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27話 自爆

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もう付けすぎだってば!どんだけキスマークつけてるんだ。肱川と違い彌生は翔湊がくすぐったくないように配慮しながらキスマークをつけてくれる。だがあまりにも長くつけてくるので翔湊はくたびれていた。逃げたい。彌生から逃げて一旦鏡が見たい。今自分の首がどうなっているのか翔湊は気になって仕方がなかった。しかし翔湊は力では彌生に勝つことは無理だ。なので策をねっていた。どうすれば彌生から逃げられるのかと。そしてふと思いつく。彌生達は翔湊が嫌がることに敏感だ。それを使えばもしかしたらやめてもらえるかもしれない。だったら…。



「いっ…。」



ちょっとわざとらしかったかもしれない。そう思ったが彌生は思った以上に翔湊の声に敏感に反応した。直ぐにキスマークを受けるのをやめて翔湊の顔色を確認しようと一旦起き上がろうとした。翔湊はその瞬間をずっと待っていた。待っていた時が来て急いで彌生の下から抜けようとする。そして遂に逃げられた…と思ったら目の前来た松永に捕まってしまう。



「どこが痛かったのか見せてみろ。血でもでてたらどうすんだよ。」



いや待てよ。この作戦自分で自分の首を絞めただけじゃないか。作戦をねって彌生から逃げ出したのに松永によってソファに連れ戻されてしまった。前に松永、後ろ彌生がいる。もし嘘をついて痛がったことがバレたらやばい。その緊張から翔湊の鼓動がどんどん速くなっていく。



「血は出てねぇな。お前が強く吸いすぎたんだろ。」

「悪い翔湊。」

「だ、大丈夫だよ。」



俺が演技してたことはバレてなかった。良かった。これでやっと鏡で頸を見ることができると翔湊は立ち上がろうとするが前後にいる2人が離してくれない。それだけでは無い、ずっと傍観していた海田が翔湊たちの近くに来た。ほんとにイケメンだ。近くに来たら余計に思う。睫毛長いなぁ…って今は呑気にそんなこと考えてる場合じゃない。



「お前こいつらのマークだらけだな。俺にもつけさせろ。」

「やだ!」

「なんでこいつらはいいのに俺は駄目なんだ。」



俺は彌生さんたちのことも承諾したつもりは無い。勝手に無理やり付けてきたんだ。しかし正直にそんなこと言ったら前後にいる松永と彌生を怒らせてそんな2人から何をされるかなんて考えなくても分かる。だから翔湊は2人を刺激しないように、そして海田にキスマークを付けさせることを辞めさせるような言葉を選び口を開いた。



「だって頸絶対マークだらけじゃんか。これ以上付けられたら俺恥ずかしくてこの部屋から出れなくなるよ。」

「それでいいだろ。お前のことは俺たちが守るんだからこの部屋から一生出なくて大丈夫だ。」



今とんでもないこと言われた気がする。それ違う言い方すれば監禁だからね。実際俺はこの家から出して貰えないから監禁状態かもしれないけどこの部屋から出られないのは辛い。一瞬の沈黙で翔湊がそう考えていたことが海田に伝わったらしく…。



「悪い、笑えねぇ冗談言っちっまったな。分かった。そんなに嫌なら見えないところにつけよう。」



そう言って海田は翔湊の服をめくりあげた。上着の中に顔を忍ばせて乳首近くと横腹あたりの2箇所にマークをつけた。



「ここなら見えねぇだろ。」

「海田さんが1番優しい。」



翔湊に優しいと言われたことが余程嬉しかったらしく海田は満面の笑みで喜んでいた。海田はこんなに強面なのに素直で優しい一面をもっている。



「そうか?」

「おい翔湊、こいつが調子に乗るからあんまりそういうこと言うな。俺には言っていいけど。」



欲しがりな松永は翔湊の頬を撫でながらそう言ってきた。自分にも優しいと言えという暗示だろう。



「離してくれたら言ってあげる。」

「なんだよそれ。それだと俺一生翔湊に優しいとか言われねぇじゃねぇかよ。」



それだと俺一生松永さんの腕の中から出られないってことじゃん。さすがにそれはないだろうがこれは暫くの間離してくれないだろうな、と翔湊は静かにそう思った。



「うぁっ、何すんだ!」



翔湊が急に黙って考え事をし始めたので松永がちょっかいを出した。自分の言ったことを無視されて寂しくなったのだ。翔湊は服の上から松永にペニスを強く揉まれ思わず驚きの声が出た。



「俺の事無視するからだ。」

「待ってだめっ、考え事してただけだって…!」

「へぇ、考え事ねぇ。それなら仕方ねぇか。やめてやるよ。」



そう言って松永はペニスを揉むことをやめてくれた。だが中途半端とはいえ敏感なペニスを刺激されたため翔湊のそこは半立ちになっていた。イきたい…。出したい。自慰しようにも彌生に手を掴まれて出来ない。



「どうした翔湊。」



松永が意地悪くそう言ってくる。絶対にわかっているはずなのに…。中途半端に刺激してきたのもわざとであろう。その証拠に彌生も松永も悪い顔をしている。そう、彼らは半立ちの状態に留めて翔湊からして欲しいと言うのを待っているのだ。



「っ………。」

「思ってることあんなら言わねぇと分かんねぇぞ?」



皆の視線が翔湊に刺さっている。翔湊はさぞ楽しそうに自分のことを彼らが見てくるのが悔しくてたまらなかった。俺に力がもっとあったら2人から逃げ出して寝室に閉じこもれるのに。そしたら簡単に自慰ができる。だが、翔湊にそんな力はない。ということは2人に言うまで半殺しの状態が続いてしまうという事だ。



「…おねがぃ、っ」

「何を?」



翔湊は勇気を振り絞って頼んだのに『何を?』と言われてしまった。当たり前だ。彼らがそんな簡単にしてくれるわけが無い。ちゃんと言わないとイかせてくれないのは百も承知だ。だが翔湊にもプライドがある。恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。でももうそうなことも言ってられなくなってきた。時間が経つにつれ余裕が無くなる。イきたい気持ちが大きくなる。もうどうにでもなれ、と翔湊は口を開いた。



「いじわるしないでイかせよっ…!」
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