怖いお兄さん達に誘拐されたお話

安達

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案内

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「まぁけど安心して下さいよ組長。俺がちゃんとあいつらに誠也には手を出さないように言っときますから。」

「お前がそう言ったところで聞くかどうかは分かんねぇけどな。」



俺もそう思う…。治もたまには的をえてることを言うじゃねぇか。



「はは、確かに。」

「たく、どいつもこいつもこの組の奴らは自由なやつばっかりなんだからよ。誠也。お前が1番いい子かもな。」



何がいい子だよ…。お前らがそうなるように仕立てただけだろ…。俺はそれに従ってるだけだ。怖いからな…。つーかそんなことより早く案内しろよ。いつまでここで喋ってんだ。



「確かに組長のおっしゃる通りですね。一番言うことを聞くのは誠也かもしれないですね。」 

「ああ。だからまぁこうして部屋案内という褒美を与えるわけだな。」

「はい。」



褒美…。俺がもしいい子でいればこいつらも本当に俺に優しくしてくれるのか…?俺には帰る場所もない。だったら利用するだけ利用してここから逃げるのもありなんじゃ…?



「よし、じゃあ行こう。まずは事務所に行こう。健二、誠也を寄越せ。」

「…え?」

「え、じゃねぇよ。俺のもんだそいつは。寄越せ。」

「はいはい。」



やっぱり俺に意見を求められることはないらしい。こいつらの中で決める。だから俺は今治に抱っこされている。健二の方がまだマシだったけど…仕方ねぇ。



「誠也。広いだろこの家。」 

「はい…。ものすごく広い。」



治は自信満々に広いことを自慢していたが俺からしたら最悪でしかない。だって廊下だぞまだ…。廊下だけなのにこんなに広いことあるかよ…。



「…治さん。」

「ん?どうした?」

「ここって家なんですか…?」



ここはそもそもなんなのか…。さっき治はここに事務所があると言った。家ならば事務所はあるはずがない…ってのは俺の想像なのか?ここは一体なんなんだ…。



「そうだ。俺らが住んでる場所。近藤会の屋敷だ。」

「…屋敷。」



てことは健二もここに住み込みってわけか?さっきいた渚ってやつも星秀ってやつもか…。いやそれだけじゃねぇぞ多分。ここは近藤会?だっけ?そいつらがうじゃうじゃ住んでる場所だ…。



「そう。屋敷だ。だからここは6階建てなんだ。」

「…6階!?」

「ちょっと組長。そんな事まで言っていいんですか?」



治が話す度に驚きが増える。6階建てってここがもし6階だったら逃げるのはかなり困難だぞ…。



「いいだろ別に。今は案内してんだろ?」

「そうですけど誠也意外に賢いんで逃げちゃいそうで心配なるんですよ。」



おい健二…意外ってなんだよ…。



「大丈夫だ健二。この屋敷に何人の組員が住んでると思ってんだ。このチビが逃げられるわけねぇだろ。」

「まぁそれもそうですが。」

「だろ?」

「はい…って誠也。お前どうして不貞腐れた顔してんだ?」



そんなの決まってんだろ。チビって…治が俺の事チビって…言ったから。あと廊下も色々広すぎて絶望してんだよ。



「…なんでもないです。」

「俺がチビって言ったからか?」



何回も言うな…。怖い顔して治って執拗いやつだな。



「…違います。」

「はは、図星だな。」

「組長。あんまからかわないでやってくださいよ。多分誠也気にしてるんですよ。背が低いの。」

「お前が一番ひでぇこと言ってんぞ健二。つか誠也も別に低くはねぇだろ。俺たちが高いだけだ。」



羨ましい…。背が高いだけでできることも増えるし何より男らしい…。別にモテたいとかそういうわけじゃねぇけど背だけでも恵まれたかったなとは思ったりもする。



「…そうですね。」

「まぁまぁそんな顔するなって。お前は可愛んだからそれで十分だ。お前ほどの綺麗な顔してるやつ中々いねぇぞ?」



それは…褒め言葉じゃない。健二は俺を励まそうとしてそう言ってくれたんだろうけど俺はこの顔のせいで苦労してきたんだ…。



「…いますよ。他にもいっぱい。」

「いねぇだろ。お、誠也。事務所に着いたぞ。組長、ちょっと中の奴らに声掛けてきますんで少しだけ外で誠也とお待ちください。」

「ああ。」



…事務所にやっと着いた。ここに来るまでに何分かかった?どんだけ広いんだよ…。結局ここが何階かも分かんなかった…。



「誠也。この中にいる奴らの顔ちゃんと覚えとけよ。もしお前が逃亡したりしたらこの中にいる幹部全員にお前を犯させるからな。既に渚や星秀はお前を気に入ってるからそりゃもう祭り騒ぎになるだろうな。」

「……………っ。」



治はやっぱり怖い…。組のトップになるぐらいだから優しいわけがねぇけどやっぱ健二よりも怖い。全部俺の思考も見透かされてる感じがする…。



「なぁ誠也。返事は出来ねぇのか?」

「…いえ。分かってます。」

「ならいい。まぁそれはもしもの事があったらの話だ。今のままいい子でいればお前に痛いことも苦しい事もしねぇから。だから今夜も優しく可愛がってやるよ。」



…言うなよそんなこと。夜がくるのが嫌になるじゃねぇか。最悪だ…。やっぱりやることはやるんだな。



「組長、おまたせしました。入ってきてください。」

「ああ。幹部は全員いるか?」

「はい。運のいいことに全員いました。誠也に紹介しましょ。」

「そうだな。」
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