血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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援助

嫉妬

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「美味しい…。」

「そんなにうめぇか?普通だろ。」



蕎麦を一口食べるごとに美味しいとつぶやく庵を可愛いと思いながらもそこまでは美味しくなくねぇか?と思う亮は庵の頭を撫でながらそう言った。



「美味しいよ!」

「そうか?」



庵の幸せそうな顔を見るのは悪くないと思う亮。だからちょっとこの蕎麦に亮は感謝した。



「まぁ腹減ってる時は余計に美味く感じるよな。」



亮に全否定までとは言わないが否定され続けている庵を擁護するように龍之介が優しく庵にそう言った。



「そう!そうなの!龍の言う通りなの!」



と、庵は亮の方を向きながらそう言った。しかしそれが間違えだった。過保護の亮にそんな事を言ってしまえば怒らせてしまうのに。



「はぁ?お前腹減ってたなら早く言えよ。我慢すんなって言ってんだろうが。次我慢したら車で抱き潰すぞ。」



と、案の定亮が庵に怒ってきた。しかも抱き潰すなどと庵は亮に言われてしまう。ここは外で他にもお客さんはいるのに…。



「な、なんでそんなるんだっ、亮のばか…っ!」

「なんだよ約束できねぇの?なら今すぐにでも抱き潰してやろうか?」

「…や、約束する。」



このままだと亮はヒートアップしてしまう。そう思った庵はとりあえず不服だが亮の言うことを聞くことにした。ここは公共の場だから。



「いい子だ。庵。」



庵が言うことを聞けば亮はいつも嬉しそうに庵の頭を撫でる。今もそうだ。そんな亮を見ながら龍之介は少し呆れ顔をする。あまりにも亮が過保護で心配症だから。



「ほんとお前は心配症だな亮。」

「…ほんとだよ。」

「そうだよな。お前も大変だな庵。」



と、そんなふうに2人が亮の前でそんな事を話していると当然亮は声を荒らげた。亮も自覚しているのだ。心配症すぎるということを。だがそれには訳がある。そのわけは大抵…いや全て庵だ。



「ちょっと組長までそんな事言わないで下さい。それに俺が心配性なんじゃなくて庵が危なかっかしいんですよ。」

「確かにそれは一理あるな。」

「え!?」



亮の言ったことに納得した様子で龍之介がそう言ったので庵は思わず大きな声を出してしまった。そんな庵を見て龍之介はため息を着く。庵が自覚していないから。どれほど庵が危なっかしいかと言うことを。



「それはそうだろう。さっきもお前女からも男からもジロジロ見られてたぞ。」



と、龍之介は庵に言ったが庵はそれは違うと思ったらしい。庵も周りの人の視線には気づいていた。だがそれは自分に向けられたものではなく龍之介と瀧雄に向けられたもの。そう思っていたのだ。龍之介と瀧雄は何もしなければすごくかっこいい素敵な男性だから。



「…それは多分俺じゃなくて龍たちだと思う。2人はかっこいいから。」

「はぁ?馬鹿かお前。いやあれは完全に庵でしたよね組長。」

「ああ。絶対にそうだった。だからここが公共の場じゃなければ殺していたな。」

「…こ、ころ?!」



一般の人もいるお店で殺すだなんてことを普通に龍之介が言うので庵は少し焦った。だが運のいいことに誰にも龍之介の発した言葉は聞こえなかったらしい。



「まぁ庵、そう焦るな。大丈夫だ安心しろ。公共の場ではそんな事をしない。俺は常識があるからな。」

「…そう、かな?」



龍之介は自分で常識があると言ったが庵はそうは思えない。だが庵はそれを言わなかった。公共の場では2人には大人しくしていて欲しいから。変に刺激をすると龍之介も瀧雄も取り返しのつかないことになる。庵はそう思ったのだ。



「ああ。そうだぞ。つかそんな可愛い顔をするな。顔を隠せ。周りから顔を見られんじゃねぇ。」

「そ、そんなの無理だよ!」



どうやら龍之介は相当前から嫉妬していたらしい。庵を見てくる周りの人にイラついていたようだ。そしてそれが今爆発してしまったのだろう。



「は?無理じゃねぇよ。甘ったれんな。やれ。お前が他のやつからジロジロ見られてんのを見るのは胸糞が悪い。」

「あー組長のおっしゃるとおりですね。」

「だろ?」

「はい。だからよぉ庵、お前フードのある服着て来いって言ったんだ。せめてサングラスぐらいしてこいよ。」

「嫌だよ視界悪くなる…っ!」



せっかく外に行くのにサングラスなんてかけたら本当の景色が見れない。綺麗な海も山もぜーんぶ見れないのだ。眩しさは軽減出来るかもしれないけれど庵は裸眼で景色が見たかったのだ。何せ久しぶりの外だがら。



「なら顔を隠してあるけ。見せつけるなその可愛い顔を。それともマスクつけるか?帽子深く被るか?」



亮は真面目な顔をして庵に無理難題を突きつけてくる。そもそも庵は龍之介らしか見ていない。だから亮たちがそこまで嫉妬する意味が庵にはそもそも分からなかった。



「嫌だよそんなのしたら歩きづらいじゃんっ、外に来てるのに前見れないとか嫌!てか俺可愛くないから…っ!」

「いや可愛いに決まってんだろ。俺たちが選んだやつだぞ。可愛くねぇわけねぇだろ。」

「組長の言う通りだ。お前はもっと可愛いことを自覚しろ。それが出来てねぇって言うなら帰ってから覚悟しとけよ庵。」



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