずもなく引っ張られてまた健二の近くに逆戻りだ。



「うるせぇな。ほら抱きしめてやるからそんな顔するな。」

「やめっ、離せ…っ!」

「誠也。あんま俺らを舐めるなよ。慈悲とかそう言うの俺らにはねぇんだよ。利用出来るもんは利用する。それはお前もそうだぜ?俺らの至福を満たすためにお前はここにいるんだから。それが分かってねぇなら今から躾をしてやろうか?」

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています

橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが…… 想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。 ※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。 更新は不定期です。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

処理中です...