122 / 200
日常
俺は可愛くない!
しおりを挟む
*庵視点
「…はい。行ってきます。」
龍に怒られた亮があんまり乗り気ではなさそうにそう言った。亮はいつも思うけど仕事以外だとめっちゃ態度に出る。けどそれが亮の良さでもあるよね。
「おい待て亮。」
「なんですか組長。」
「ちゃんと翔真と話すんだぞ。適当に終わらせたらもう一度電話させるからな。」
「分かってますって。」
「ならいい。ほら、早く行ってこい。」
「はーい。」
亮が足取り重そうに歩いて行った。その様子を俺は龍の腕の中から見ていた。喜怒哀楽が激しい亮を見るのは面白いから。そしてその亮がどこかに行ったことで俺は安全になった。この中で一番手を出してくるのは言うまでもなく亮だから。だからなのか安心した俺は龍に聞きたいことを思い出した。
「ねぇ龍。」
「どうした?」
あんなことがあったあとだからか龍は俺が何聞いても優しくそう言ってくれる。嬉しいことなんだけどどこかでやっぱり気を使わせてるって感じさせられる。それが俺の中で少しモヤモヤになっていた。そのため…。
「…やっぱりなんでもない。」
俺は言う勇気をなくしてしまった。ただでさえ龍に気を使わせてしまっているから。本当は龍のお父さんのことを聞きたかった。龍はあんなふうに言ってたけど俺は薄々感じた。それは嘘だって。だから龍のお父さんのことが俺は心配になった。けれど今聞くのは俺にとっても龍にとっても良くないかもしれない。それを思った俺は自分から聞いておいてそう言ってしまった。けど龍はそんな俺にも優しくしてくれた。
「そうか。また話したくなったら話すといい。」
「組長の言う通りだぞ庵。今は無理しなくていいからな。」
「うん。」
龍だけじゃない。瀧もそうだ。瀧も俺の様子を四六時中見ている。俺がパニックを起こさないか心配なんだろうな。さっき起きた時も俺…パニック起こしちゃったから。
「ありがとう。2人とも。」
俺の事をずっと気にかけてくれている。それはとても嬉しいことだ。だけど俺は何故かモヤモヤした。なんて言葉に表したらいいのか分かんないけど2人に気を使わせてることが俺は嫌だった。だから俺は無理矢理感はあるけど話を逸らすために別の話題を龍と瀧に振った。
「あ、そうだ。俺を助けてくれた松下さん?だっけ。その人ってどんな人なの?」
「あーなんて言えばいいんだろうなぁ。あの人の事を一言で言うのは難しんだよな。」
俺の問いかけに龍は困ったようにそう言った。周りを見渡してみると瀧も龍と同じような顔をしていた。俺そんなに難しい質問しちゃったのかな…。それとも松下さんって人がやばい人のなのかな。ヤクザだから一般人からすればみんな怖い人なのかもしれないけど龍は今組長にも上がった人だ。そんな龍がこんな顔をするってもしかして松下さんは…。
「…危ない人なの?」
俺は思わず怯えながら龍にそう聞いた。すると龍は一瞬驚いたような顔をしたけどその後何故かゲラゲラと笑ってきた。
「はは、そうだな。庵からすりゃ危ねぇかもな。」
「な、なんでそんなに笑うの…っ、俺真剣に言ったのに…っ!」
あまりにも龍と瀧が笑うので俺は恥ずかしくなってそう叫ぶように言ってしまった。だってそんなに笑う必要なんてないじゃないか。なのに2人揃ってゲラゲラ笑うんだ。そりゃ俺だって叫びたくなるよ。そんな俺をみて龍が俺を抱きしめるように腕を回してきた。
「悪い悪い。あまりにもお前が可愛かったからついな。」
また龍は言った。俺の事かわいいって。けど俺は正直にいうと可愛いよりもかっこいいと言われたい。男だから。
「なんだよもうっ、かわいいかわいいって言うな!」
「嫌なのか?」
俺がそう言うと龍はなんで嫌なのかと言わんばかりの顔をしてきた。嫌に決まってるのに!だって逆の立場になってみてよ!俺が龍に可愛いだなんて言ったら…いややめよう。想像するだけで怖い。
「ずっとやだって言ってるじゃんか!」
「別にいいじゃねぇか。実際お前はすげぇ可愛んだから。」
瀧が呑気にそんなことを言ってきた。そのせいで俺はどんどん興奮してしまう。身体中傷だらけでまだ体を少し動かしただけで痛む場所もある。だけど3人が手厚く手当してくれた痕跡があるからそのおかげで痛みもだいぶマシになってるはず。だけどそれでも痛いんだ。けどそんな痛みが気にならなくなるぐらいには俺は今興奮していた。
「かわいくないっ、俺かわいいっていわれるの嫌だって言ってるのになんで言うの…っ!」
「あ?そうだっけ?聞いたことあります?組長。」
「いや俺は聞いたことねぇな。」
毎日俺は言ってる。2人にかわいいって言わないでって。もちろん亮にも言っていた。だけど亮に言っても意味が無いことを悟った俺は亮に可愛いと言われても無視をしていた。だからこの2人だけでもせめて可愛いと言わせないように俺なりに頑張っていたのにそれも無理そうだ。だから俺は2人から顔をそっぽ向けてやった。
「もういいっ、2人なんか知らないから。」
「おいすぐそうやってハブてんなよ。可愛んだから。」
また瀧がかわいいって言った。あんなに嫌って言ってるのに…!
「だから…!!」
「ごめんって庵。これで許せ。」
「やめっ、たきっ、ちょっ、やだっ…!!」
俺がこんなに怒ってるのに瀧は俺にキスをしてきたんだ。それもこれで許せって言ってきた。そんなことで俺の気が変わるわけないのに!そんな風に興奮してきた俺を抑えようとしてくれたのか龍が俺の頭を優しく撫でてきた。そして…。
「おい庵。それよりもお前松下さんのことが気になってんだろ?」
「…え、今りゅうなんて言った?」
「…はい。行ってきます。」
龍に怒られた亮があんまり乗り気ではなさそうにそう言った。亮はいつも思うけど仕事以外だとめっちゃ態度に出る。けどそれが亮の良さでもあるよね。
「おい待て亮。」
「なんですか組長。」
「ちゃんと翔真と話すんだぞ。適当に終わらせたらもう一度電話させるからな。」
「分かってますって。」
「ならいい。ほら、早く行ってこい。」
「はーい。」
亮が足取り重そうに歩いて行った。その様子を俺は龍の腕の中から見ていた。喜怒哀楽が激しい亮を見るのは面白いから。そしてその亮がどこかに行ったことで俺は安全になった。この中で一番手を出してくるのは言うまでもなく亮だから。だからなのか安心した俺は龍に聞きたいことを思い出した。
「ねぇ龍。」
「どうした?」
あんなことがあったあとだからか龍は俺が何聞いても優しくそう言ってくれる。嬉しいことなんだけどどこかでやっぱり気を使わせてるって感じさせられる。それが俺の中で少しモヤモヤになっていた。そのため…。
「…やっぱりなんでもない。」
俺は言う勇気をなくしてしまった。ただでさえ龍に気を使わせてしまっているから。本当は龍のお父さんのことを聞きたかった。龍はあんなふうに言ってたけど俺は薄々感じた。それは嘘だって。だから龍のお父さんのことが俺は心配になった。けれど今聞くのは俺にとっても龍にとっても良くないかもしれない。それを思った俺は自分から聞いておいてそう言ってしまった。けど龍はそんな俺にも優しくしてくれた。
「そうか。また話したくなったら話すといい。」
「組長の言う通りだぞ庵。今は無理しなくていいからな。」
「うん。」
龍だけじゃない。瀧もそうだ。瀧も俺の様子を四六時中見ている。俺がパニックを起こさないか心配なんだろうな。さっき起きた時も俺…パニック起こしちゃったから。
「ありがとう。2人とも。」
俺の事をずっと気にかけてくれている。それはとても嬉しいことだ。だけど俺は何故かモヤモヤした。なんて言葉に表したらいいのか分かんないけど2人に気を使わせてることが俺は嫌だった。だから俺は無理矢理感はあるけど話を逸らすために別の話題を龍と瀧に振った。
「あ、そうだ。俺を助けてくれた松下さん?だっけ。その人ってどんな人なの?」
「あーなんて言えばいいんだろうなぁ。あの人の事を一言で言うのは難しんだよな。」
俺の問いかけに龍は困ったようにそう言った。周りを見渡してみると瀧も龍と同じような顔をしていた。俺そんなに難しい質問しちゃったのかな…。それとも松下さんって人がやばい人のなのかな。ヤクザだから一般人からすればみんな怖い人なのかもしれないけど龍は今組長にも上がった人だ。そんな龍がこんな顔をするってもしかして松下さんは…。
「…危ない人なの?」
俺は思わず怯えながら龍にそう聞いた。すると龍は一瞬驚いたような顔をしたけどその後何故かゲラゲラと笑ってきた。
「はは、そうだな。庵からすりゃ危ねぇかもな。」
「な、なんでそんなに笑うの…っ、俺真剣に言ったのに…っ!」
あまりにも龍と瀧が笑うので俺は恥ずかしくなってそう叫ぶように言ってしまった。だってそんなに笑う必要なんてないじゃないか。なのに2人揃ってゲラゲラ笑うんだ。そりゃ俺だって叫びたくなるよ。そんな俺をみて龍が俺を抱きしめるように腕を回してきた。
「悪い悪い。あまりにもお前が可愛かったからついな。」
また龍は言った。俺の事かわいいって。けど俺は正直にいうと可愛いよりもかっこいいと言われたい。男だから。
「なんだよもうっ、かわいいかわいいって言うな!」
「嫌なのか?」
俺がそう言うと龍はなんで嫌なのかと言わんばかりの顔をしてきた。嫌に決まってるのに!だって逆の立場になってみてよ!俺が龍に可愛いだなんて言ったら…いややめよう。想像するだけで怖い。
「ずっとやだって言ってるじゃんか!」
「別にいいじゃねぇか。実際お前はすげぇ可愛んだから。」
瀧が呑気にそんなことを言ってきた。そのせいで俺はどんどん興奮してしまう。身体中傷だらけでまだ体を少し動かしただけで痛む場所もある。だけど3人が手厚く手当してくれた痕跡があるからそのおかげで痛みもだいぶマシになってるはず。だけどそれでも痛いんだ。けどそんな痛みが気にならなくなるぐらいには俺は今興奮していた。
「かわいくないっ、俺かわいいっていわれるの嫌だって言ってるのになんで言うの…っ!」
「あ?そうだっけ?聞いたことあります?組長。」
「いや俺は聞いたことねぇな。」
毎日俺は言ってる。2人にかわいいって言わないでって。もちろん亮にも言っていた。だけど亮に言っても意味が無いことを悟った俺は亮に可愛いと言われても無視をしていた。だからこの2人だけでもせめて可愛いと言わせないように俺なりに頑張っていたのにそれも無理そうだ。だから俺は2人から顔をそっぽ向けてやった。
「もういいっ、2人なんか知らないから。」
「おいすぐそうやってハブてんなよ。可愛んだから。」
また瀧がかわいいって言った。あんなに嫌って言ってるのに…!
「だから…!!」
「ごめんって庵。これで許せ。」
「やめっ、たきっ、ちょっ、やだっ…!!」
俺がこんなに怒ってるのに瀧は俺にキスをしてきたんだ。それもこれで許せって言ってきた。そんなことで俺の気が変わるわけないのに!そんな風に興奮してきた俺を抑えようとしてくれたのか龍が俺の頭を優しく撫でてきた。そして…。
「おい庵。それよりもお前松下さんのことが気になってんだろ?」
「…え、今りゅうなんて言った?」
18
お気に入りに追加
622
あなたにおすすめの小説
極道達に閉じ込められる少年〜監獄
安達
BL
翔湊(かなた)はヤクザの家計に生まれたと思っていた。組員からも兄達からも愛され守られ1度も外の世界に出たことがない。しかし、実際は違い家族と思っていた人達との血縁関係は無く養子であることが判明。そして翔湊は自分がなぜこの家に養子として迎え入れられたのか衝撃の事実を知る。頼れる家族も居なくなり外に出たことがない翔湊は友達もいない。一先この家から逃げ出そうとする。だが行く手を阻む俵積田会の極道達によってーーー?
最後はハッピーエンドです。
ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉
あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた!
弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?
極道の密にされる健気少年
安達
BL
誰にでも愛されるキャラの漲 駿里 (みなぎ しゅんり)。
高校生になってサッカー部として先輩からも愛され生活していたが、容姿端麗な見た目もあってかサッカー部の先輩達から何度もレイプまがいな事をされ退部を決めた。そんな可哀想な少年と鬼畜極道の組長と出会い、、?エロ多めです。
◽︎暴力、レイプ表現あり。
◽︎最後はハッピーエンドです。
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる