血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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囚われの身

バレちゃった *

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*庵視点




































「んで?どうすんだよ庵。」



どうするもこうするもない!俺は嫌だって言ってんのに瀧しつこい!お腹も空いたし早くご飯も食べたいのに…っ。けど瀧は解放してくれないだろうな…。うーどうしよう。別にキスをすること自体は嫌じゃない。だけどみんなに見られてる中キスするのは恥ずかしいんだよ。そんな風に俺が葛藤していると瀧が俺の顔を掴んできた。



「庵。」

「…なに?」



瀧が俺の名前を呼んだ。その後俺の顔を鷲掴みにしている手とは逆の手で俺の体を触ってきた。それは早くキスをしろという意味だろう。だけど俺はそれを無視した。だってみんなに見られながらキスしたくないから。



「何じゃねぇよ。それにお前分かってんだろ。」

「…知らないし。」



ほんと知ってるけど…。



「嘘ついてんじゃねぇよ。腹もへってんだろ?早くしろ。」

「やだ…。」

「なんだよお前。反抗期かよ。」



瀧はそう言ってるけど実際はすごく楽しんでいる。この状況をだ。亮も龍も同じ。言葉を発することは無いけどみんな笑って俺の事を見ている。俺が恥ずかしがってんのを見て笑ってるんだよ?そりゃ俺もハブてちゃうよね…。


 
「ほら庵、口開けて。言うこと聞け。」

「…やだ。」



みんなして俺の事をからかってくるから俺は瀧に顔をそっぽ向けてそう言った。顔も見たくなかったから!



「なぁ庵。こっち向けって。」

「…………。」



あまりにもしつこいから瀧を無視してやった。俺あんな目に遭った後なのにみんな優しさの欠片もないんだから。いや…違うか。いつも通りに接する。これが龍たちの優しさなのかもしれないな。けどだからってやりすぎじゃない?しつこすぎだよ!かれこれ数分も俺は瀧にキスをやれと言われ続けてるんだから。



「おい庵早くしろ。飯が冷めちまうだろ。」



だったら瀧が俺を離してくれたらいい話じゃん!なのにずっと俺の事抱きしめて体を服越しだけどずーっと触ってくるんだよ。そりゃ俺も反抗のひとつぐらいしたくなるよ…っ!なのに瀧は諦めずに…。



「庵。ほら口開けろって。そんでそのままキスをしろ。」



そう言ってくる。けど俺はここで思った。あんまりにも瀧を無視したらまずいことになるんじゃないかって。だから俺は無視するのをやめて瀧の顔を見ようとした。だけどちょうどその時…。



「たく、仕方ねぇな。」

「…………?」



瀧がそう言ってため息をついた。それもわざとらしく。こういう時の瀧は何かを企んでいる時だ。そしてそれは俺にとってあまり良くないこと。だから俺は反射的に体が動いてしまった。



「おい馬鹿。どこに行くってんだよ。」

「だ、だってっ、瀧が変なことしてきそうなんだもん…っ!」

「俺が?そんな事するわけねぇだろ。ねぇ組長。」

「そうだな。」



くそ…。龍のやつ完全に楽しんでる。俺の気も知らないで呑気に眺めてんだから!最低だ!



「離してってば…!」

「離すわけねぇだろ。」



そう言って瀧が服越しに俺の乳首を触ってきた。なんなのもう!ご飯食べたいって言ってるのに瀧はずっと解放してくれない!それどころか俺の体をいたぶり始めたんだから俺はもう全力で逃げようともがいた。



「おら庵暴れんな。」

「だって…っ、触んないでってば!!」

「うるせぇ。あんまでかい声出すな。おい亮。ちょっと庵の事後ろから捕まえててくんねぇ?」

「いいけど何すんだよ。」



亮はそう言いながらとても乗り気に俺に近づいてきた。だから俺はその亮を蹴ってやろうとした。

しかしーーー。



「残念。お前の力じゃ俺には勝てねぇよ。そんでなんだっけ?何すんだよ瀧。」

「決まってんだろ。擽りだ。」



亮が瀧に疑問を問いかけたら瀧は悪い笑みを浮かべた。だから俺は背筋が凍った。こんな顔をする瀧は中々ないから。そしてその瀧の口から出た言葉を聞いてさらに震えた。俺の大嫌いなこと。大の苦手なことをされてしまうから。



「や、やだっ!!」

「じゃあさっさと俺にキスしろって。」

「わかったっ、わかったから!」



俺はどうしてもくすぐられたくなくて瀧にキスをした。その様子をみた瀧はまるで獲物を見つけた猛獣のような目付きになった。そんな瀧が少し怖くて俺は距離を取ろうとしたけどもちろん瀧は離してくれない。だから俺はもう一度瀧にキスをした。あれだけ嫌がっていたことを…。けどそれだけ俺はくすぐられたくなかった。だけど瀧は未だに笑いながら俺を見ている。いやニヤニヤしながらと言った方が正しいかもしれない。



「…瀧。俺きす、したよ?」



離してくれない上に黙り込んで笑うのみ。俺はどうしたらいいか分からなくて瀧にそう言った。すると瀧は…。



「そうだな。」

「なんだよそれ…っ、俺頑張ってキスしたのに…。」

「いやぁ、可愛いなぁって思ってよ。」

「…どこがだよ。俺男なのに。」



可愛いなんて言われても嬉しくない。かっこいいって言われたいのに俺はここに来てからかっこいいと1度も言われたことがない。だから少し男らしくなりたくて瀧の口調を真似してみた。そしたら亮が俺の事をニヤニヤと笑いながら見てきた。周りを見渡したら龍も同じ顔をしていた。



「そこが可愛んだよ。なぁ亮。」



瀧がそう亮に言った。どこが可愛んだよ…。俺は益々ハブててしまう…。



「そうだな瀧。けどよぉ庵。お前やっちまったな。ねぇ組長。」

「お前の言う通りだな亮。」



え…?やっちまった?俺何かした?全然分かんない。亮は一体何を言ってるの…?



「意味わかんない…っ、どういうこと?」

「お前が擽りに弱いってバレちまったってこと。俺は結構前にお前の事泣かすまでくすぐったからしっかり覚えてっけどよぉ。瀧、お前は知らなかったろ。組長もですよね。」

「ああ。まぁでも実際に泣くまで擽ったりなんてことはした事ねぇが感じやすいこいつの事だ。擽りに強いとは思ってはなかったぞ。」

「さすが組長ですね。」

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