血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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筋肉痛

卑怯だ!

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*瀧視点





「よし、始めるからね!」



あーあ。そんなに嬉しそうな顔しやがって。組長が何もなしにお前のそんな無茶苦茶な要望を許可するわけねぇだろうが。まぁだからといって俺も止めねぇけどな。



「ああ。やってみろ。」



と、いかにも何かを企んでそうな顔をして組長がそう言った。それに庵は気づく素振りすら見せねぇ。だからこっちも色々やりやすいんだけどな。



「絶対龍を泣かせるんだから!」



と、庵が言って組長の体に触れようとしたその時…。



「うわっ、な、なにすんの…!!」



庵の体が急に反転した。まぁその理由は1つだ。組長が庵を捕まえたんだ。そうなることは容易に想像できるだろうが馬鹿。組長が易々と庵にされるがままになるわけねぇだろ。裏があるって疑えよ。そんなことも可愛いけどな。



「ちょ、ちょっと龍…!」

「なんだよ。」

「狡いよそんなのっ、離して…っ!」



庵のやつ慌ててんなぁ。まぁそりゃそうか。今も時計は動いてんだから。早くしねぇと30秒経っちまうもんな。



「離さねぇよ。」

「なんで…っ、こんなの狡だっ!」



組長の腕の中でバタバタと暴れる庵を見ながら俺は口角を上げていた。ああ…マジでこいつ可愛い。組長の力に勝てるわけねぇのにもがいて焦ってる姿はたまんねぇ。



「狡?何言ってんだお前。」

「それはこっちのセリフだっ、龍ずるいっ!」

「はぁ?お前だろ。俺は別にお前を捕まえたら駄目とかなんも言われてねぇしよ。」



組長がそう言うと庵はやらかしたという顔をした。あーあ。今更気づいても遅せぇよ。もうお前は組長の言うことを聞くしかねぇな。



「い、言ってないけどっ、けどずるい!」

「庵。そんなこと言ってる場合ねぇんじゃねぇの?ほら、もうすぐ30秒経っちまうぞ。」

「なら助けてよ瀧…っ!」

「嫌だね。ただでそんな事するほど俺は優しくねぇ。」

「そ、そんな…っ!」



あったりめぇだろ。何かしてもらうには返すのが普通だろ?だからお前も何かしら俺に与えてくれるってなら助けてやらんこともない。



「わ、わかった!」

「何がだよ。」



俺は分かっていながら庵にそう聞いた。その訳は単なる時間稼ぎだ。



「瀧になにかするっ、お礼するから助けて…っ!」



よし。いい子だ庵。



「そういう事なら助けてやるよ。」



と、俺は言って庵の方に手を伸ばした。そしたら組長もすぐに庵から手を離した。その時庵は、え?みたいな顔をしたけど今更異変に気づいても遅いんだぜ。



「よし。助けてやったぞ。それで、お前は俺に何をしてくれるんだ?」

「ま、まって瀧っ、俺今っ、龍に声を出させなきゃいけないから…っ!」

「あ、そうだったな。ほら、行けよ。」



と、俺が笑いながら言ったその時…。



ビビビビビビビー。



タイマーの音がした。その時の庵の焦った顔と来たら可愛いったりゃありゃしねぇよな。



「お前の負けだ、庵。」

「た、ちがっ、ずるいじゃん…っ!」



組長は庵の腕を引きながらそう言ったが庵は納得していないらしく声を荒らげていた。まぁそりゃそうか。俺も組長もずるい事をしているって自覚はあるんだから。けど騙される方が悪いだろ?



「狡い?どこが?俺は何もルールに反した事をしてねぇぞ。」

「け、けど…っ、」



まぁそりゃ文句はあるよな。けど組長の言うことが正解だ。組長は何もルールに反してねぇんだから。



「もう諦めろって庵。組長の言うことを大人しく聞くんだ。」

「…いや。」

「「あ?」」

「聞かないっ!!」

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