15 / 205
目覚め
しおりを挟む
「……………………っ。」
いつの間にか俺は気絶してしまっていたようで気がついたらベットの上にいた。けど体が痛くて動くこともままらねぇ状態だ。
「く、そ………っ。」
せめてここがどこなのか…出口がどこにあるのかだけでも知りたい。なのにそれすら出来ねぇ。好き勝手されただけじゃなく何もされてない今にまで体を縛られる。こんなに腰が痛いことはかつてなかった。腰だけじゃない…足も…腕も…喉も…体全部が痛い。そんで…怖い。ここが怖い。
「………でく、ち、見つけねぇと…。」
俺は痛む体と恐怖心を抑え部屋の中を見渡した。だけど窓は一つもない。扉は1つ。多分あそこからしか出られない。その先はどうなってるのか俺は眠っていたから分からねぇ。初めに連れてこられた部屋とは違う。ここは一体どこなんだ。
「……く゛っ、い、てぇ…。身体が痛てぇ…。」
少しでも部屋の中を探ろうと俺は立ち上がろうとした。だが起き上がることも出来そうにない。頑張ろとしてもそれを遮るかのようにして激痛が走る…。
「………………くそ。」
俺は思わずベットを殴った。スマホも何も無い。連絡を取る相手がいるって訳じゃあねぇけどせめてスマホがあれば…。
「起きたようだな誠也。」
「………っ!」
こいつ…いつ部屋に入ってきたんだ?全然気づかなかった。今こいつの顔なんて見たくねぇのに。こいつを見ると…怖くて…何も出来なくなる。
「誠也。どうしたんだ。そんなに震えて。大丈夫だ。組長は今部屋にいるから。俺はお前を確認しに来ただけ。今は何もしねぇよ。まぁそれはお前次第かもしれねぇけどな。」
「……………っ。」
怖い…。怖い…。こいつたしか健二って名前だったはず。あの治って男の部下だ。そんで俺に酷いことをした張本人。今度は何をしにしたんだ…。
「そんなに俺が怖いか?ん?」
当たり前だ。怖くないはずがない。俺とお前の力の差は天と地の差があるんだから。
「お?また黙りか?まぁ喉痛てぇよな。あんなに叫んでたらそりゃ当然だ。」
そう言って健二って男はベットの中に入り込んできた。その健二って男から俺は逃げたかったのに怖くて体が震えて…逃げることも出来なかった。逃げたら何をされるかもう知ってるから。
「偉いじゃねぇか誠也。逃げないなんて成長したなぁ。まぁあんだけ虐めればこうなるか。あん時お前狂ったように泣いて謝ってたもんな。」
なんでこいつ笑ってんだよ…。何が楽しんだ。俺はあんな目に遭ってトラウマなのに…。今だって怖くて体が震えてる。気絶しても何度も起こされまた泣かせさせられる。それがどれだけ苦しかったか…。俺の中でこの記憶が消えることは無いと思う。
「けど大丈夫だ。今はまじで何もしねぇから。自己紹介でもしよう。ほら、大丈夫だからそろそろ震え治まれよ。」
そんなこと言われても無理だ。お前が近くにいたら怖くて仕方ねぇんだよ。反抗したいって気持ちが無くなるぐらいに怖い。なのにこいつは俺の頭とか撫でてくるんだ。抱きしめてくるんだ。俺の恐怖を煽るかのようにして。
「……………っ。」
「ま、いっか。震えも時期に治まるだろ。しばらく一緒に暮らすことになんだから焦らなくてもいいよな。」
そんなふうになって溜まるか。逃げ出してやるんだ俺は…。けどこのままだと本当にそうなりそうで…怖い。
「俺の名前は泰松 健二(やすまつ けんじ)、23歳だ。覚えとけよ?そんで俺の事は健二さんって呼べ、な?分かってると思うがこれは提案じゃねぇ。命令だ。その意味がもうお前なら分かるよな。誠也。」
分かる…。痛いほど分かる…。逆らったらまたあんな目に遭うってことも…。
「…わか、ってます。」
「いい子だ誠也。そんでさっき俺と一緒にいたお方だが…あーお前の愛人の方な?分かるだろ?あのお方はこの組の組長だ。だが組長はまだ27歳。若いだろ?お前は16歳だからまぁ10歳差か。近いっちゃ近いな。」
俺の年齢までバレてる…。ていうか相変わらずこの人は治って男を褒めるのが好きだな。まぁけど確かに言ってる通りかもしれない。組長ってことは1番上の人ってことだよな。だったら27ってのは確かに若い。
「だから組長はちょくちょく命が狙われんだよ。そのために俺がいるって訳だ。だから俺とは長い付き合いになる。言っちまえば一生かもな。お前は組長の愛人だから。」
何回も言うなよ気持ち悪い。ていうか愛人になったんだ俺…。さっき、つーか出会った時はペット?とか言われてたのに…。なんか更に気持ち悪いもんになった。
「…愛人、ですか?」
「そうだ。あ?嫌なのか?」
「…………っ。」
やめてくれよその怖い声…。その怖い声もその目も全部が俺は怖いんだよ…。そんな情けない自分に打ちのめされそうになる…。けど今は逆らっていいことは無い。だから…。
「ちが、」
「あ?」
「違います…。」
「そうだよな。ならなんでそう聞いたんだ?」
「最初はペットって…。」
「ペット?組長がお前にそう言ったのか?」
「…はい。」
俺がそう言うと健二さんは少し考え込んだ顔をした。つかこいつ…いつまでここにいんだよ。さっさとどっか行け…。
「そうかそうか。そうなのか。」
「…どうしたんですか?」
「いや組長はいつも誰かしらを拉致するんだがな。」
最低だ。反吐が出る。そいつらを殺してるって確か言ってたよな。俺は思わずこいつを睨みそうになったけど耐えた。
「ペットとか言わねぇんだよ。組長の中でペットって存在は大切だから。」
…は?何言ってんだ。大切?大切なやつにあんなことをするか普通…。冗談言うなよ…。
「……そうなんですね。」
「ああ。それがしかも今や愛人だ。お前は相当運がいいな。」
良くねぇよ。死んだ方がマシだ…。
「殺されずにここにいるどころかこんな部屋まで用意されてんだから。しかもお前親との関係も良くねぇだろ。」
なんで知ってんだよ…。それ…。ヤクザってのは情報も全部抜き取るのか…?こいつらいつから俺を尾行してた…?
「…な、んでそれ…。」
「知ってるに決まってんだろ。馬鹿なのかお前。お前の事は全部知ってる。あ、そうそう。これを伝えるように組長から言われたんだ。お前、学校退学してるからな。」
「…はい?」
いつの間にか俺は気絶してしまっていたようで気がついたらベットの上にいた。けど体が痛くて動くこともままらねぇ状態だ。
「く、そ………っ。」
せめてここがどこなのか…出口がどこにあるのかだけでも知りたい。なのにそれすら出来ねぇ。好き勝手されただけじゃなく何もされてない今にまで体を縛られる。こんなに腰が痛いことはかつてなかった。腰だけじゃない…足も…腕も…喉も…体全部が痛い。そんで…怖い。ここが怖い。
「………でく、ち、見つけねぇと…。」
俺は痛む体と恐怖心を抑え部屋の中を見渡した。だけど窓は一つもない。扉は1つ。多分あそこからしか出られない。その先はどうなってるのか俺は眠っていたから分からねぇ。初めに連れてこられた部屋とは違う。ここは一体どこなんだ。
「……く゛っ、い、てぇ…。身体が痛てぇ…。」
少しでも部屋の中を探ろうと俺は立ち上がろうとした。だが起き上がることも出来そうにない。頑張ろとしてもそれを遮るかのようにして激痛が走る…。
「………………くそ。」
俺は思わずベットを殴った。スマホも何も無い。連絡を取る相手がいるって訳じゃあねぇけどせめてスマホがあれば…。
「起きたようだな誠也。」
「………っ!」
こいつ…いつ部屋に入ってきたんだ?全然気づかなかった。今こいつの顔なんて見たくねぇのに。こいつを見ると…怖くて…何も出来なくなる。
「誠也。どうしたんだ。そんなに震えて。大丈夫だ。組長は今部屋にいるから。俺はお前を確認しに来ただけ。今は何もしねぇよ。まぁそれはお前次第かもしれねぇけどな。」
「……………っ。」
怖い…。怖い…。こいつたしか健二って名前だったはず。あの治って男の部下だ。そんで俺に酷いことをした張本人。今度は何をしにしたんだ…。
「そんなに俺が怖いか?ん?」
当たり前だ。怖くないはずがない。俺とお前の力の差は天と地の差があるんだから。
「お?また黙りか?まぁ喉痛てぇよな。あんなに叫んでたらそりゃ当然だ。」
そう言って健二って男はベットの中に入り込んできた。その健二って男から俺は逃げたかったのに怖くて体が震えて…逃げることも出来なかった。逃げたら何をされるかもう知ってるから。
「偉いじゃねぇか誠也。逃げないなんて成長したなぁ。まぁあんだけ虐めればこうなるか。あん時お前狂ったように泣いて謝ってたもんな。」
なんでこいつ笑ってんだよ…。何が楽しんだ。俺はあんな目に遭ってトラウマなのに…。今だって怖くて体が震えてる。気絶しても何度も起こされまた泣かせさせられる。それがどれだけ苦しかったか…。俺の中でこの記憶が消えることは無いと思う。
「けど大丈夫だ。今はまじで何もしねぇから。自己紹介でもしよう。ほら、大丈夫だからそろそろ震え治まれよ。」
そんなこと言われても無理だ。お前が近くにいたら怖くて仕方ねぇんだよ。反抗したいって気持ちが無くなるぐらいに怖い。なのにこいつは俺の頭とか撫でてくるんだ。抱きしめてくるんだ。俺の恐怖を煽るかのようにして。
「……………っ。」
「ま、いっか。震えも時期に治まるだろ。しばらく一緒に暮らすことになんだから焦らなくてもいいよな。」
そんなふうになって溜まるか。逃げ出してやるんだ俺は…。けどこのままだと本当にそうなりそうで…怖い。
「俺の名前は泰松 健二(やすまつ けんじ)、23歳だ。覚えとけよ?そんで俺の事は健二さんって呼べ、な?分かってると思うがこれは提案じゃねぇ。命令だ。その意味がもうお前なら分かるよな。誠也。」
分かる…。痛いほど分かる…。逆らったらまたあんな目に遭うってことも…。
「…わか、ってます。」
「いい子だ誠也。そんでさっき俺と一緒にいたお方だが…あーお前の愛人の方な?分かるだろ?あのお方はこの組の組長だ。だが組長はまだ27歳。若いだろ?お前は16歳だからまぁ10歳差か。近いっちゃ近いな。」
俺の年齢までバレてる…。ていうか相変わらずこの人は治って男を褒めるのが好きだな。まぁけど確かに言ってる通りかもしれない。組長ってことは1番上の人ってことだよな。だったら27ってのは確かに若い。
「だから組長はちょくちょく命が狙われんだよ。そのために俺がいるって訳だ。だから俺とは長い付き合いになる。言っちまえば一生かもな。お前は組長の愛人だから。」
何回も言うなよ気持ち悪い。ていうか愛人になったんだ俺…。さっき、つーか出会った時はペット?とか言われてたのに…。なんか更に気持ち悪いもんになった。
「…愛人、ですか?」
「そうだ。あ?嫌なのか?」
「…………っ。」
やめてくれよその怖い声…。その怖い声もその目も全部が俺は怖いんだよ…。そんな情けない自分に打ちのめされそうになる…。けど今は逆らっていいことは無い。だから…。
「ちが、」
「あ?」
「違います…。」
「そうだよな。ならなんでそう聞いたんだ?」
「最初はペットって…。」
「ペット?組長がお前にそう言ったのか?」
「…はい。」
俺がそう言うと健二さんは少し考え込んだ顔をした。つかこいつ…いつまでここにいんだよ。さっさとどっか行け…。
「そうかそうか。そうなのか。」
「…どうしたんですか?」
「いや組長はいつも誰かしらを拉致するんだがな。」
最低だ。反吐が出る。そいつらを殺してるって確か言ってたよな。俺は思わずこいつを睨みそうになったけど耐えた。
「ペットとか言わねぇんだよ。組長の中でペットって存在は大切だから。」
…は?何言ってんだ。大切?大切なやつにあんなことをするか普通…。冗談言うなよ…。
「……そうなんですね。」
「ああ。それがしかも今や愛人だ。お前は相当運がいいな。」
良くねぇよ。死んだ方がマシだ…。
「殺されずにここにいるどころかこんな部屋まで用意されてんだから。しかもお前親との関係も良くねぇだろ。」
なんで知ってんだよ…。それ…。ヤクザってのは情報も全部抜き取るのか…?こいつらいつから俺を尾行してた…?
「…な、んでそれ…。」
「知ってるに決まってんだろ。馬鹿なのかお前。お前の事は全部知ってる。あ、そうそう。これを伝えるように組長から言われたんだ。お前、学校退学してるからな。」
「…はい?」
157
お気に入りに追加
549
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています
橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが……
想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。
※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。
更新は不定期です。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる