40 / 158
怒り
しおりを挟む
「誠也。よく頑張ったな。偉い子だ。」
健二が俺の頭を撫でてくる。嫌だ…気持ち悪い。星秀さんにそれをされた時は何も思わなかったのに健二にされるのは…嫌だ。ものすごい嫌悪感に包まれる。
「…っ、めろ、」
「あ?おい誠也。もう一度やり直してもいいんだぞ。」
拒否したいのに…それすらもさせない。健二は俺を徹底的に苦しめてくる…。逃げることも許さない上に心まで監禁してくる。これが永遠に続くとなれば俺は感情すらも失ってしまいそうだ…。
「…ご、めんなさ、い。」
「それでいい。初めから拒否るな。」
健二は俺が謝ると満足そうな顔をしてそう言った。そんで俺の頬にキスしてきた。気持ち悪い…。だけど拒否れない。拒否ったらどうなるか知ってるから。さっきもあんな目に遭わされた。死ぬほど辛かった。その後だから余計に俺は健二が怖かった。その健二は今度は星秀さんを見たんだ。その時俺はものすごく嫌な予感がした…。
「おい星秀。」
「…はい。なんでしょうか。」
「なんでそんなに離れてんだ。俺はそう指示したか?もっとこっちに寄れ。」
「………………。」
「星秀、俺に指示に従えねぇのか?」
「いえ…。」
「だったら来い。早く。」
「はい…。」
健二のやつ、今度は何を企んでんだ…。これ以上星秀さんを傷つけるようなことはしないでくれ…。
「いい子だ星秀。お前はそうやってずっといい子でいればいいんだよ」
「……………。」
「不服か?なんだその顔は。なぁ星秀。また誠也を泣かせてもいいんだぞ。」
「っ、止めてください!」
星秀さんが取り乱した。無表情であまり笑わない星秀さんのこの姿を見るのは初めてだ。渚たちは健二からメールが届いた時慌てふためいていたけどその時も星秀さんは態度を変えなかった。それなのに…。
「そんなに誠也がいたぶられるのは嫌なのか?」
「嫌に決まってます…。健二さんはやりすぎです。」
「やりすぎ?はは、笑わせてくれるな。俺はお前にはもっとひでぇ事をした記憶があるんだが。」
そう言いながら健二が星秀さんの髪を思い切り掴んだ。痛みが伴いそうなほど強く…。そんな星秀さんを助けたかったけど俺がここで口を挟んだら余計に星秀さんが苦しむ。だから俺は悔しいけど黙り込んだ。
「…それは俺の事です健二さん。俺には何をしてもいい。俺は耐えられます。けど誠也は違う。だから誠也には同じ事をしないでください。」
「そりゃ無理な話だ。あんま笑わせんじゃねぇぞ。誠也は組長が相当気に入ってんだから。何があっても逃がしやしねぇよ。それに文句でもあんのか?なぁ星秀。」
「………あなた達はどこまで勝手なんですか。」
星秀さんが…健二に言い返した。怒ってる。あの星秀さんが怒ってる…。
「あ?星秀。お前俺に口答えすんのか?性処理の分際で。」
「だったら俺を殺せばいい!」
星秀さんは本当に辛い思いをして日々を過ごしている。今の星秀さんの叫び声からそれが感じ取れた。星秀さんが無表情なのも治と健二のせいだ。笑わないのもそう。死にたいほど辛くてもきっと死ぬことも許されなかったんだ。
「殺す?冗談言うのも大概にしとけよ星秀。俺はお前を殺さねぇよ。組長もな。お前は永遠に俺らの道具なんだから。」
「……だったら誠也に酷い事をするのはおかしい。」
「星秀。勘違いすんなよ。誠也はお前とは違う。お前はただの道具。誠也は組長の大切なものだ。ペットのように大事にしている。」
「大事?どこがですか。健二さんは誠也を泣かせてばかりじゃないですか。」
「そりゃそうだろう。言うことを聞かないのだから。」
「…なんだよそれ。」
「あーもうめんどくせぇお前。星秀、ちょっと黙れ。」
健二が怒ってる。こいつを怒らせたら何をするか分からない。だから俺は恐怖のあまり固まってしまった。
「はぁ…。星秀、お前も生意気になったな。」
「…なってません。俺はいつも健二さんの指示に従っています。」
「そうか。なら今も俺の言うことを聞け。」
「…誠也に酷いことをしないなら。」
「あ゛?」
また…健二が怒った。こいつが怒ると周りの空気が歪む。恐怖に包まれる。恐ろしい雰囲気…。禍々しい…。俺の入る隙なんてない。口を出したら殴られてしまい…
ゴン!!
「…は?おい健二さん!何してんだよ!なんで星秀さん殴ってんだ!」
「誠也。お前は黙ってろ。」
健二は星秀さんを殴ったあと満足そうに笑っていた。なのに星秀さんはやり返さない。絶対に。殴られてもその場に留まり続けて文句一つ言わない…。
「星秀。お前いい加減にしろよ。そろそろ組長が戻ってくるんだ。お前のやらかしたこと全部組長に報告してもいいんだぞ。」
「…構いません。」
「そうか。なら報告しよう。今日はお前が生意気だからな。」
生意気…?どこが生意気なんだよ…。星秀さんは逆らうことなく健二に従ってる。謙虚に。なのになんでそこまで星秀さんを追い込むんだ…。
「承知しました…健二さん。」
「ん。そうやっていい子にしてろよ。まぁいい。星秀、次は誠也を抱け。俺の前でな。」
健二が俺の頭を撫でてくる。嫌だ…気持ち悪い。星秀さんにそれをされた時は何も思わなかったのに健二にされるのは…嫌だ。ものすごい嫌悪感に包まれる。
「…っ、めろ、」
「あ?おい誠也。もう一度やり直してもいいんだぞ。」
拒否したいのに…それすらもさせない。健二は俺を徹底的に苦しめてくる…。逃げることも許さない上に心まで監禁してくる。これが永遠に続くとなれば俺は感情すらも失ってしまいそうだ…。
「…ご、めんなさ、い。」
「それでいい。初めから拒否るな。」
健二は俺が謝ると満足そうな顔をしてそう言った。そんで俺の頬にキスしてきた。気持ち悪い…。だけど拒否れない。拒否ったらどうなるか知ってるから。さっきもあんな目に遭わされた。死ぬほど辛かった。その後だから余計に俺は健二が怖かった。その健二は今度は星秀さんを見たんだ。その時俺はものすごく嫌な予感がした…。
「おい星秀。」
「…はい。なんでしょうか。」
「なんでそんなに離れてんだ。俺はそう指示したか?もっとこっちに寄れ。」
「………………。」
「星秀、俺に指示に従えねぇのか?」
「いえ…。」
「だったら来い。早く。」
「はい…。」
健二のやつ、今度は何を企んでんだ…。これ以上星秀さんを傷つけるようなことはしないでくれ…。
「いい子だ星秀。お前はそうやってずっといい子でいればいいんだよ」
「……………。」
「不服か?なんだその顔は。なぁ星秀。また誠也を泣かせてもいいんだぞ。」
「っ、止めてください!」
星秀さんが取り乱した。無表情であまり笑わない星秀さんのこの姿を見るのは初めてだ。渚たちは健二からメールが届いた時慌てふためいていたけどその時も星秀さんは態度を変えなかった。それなのに…。
「そんなに誠也がいたぶられるのは嫌なのか?」
「嫌に決まってます…。健二さんはやりすぎです。」
「やりすぎ?はは、笑わせてくれるな。俺はお前にはもっとひでぇ事をした記憶があるんだが。」
そう言いながら健二が星秀さんの髪を思い切り掴んだ。痛みが伴いそうなほど強く…。そんな星秀さんを助けたかったけど俺がここで口を挟んだら余計に星秀さんが苦しむ。だから俺は悔しいけど黙り込んだ。
「…それは俺の事です健二さん。俺には何をしてもいい。俺は耐えられます。けど誠也は違う。だから誠也には同じ事をしないでください。」
「そりゃ無理な話だ。あんま笑わせんじゃねぇぞ。誠也は組長が相当気に入ってんだから。何があっても逃がしやしねぇよ。それに文句でもあんのか?なぁ星秀。」
「………あなた達はどこまで勝手なんですか。」
星秀さんが…健二に言い返した。怒ってる。あの星秀さんが怒ってる…。
「あ?星秀。お前俺に口答えすんのか?性処理の分際で。」
「だったら俺を殺せばいい!」
星秀さんは本当に辛い思いをして日々を過ごしている。今の星秀さんの叫び声からそれが感じ取れた。星秀さんが無表情なのも治と健二のせいだ。笑わないのもそう。死にたいほど辛くてもきっと死ぬことも許されなかったんだ。
「殺す?冗談言うのも大概にしとけよ星秀。俺はお前を殺さねぇよ。組長もな。お前は永遠に俺らの道具なんだから。」
「……だったら誠也に酷い事をするのはおかしい。」
「星秀。勘違いすんなよ。誠也はお前とは違う。お前はただの道具。誠也は組長の大切なものだ。ペットのように大事にしている。」
「大事?どこがですか。健二さんは誠也を泣かせてばかりじゃないですか。」
「そりゃそうだろう。言うことを聞かないのだから。」
「…なんだよそれ。」
「あーもうめんどくせぇお前。星秀、ちょっと黙れ。」
健二が怒ってる。こいつを怒らせたら何をするか分からない。だから俺は恐怖のあまり固まってしまった。
「はぁ…。星秀、お前も生意気になったな。」
「…なってません。俺はいつも健二さんの指示に従っています。」
「そうか。なら今も俺の言うことを聞け。」
「…誠也に酷いことをしないなら。」
「あ゛?」
また…健二が怒った。こいつが怒ると周りの空気が歪む。恐怖に包まれる。恐ろしい雰囲気…。禍々しい…。俺の入る隙なんてない。口を出したら殴られてしまい…
ゴン!!
「…は?おい健二さん!何してんだよ!なんで星秀さん殴ってんだ!」
「誠也。お前は黙ってろ。」
健二は星秀さんを殴ったあと満足そうに笑っていた。なのに星秀さんはやり返さない。絶対に。殴られてもその場に留まり続けて文句一つ言わない…。
「星秀。お前いい加減にしろよ。そろそろ組長が戻ってくるんだ。お前のやらかしたこと全部組長に報告してもいいんだぞ。」
「…構いません。」
「そうか。なら報告しよう。今日はお前が生意気だからな。」
生意気…?どこが生意気なんだよ…。星秀さんは逆らうことなく健二に従ってる。謙虚に。なのになんでそこまで星秀さんを追い込むんだ…。
「承知しました…健二さん。」
「ん。そうやっていい子にしてろよ。まぁいい。星秀、次は誠也を抱け。俺の前でな。」
101
お気に入りに追加
467
あなたにおすすめの小説
中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています
橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが……
想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。
※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。
更新は不定期です。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる