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雑談
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「たく、仕方のねぇやつだな。」
ってこいつは言ってるけど仲が悪い訳ではなさそうだ。それが俺にとっては厄介になる。仲が悪いならいい感じに利用できそうだったがこの感じじゃ出来そうにねぇ…。
「邪魔者がどっか行ったところで飯でも食うか。誠也、お前食べれねぇもんとかあるか?」
…ご飯。そういえばしばらく食べてなかった。けど緊張のあまりにあんまり腹減ってねぇんだよな。だが食える時に食うに超したことはない。
「…食べれないものは無いです。」
「優秀だな。なら牛丼でもいいか?俺牛丼食いてぇんだよ。」
ここに来て初めて俺に選択肢が与えられた気がする。そうか…俺が大人しくしてりゃこんな感じになるのか…。
「はい。」
と、俺が言うと健二が俺の頭を撫でてきた。それを振り払いたかったがもちろんそんなことはしない。つかこいつさっき俺と揉めてたの忘れてんな…。まぁ別にいいけど…。退学も…気にしないことにしよう。今の時代何とかなるだろ…多分。とりあえず今は安全に行くことが大事だ。
「ありがとうな誠也。じゃあ牛丼取ってくるからいい子にしてろよ。」
「はい。」
従順に…。怒らせないように…。俺は細心の注意を払いながら健二と話した。
「あ、つかお前結構食べれそうか?無理そうなら並盛にするけど。」
お腹…空いてないんだよな。本当は食べたいけど…。
「…並盛でお願いします。」
「ああ。分かった。じゃ、行ってくるな。」
やっと…やっとどっか行った…。俺はちょっと健二と話しただけなのに疲れきっていた。そんだけ怒らせないように注意を払ったから。あーあ。早くここから出たい…。とりあえずこの部屋の外に出たい。この部屋の先がどうなってるのかを知りたい。
「…どうやったらこの部屋からあいつを怒らせずに出られる。」
俺は一生懸命考えた。俺は馬鹿だから理論的だったりすることは苦手だ。だから俺は俺なりに考えた。
「…直接頼み込むか?」
今ならいける気がする。俺は今いい子を演じている。だから素直に言えば出してくれるんじゃ…?
「よし、そうしよう…。」
成功するかどうかは別としてとりあえずやってみることにした。そんでちょうどそんとき健二が帰ってきた。
「誠也。牛丼持ってきたぞ。」
「健二さん。ありがとうございます。」
さん付けなんてしたくねぇけどしなきゃ怒られるからな。頭の中ではその分呼びすてにしてやる。
「ほら、しっかり食えよ。」
って言って健二が俺に牛丼を渡してきた。けど俺はここで違和感に気づいた。健二は牛丼を何故か3つ持ってきてたんだ。もしかして治が来るのか…?
「あの、健二さん…。」
「どうした?」
「これから誰か…来るんですか?」
「ん?誰かって?」
「その…牛丼が3つあるから。」
と、俺が言うと健二は何故か笑いだした。意味わかんねぇ。こいつの笑いのツボはなんなんだよ。
「はは、お前は可愛いやつだな。そんなビクビクしなくても組長はまだ来ねぇよ。」
べ、別にビクビクしてた訳じゃない…って言ったら嘘になるけどそんなに大笑いすんなよ…。
「じゃ、じゃあなんで3つあるんですか…?」
「これは俺の分だ。」
「…え?」
俺の分…?は…?こいつ…2個も食うのか?胃袋どうなってんだ…。
「だから俺の分だ。俺は大食いなんだよ。つーか食べねぇと動けねぇからなヤクザってのは。」
「そんなに大変なんですね。」
「んーまぁ慣れるまではな。今はお前がいるから気分転換にもなる。性欲の方をお前が満たしてくれるからな。」
「……………っ。」
最悪だ…。食欲が失せた…。俺がこいつらにされることで一番嫌いなのは性的なこと。せめて食事の時だけはその話をして欲しくなかった。
「…そうですか。」
とりあえず俺は適当に答えた。無視したらまた躾やらなんやら言われてしまうから。
「ああ、そうだぞ。この後も躾するからしっかり食っとけよ。」
…は?今こいつなんて言った?
「…え?躾…?」
「あ?何驚いた顔してんだ?」
「だ、だって…いい子にしてたら何もしないって…!」
「何もしない?誰がそんな事言った?」
お前だよ…!お前以外に誰がいんだよ…!!
「け、健二さんが…。」
「は?俺?俺は酷い事や痛い事はしないって言っただけだろ?」
そうだ…。こいつの言う通り。何もしないなんて俺は言われてなかった。最悪だ…。勝手に何もされないと勘違いして逃げることだけに集中していた。どうする…。どうしたらこの最悪の事態から逃れられる…。考えろ…俺っ。
「…け、けどっ、」
「誠也。言い訳は聞かねぇ。俺が躾するって言ったらお前は黙って言うことを聞くんだ。それとも言うことが聞けねぇのか?」
「……………っ。」
言うこと…。聞かなくていいなら聞きたくない。けど聞かなきゃ俺はまたあんな風に泣かされる。気絶しても起こされ何度も何度もイカされ犯される。あんな思いをもう俺はしたくない。
「…いえ。」
「そうだよな。ほらさっさと食え。時間が無いわけじゃねぇがお楽しみは時間いっぱいしたいだろ?」
ちょっとでもこいつのことを優しいと思ってしまった自分が馬鹿らしい。こいつはヤクザ。良い奴なんかじゃない。俺の気持ちなんてそっちのけ。やっぱり俺はここから出るしかない。
「…そう、ですね。」
「そう暗い顔すんなよ誠也。別に痛い事するわけじゃねぇから。」
そういう問題じゃない。俺は犯されるぐらいなら痛い思いをした方がマシだ。あんな気持ち悪いこと…したくない。怖いんだ…。
「まぁお前が嫌って言ってもやるけどな。組長が来るまでにしっかりここも解しとこうな。」
「………っ!!」
健二が俺のケツを触りながら顔を近づけてくる。まるで俺が怯えてんのを楽しむかのようにして…。
「可愛いなぁお前。牛丼より美味しく見えてきた。」
やめてくれよ…。俺はセックスなんて好きじゃねぇんだ…。やりたくねぇんだよ…。体触んなよ…。
「ほら誠也。こっち向け。」
「……………っ!」
こっち向けと言いながら健二は俺の顔を鷲掴みにして無理やり顔を動かしてきた。だから俺は嫌でも健二の顔を見なきゃいけない…。
「怯えてんのか?」
当たり前だ。怖いに決まってる。
「可愛いなぁ。組長に捨てられたら俺が拾ってやるから安心しろ。」
そう言いながら健二は俺の頭やら体を撫で頬にキスをしてくる。早くそれが終われと俺は願いながら体をビクビクと震わせていた。
「体もこんなに震わせて。ビビりだなぁ。」
黙れ…。俺はビビりなんかじゃない…。俺は喧嘩だって強いんだ。クラスの奴らなんて簡単に倒せる…。だから弱くなんかない…。
「可愛い。あー早くお前が欲しい…ってこんなことしてたら牛丼が冷めちまう。さっさと食おう誠也。」
「…………はい。」
俺はかつてこんなに牛丼に感謝したことがあっただろうか。いやない。牛丼のおかげでとりあえず今は健二から離れられた。ちょっと…ちょっとだけゆっくり食べよう。
「誠也。さっさと食えよ。ちんたら食うな。」
「…分かってます。」
せっかちだなこいつ…。食いもんぐらいゆっくり食わせてくれよ…。って言いたいけどこいつが怖くて何も言えない俺はやっぱり弱者に成り下がったんだな…。
「お、完食してんじゃねぇか誠也。偉いぞ。」
「ご馳走様でした…。美味しかったです。」
「そりゃよかった。おい!誰かいるか!」
いきなり健二が大声を上げて扉の向こうの誰かに話しかけた。だから俺は思わずびっくりしたがそれと同時に目を輝かせた。だって扉が開くから。ちょっとでも外が見れるかもしれない。
「健二さん。星秀(せいしゅう)がいます。」
「なんだお前か。渚がいんのかと思った。とりあえず入ってこい。」
また新しい人だ。この人も幹部なのか…?
「健二さん。お疲れ様です。」
「ああ、おつかれ。」
中に入ってきた男は俺の顔をガン見してきた。こいつ…顔怖い。こいつも刺青が入ってる。渚ってやつも刺青が入ってたのにこいつの方が目付きとかそういうのが怖い。喧嘩も強そうだ。
「健二さん。こいつが誠也ですか?」
「そうだ。」
「へぇ、いい顔してますね。」
「だろ?渚もこいつを気に入ってた。組長のもんなのにな。」
「渚もここに来たのですか?」
「ああ。ついさっきな。」
「そうだったんですね。それで、俺に用事でしょうか?」
「これ渡そうと思ってな。2個はゴミだが1個は中身入ってるからお前が食え。」
なんだよこいつ。自分で食うとか言いながら部下に渡してんじゃねぇか…。益々分かんねぇ。優しいのか酷いのか…こいつは一体なんなんだよ。
「いいのですか?」
「ああ。お前朝飯も食ってなかったろ?」
「ありがとうございます。健二さん。」
「こんぐらい当たり前だ。つかお前自己紹介でもしとけば?」
「そうですね。」
健二に言われるがままに行動するやつ…。まるで治と健二みたいだ。治の前では健二はいいなり。でもこいつは健二にはいいなり。ヤクザってのは上下関係が面倒くさそうだ…。
「誠也。俺はこの組の幹部を務めている的場 星秀(まとば せいしゅう)だ。よろしくな。俺は組長に付くことが多いから俺とも関わりが多くなるはずだ。まぁ思ってはないだろうが逃げようなんて思うなよ。その時は幹部全員でお前を犯すからな。」
…冗談きつい。初っ端から脅しかよ。けど俺は逃げてやるからな。今はいい子を演じてるから言い返さないけどな。
「…逃げません。逃げたらどんな目に遭うのか知ったから。」
こんなの嘘に決まってんだろ。その場限りの言葉だ。せいぜい騙されとけ。
「ならいい。」
「はは、星秀。お前は相変わらずだな。つかお前もこいつを気に入ったのかよ。」
「こんな美形中々いませんよ。組長がお許し下さるなら一度試してみたいぐらいです。」
「そうだな。まぁそれは無理だろうがな。」
「はい。分かってます。健二さん、牛丼ありがとうございました。では失礼します。」
「ああ。仕事頑張れよ。」
「はい。」
星秀ってやつが部屋を出ていった。こいつも幹部か…。しかも俺としたことがやらかした。部屋に入ってきた星秀に集中しすぎて部屋の外を見るのを忘れちまった。最悪だ…。
「誠也。どこ見てんだ?」
「…うっ、」
また健二が俺の顔を鷲掴みにしてきた。こいつ力強いんだよ…。
「…どこ、も、見てません。」
「嘘をつくな。扉見てただろ?外に出たいのか?」
やばい。怒らせた。弁解しないと…っていや、これはチャンスなのでは…?いい感じに誤魔化して…。
「…だって、」
「あ?なんだよ。はっきり言え。」
「この部屋にだけずっといるのは窮屈です…。」
と、俺がダメ元で言うと健二は俺の顔を解放した。こいつ案外ちょろいかも。
「まぁそうだよな。けど今は我慢しろ。」
「ちょっとだけでも部屋の外に出してくれませんか…?」
「……………。」
「少しだけでいいんです。」
このチャンスを逃す訳にはいかない。治が来たら終わり。あいつが来たら何も言えなくなる。怖いから。だから頼む健二…。
「駄目だ。まぁ出してやらん事もねぇが躾が先だ。ほら誠也、こっちに来い。」
「……………っ。」
「服もさっさと脱ごうな。」
くそ…。抵抗できない自分が情けない。惨めだ…。そんなことを思ってるうちに服がどんどん脱がされていく…。
「一日でこんなにいい子になるとはな。誠也、そんなに外に出たいなら俺を安心させてみろ。」
「…あん、しん?」
「そうだ。お前がここから逃げないってことを証明してみろ。お前なら出来るだろ?」
悪い顔だ…。何かを企んでるのはすぐにわかった。けど何もしないよりはそれに乗っかって少しでもチャンスを掴みたい。だから俺は…。
「…はい。」
「いい子だ誠也。なら今から俺に何をされても逃げるな。それが出来たらこの部屋の外に連れて行ってやるよ。」
ってこいつは言ってるけど仲が悪い訳ではなさそうだ。それが俺にとっては厄介になる。仲が悪いならいい感じに利用できそうだったがこの感じじゃ出来そうにねぇ…。
「邪魔者がどっか行ったところで飯でも食うか。誠也、お前食べれねぇもんとかあるか?」
…ご飯。そういえばしばらく食べてなかった。けど緊張のあまりにあんまり腹減ってねぇんだよな。だが食える時に食うに超したことはない。
「…食べれないものは無いです。」
「優秀だな。なら牛丼でもいいか?俺牛丼食いてぇんだよ。」
ここに来て初めて俺に選択肢が与えられた気がする。そうか…俺が大人しくしてりゃこんな感じになるのか…。
「はい。」
と、俺が言うと健二が俺の頭を撫でてきた。それを振り払いたかったがもちろんそんなことはしない。つかこいつさっき俺と揉めてたの忘れてんな…。まぁ別にいいけど…。退学も…気にしないことにしよう。今の時代何とかなるだろ…多分。とりあえず今は安全に行くことが大事だ。
「ありがとうな誠也。じゃあ牛丼取ってくるからいい子にしてろよ。」
「はい。」
従順に…。怒らせないように…。俺は細心の注意を払いながら健二と話した。
「あ、つかお前結構食べれそうか?無理そうなら並盛にするけど。」
お腹…空いてないんだよな。本当は食べたいけど…。
「…並盛でお願いします。」
「ああ。分かった。じゃ、行ってくるな。」
やっと…やっとどっか行った…。俺はちょっと健二と話しただけなのに疲れきっていた。そんだけ怒らせないように注意を払ったから。あーあ。早くここから出たい…。とりあえずこの部屋の外に出たい。この部屋の先がどうなってるのかを知りたい。
「…どうやったらこの部屋からあいつを怒らせずに出られる。」
俺は一生懸命考えた。俺は馬鹿だから理論的だったりすることは苦手だ。だから俺は俺なりに考えた。
「…直接頼み込むか?」
今ならいける気がする。俺は今いい子を演じている。だから素直に言えば出してくれるんじゃ…?
「よし、そうしよう…。」
成功するかどうかは別としてとりあえずやってみることにした。そんでちょうどそんとき健二が帰ってきた。
「誠也。牛丼持ってきたぞ。」
「健二さん。ありがとうございます。」
さん付けなんてしたくねぇけどしなきゃ怒られるからな。頭の中ではその分呼びすてにしてやる。
「ほら、しっかり食えよ。」
って言って健二が俺に牛丼を渡してきた。けど俺はここで違和感に気づいた。健二は牛丼を何故か3つ持ってきてたんだ。もしかして治が来るのか…?
「あの、健二さん…。」
「どうした?」
「これから誰か…来るんですか?」
「ん?誰かって?」
「その…牛丼が3つあるから。」
と、俺が言うと健二は何故か笑いだした。意味わかんねぇ。こいつの笑いのツボはなんなんだよ。
「はは、お前は可愛いやつだな。そんなビクビクしなくても組長はまだ来ねぇよ。」
べ、別にビクビクしてた訳じゃない…って言ったら嘘になるけどそんなに大笑いすんなよ…。
「じゃ、じゃあなんで3つあるんですか…?」
「これは俺の分だ。」
「…え?」
俺の分…?は…?こいつ…2個も食うのか?胃袋どうなってんだ…。
「だから俺の分だ。俺は大食いなんだよ。つーか食べねぇと動けねぇからなヤクザってのは。」
「そんなに大変なんですね。」
「んーまぁ慣れるまではな。今はお前がいるから気分転換にもなる。性欲の方をお前が満たしてくれるからな。」
「……………っ。」
最悪だ…。食欲が失せた…。俺がこいつらにされることで一番嫌いなのは性的なこと。せめて食事の時だけはその話をして欲しくなかった。
「…そうですか。」
とりあえず俺は適当に答えた。無視したらまた躾やらなんやら言われてしまうから。
「ああ、そうだぞ。この後も躾するからしっかり食っとけよ。」
…は?今こいつなんて言った?
「…え?躾…?」
「あ?何驚いた顔してんだ?」
「だ、だって…いい子にしてたら何もしないって…!」
「何もしない?誰がそんな事言った?」
お前だよ…!お前以外に誰がいんだよ…!!
「け、健二さんが…。」
「は?俺?俺は酷い事や痛い事はしないって言っただけだろ?」
そうだ…。こいつの言う通り。何もしないなんて俺は言われてなかった。最悪だ…。勝手に何もされないと勘違いして逃げることだけに集中していた。どうする…。どうしたらこの最悪の事態から逃れられる…。考えろ…俺っ。
「…け、けどっ、」
「誠也。言い訳は聞かねぇ。俺が躾するって言ったらお前は黙って言うことを聞くんだ。それとも言うことが聞けねぇのか?」
「……………っ。」
言うこと…。聞かなくていいなら聞きたくない。けど聞かなきゃ俺はまたあんな風に泣かされる。気絶しても起こされ何度も何度もイカされ犯される。あんな思いをもう俺はしたくない。
「…いえ。」
「そうだよな。ほらさっさと食え。時間が無いわけじゃねぇがお楽しみは時間いっぱいしたいだろ?」
ちょっとでもこいつのことを優しいと思ってしまった自分が馬鹿らしい。こいつはヤクザ。良い奴なんかじゃない。俺の気持ちなんてそっちのけ。やっぱり俺はここから出るしかない。
「…そう、ですね。」
「そう暗い顔すんなよ誠也。別に痛い事するわけじゃねぇから。」
そういう問題じゃない。俺は犯されるぐらいなら痛い思いをした方がマシだ。あんな気持ち悪いこと…したくない。怖いんだ…。
「まぁお前が嫌って言ってもやるけどな。組長が来るまでにしっかりここも解しとこうな。」
「………っ!!」
健二が俺のケツを触りながら顔を近づけてくる。まるで俺が怯えてんのを楽しむかのようにして…。
「可愛いなぁお前。牛丼より美味しく見えてきた。」
やめてくれよ…。俺はセックスなんて好きじゃねぇんだ…。やりたくねぇんだよ…。体触んなよ…。
「ほら誠也。こっち向け。」
「……………っ!」
こっち向けと言いながら健二は俺の顔を鷲掴みにして無理やり顔を動かしてきた。だから俺は嫌でも健二の顔を見なきゃいけない…。
「怯えてんのか?」
当たり前だ。怖いに決まってる。
「可愛いなぁ。組長に捨てられたら俺が拾ってやるから安心しろ。」
そう言いながら健二は俺の頭やら体を撫で頬にキスをしてくる。早くそれが終われと俺は願いながら体をビクビクと震わせていた。
「体もこんなに震わせて。ビビりだなぁ。」
黙れ…。俺はビビりなんかじゃない…。俺は喧嘩だって強いんだ。クラスの奴らなんて簡単に倒せる…。だから弱くなんかない…。
「可愛い。あー早くお前が欲しい…ってこんなことしてたら牛丼が冷めちまう。さっさと食おう誠也。」
「…………はい。」
俺はかつてこんなに牛丼に感謝したことがあっただろうか。いやない。牛丼のおかげでとりあえず今は健二から離れられた。ちょっと…ちょっとだけゆっくり食べよう。
「誠也。さっさと食えよ。ちんたら食うな。」
「…分かってます。」
せっかちだなこいつ…。食いもんぐらいゆっくり食わせてくれよ…。って言いたいけどこいつが怖くて何も言えない俺はやっぱり弱者に成り下がったんだな…。
「お、完食してんじゃねぇか誠也。偉いぞ。」
「ご馳走様でした…。美味しかったです。」
「そりゃよかった。おい!誰かいるか!」
いきなり健二が大声を上げて扉の向こうの誰かに話しかけた。だから俺は思わずびっくりしたがそれと同時に目を輝かせた。だって扉が開くから。ちょっとでも外が見れるかもしれない。
「健二さん。星秀(せいしゅう)がいます。」
「なんだお前か。渚がいんのかと思った。とりあえず入ってこい。」
また新しい人だ。この人も幹部なのか…?
「健二さん。お疲れ様です。」
「ああ、おつかれ。」
中に入ってきた男は俺の顔をガン見してきた。こいつ…顔怖い。こいつも刺青が入ってる。渚ってやつも刺青が入ってたのにこいつの方が目付きとかそういうのが怖い。喧嘩も強そうだ。
「健二さん。こいつが誠也ですか?」
「そうだ。」
「へぇ、いい顔してますね。」
「だろ?渚もこいつを気に入ってた。組長のもんなのにな。」
「渚もここに来たのですか?」
「ああ。ついさっきな。」
「そうだったんですね。それで、俺に用事でしょうか?」
「これ渡そうと思ってな。2個はゴミだが1個は中身入ってるからお前が食え。」
なんだよこいつ。自分で食うとか言いながら部下に渡してんじゃねぇか…。益々分かんねぇ。優しいのか酷いのか…こいつは一体なんなんだよ。
「いいのですか?」
「ああ。お前朝飯も食ってなかったろ?」
「ありがとうございます。健二さん。」
「こんぐらい当たり前だ。つかお前自己紹介でもしとけば?」
「そうですね。」
健二に言われるがままに行動するやつ…。まるで治と健二みたいだ。治の前では健二はいいなり。でもこいつは健二にはいいなり。ヤクザってのは上下関係が面倒くさそうだ…。
「誠也。俺はこの組の幹部を務めている的場 星秀(まとば せいしゅう)だ。よろしくな。俺は組長に付くことが多いから俺とも関わりが多くなるはずだ。まぁ思ってはないだろうが逃げようなんて思うなよ。その時は幹部全員でお前を犯すからな。」
…冗談きつい。初っ端から脅しかよ。けど俺は逃げてやるからな。今はいい子を演じてるから言い返さないけどな。
「…逃げません。逃げたらどんな目に遭うのか知ったから。」
こんなの嘘に決まってんだろ。その場限りの言葉だ。せいぜい騙されとけ。
「ならいい。」
「はは、星秀。お前は相変わらずだな。つかお前もこいつを気に入ったのかよ。」
「こんな美形中々いませんよ。組長がお許し下さるなら一度試してみたいぐらいです。」
「そうだな。まぁそれは無理だろうがな。」
「はい。分かってます。健二さん、牛丼ありがとうございました。では失礼します。」
「ああ。仕事頑張れよ。」
「はい。」
星秀ってやつが部屋を出ていった。こいつも幹部か…。しかも俺としたことがやらかした。部屋に入ってきた星秀に集中しすぎて部屋の外を見るのを忘れちまった。最悪だ…。
「誠也。どこ見てんだ?」
「…うっ、」
また健二が俺の顔を鷲掴みにしてきた。こいつ力強いんだよ…。
「…どこ、も、見てません。」
「嘘をつくな。扉見てただろ?外に出たいのか?」
やばい。怒らせた。弁解しないと…っていや、これはチャンスなのでは…?いい感じに誤魔化して…。
「…だって、」
「あ?なんだよ。はっきり言え。」
「この部屋にだけずっといるのは窮屈です…。」
と、俺がダメ元で言うと健二は俺の顔を解放した。こいつ案外ちょろいかも。
「まぁそうだよな。けど今は我慢しろ。」
「ちょっとだけでも部屋の外に出してくれませんか…?」
「……………。」
「少しだけでいいんです。」
このチャンスを逃す訳にはいかない。治が来たら終わり。あいつが来たら何も言えなくなる。怖いから。だから頼む健二…。
「駄目だ。まぁ出してやらん事もねぇが躾が先だ。ほら誠也、こっちに来い。」
「……………っ。」
「服もさっさと脱ごうな。」
くそ…。抵抗できない自分が情けない。惨めだ…。そんなことを思ってるうちに服がどんどん脱がされていく…。
「一日でこんなにいい子になるとはな。誠也、そんなに外に出たいなら俺を安心させてみろ。」
「…あん、しん?」
「そうだ。お前がここから逃げないってことを証明してみろ。お前なら出来るだろ?」
悪い顔だ…。何かを企んでるのはすぐにわかった。けど何もしないよりはそれに乗っかって少しでもチャンスを掴みたい。だから俺は…。
「…はい。」
「いい子だ誠也。なら今から俺に何をされても逃げるな。それが出来たらこの部屋の外に連れて行ってやるよ。」
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