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囚われの身

決意

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あれから庵はご飯をお腹いっぱいに食べた。もちろん龍之介にされるがままになりながら食べさせてもらっていた。その後突如庵は眠くなってしまったようで今は龍之介の腕の中で眠っている。そんな庵を見て龍之介らは安心しているようでどこか不安そうな顔をしていた。




「庵、ぐっすりですね。」

「そうだな。」



瀧雄が庵の頭を撫でながらそう言うと龍之介はただ一言そう言った。それもとても不安そうに。龍之介はずっと心配でたまらないのだ。庵が家に帰ってきたのはいいもののいつパニックを起こすか分からない。そして庵はもしかしたら辛いという気持ちを押し殺すかもしれない。庵の性格上それは有り得る話だ。だから3人はとても不安なのだ。



「まぁあれだけのことがあった後だから仕方ないですよ。」



と、亮。



「相当トラウマになってるでしょうね。」



と、瀧雄。



「それに関しても徐々に調べていこう。」



と、龍之介が言った。庵がトラウマになるものを龍之介らは知らない。庵がどんな目に遭ったのかを直接見ていないから。だから分からないのだ。しかしある程度のものは分かる。例えば注射器に似ているものや玩具、そして裸を見せたりしないこと。これだけは3人の中で徹底するつもりだ。



「そうですね。じゃあ暫くは俺たち我慢大会ですね。」



我慢大会…。亮が言ったその意味は庵を抱けないということ。だから亮達は我慢しなくてはいけない。彼らはもう庵以外考えられいのだから。だからこそ我慢する。庵をこれ以上傷つけないように。



「ああ。こいつが自ら求めるまでは抱くことはやめておこう。」

「「はい。」」



龍之介に言われずとも亮も瀧雄もそうするつもりだ。だけどいざ言われると我慢出来るかどうか不安になる。目の前にあんな可愛い庵がいるのだ。それを前にして我慢しなくてはならない。それは亮や瀧雄、そして龍之介にとっても至難の業だった。そのため亮が上を向きながらため息をつき…。



「あーそう分かっててもきついですね。けど庵の為です。俺のせいであんな事になっちまったんですから。でも不安です俺。組長我慢できそうですか?」

「出来るできねぇじゃねぇよ。我慢すんだ。意地でもな。」



龍之介は亮に甘ったれてんじゃねぇよと言わんばかりにそう言った。そんな龍之介に対して亮は…。



「そうですよねぇ。けど俺我慢出来るかどうかわかんねぇです。」



と、言った。すると今度は瀧雄が亮の方を向いて話し始めた。



「安心しろよ亮。もしお前が一線を超えそうになったら俺が止めてやるからよ。殴ってな。」

「容赦ねぇな。瀧、お前こそ我慢出来んのかよ。」

「あったりめぇだ。俺は亮とは違う。それに庵はあんだけ酷い目に遭ったんだぞ。」

「まぁそうだな。そういえば組長、栗濱達はどうなったのでしょうか?」



亮は突如頭に栗濱のことが浮かんだ。そして気になった。益田のこともだ。いや1番は益田の事だ。栗濱達が死のうが生きようがはどうでもいい。どちらにせよ生き地獄だろうから。何せその処分を下すのは寛也だ。寛也が優しい制裁を下すなんてことはしないだろう。そのためそこは安心している。だが益田はいくら裏切り者とはいえ亮にとっては家族のような存在だった。だから亮は龍之介にそう聞いたのだ。



「旭川さんからの連絡はまだ来てねぇ。亮にも来てねぇだろ?」

「はい。俺のとこにも来てません。ですが寛也さんのことです。きっと栗濱は殺されないにしても生き地獄を味わうことになるでしょうね。」

「そうだな。」



そこで会話が終わった。そして3人は庵を見た。まだ眠っている庵の姿を…。どこを見ても庵は痣ばかり。手には縛られたあとが着いており乳首も腫れている。そして後孔も腫れていた。先程普通に話していたのがおかしいと思うぐらいに庵の身体は痛々しかった。さっきまで庵は起きていたからそれをまじまじと見ることは出来なかった。服も着ていたから。だが眠った庵は動きが止まっている。だから嫌でも亮らの目に庵の子の痛々しい姿が入った。



「これから俺達は庵のためにも頑張っていかないといけませんね。」



二度とこんな目には遭わせない。絶対に。それを覚悟した亮がそう言った。それに続くように龍之介も…。



「だな。一から作り直してまた新しい南里組を作っていこう。親父が死んだからって悲しんでる暇なんてねぇ。絶対にこいつを守る。旭川さんに頼らずにな。」

「「はい。」」



寛也がいれば最強だ。だが龍之介はそれに頼らずに庵を守っていきたいのだ。自分の力で。しかしそれが無理とわかった時は遠慮なく寛也を頼る。そうしなければ危ないのは庵だから。そんなことを龍之介が考えているとあることを思い出した。それは翔真の事だった。



「亮。すまねぇが翔真に連絡してくんねぇか?ちょっと心配でよ。」



翔真は家を失った。そして家族も…。一気に色んなものを失った。だから龍之介は心配だったのだ。いくら翔真があの家の事が嫌いだったとしてもきっとこの事件はショックだろう。だから今の翔真の状態を知りたいと思った龍之介は亮にそういったのだ。



「承知しました。けど翔真のやつ、松下さんに連れていかれてましたよね?その時なんか飲みに行くとか言ってませんでした?」

「あー言ってた気もするな。もう少し後で電話をかけることにしよう。」

「はい。じゃあそれまで俺ここにいてもいいですか?」

「勿論だ。庵のそばにいよう。」


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