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囚われの身
キス *
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*瀧雄視点
「…たき?」
俺がじっとしてろって言ったからキスされんのかと思って庵は目をつぶって耐えていた。だが俺がいくら経ってもキスをしなかったからか目を開けて俺の名を不思議そうな顔をして呼んだ。あーなんて可愛んだこいつ。だから意地悪したくなんだよな。
「やっぱお前からしろ。その方がいい。」
「な、なんでよっ、俺やだって言ったじゃん!」
「そうだっけ?」
「そう…!」
「んーまぁどっちでもいいが俺の気が変わったってことだ。それによぉ庵、お前が嫌って言ったところで俺が引き下がると思うか?」
「…………っ。」
今度は悔しそうな顔してんなぁ。そんなに嫌なのか?まぁ恥ずかしがり屋だし無理もない。今は組長も亮もここにいるしな。その2人に見られながら俺にキスしなきゃなんねぇんだからそりゃ恥ずかしがり屋のお前からしたら勇気がいることだな。でもだからって逃がさねぇよ。
「してくんねぇなら暫くこのままになっちまうな。別に俺は構わねぇが。」
と、俺が言うと庵は考えた。多分このままというのは嫌だったんだろう。俺的には庵の顔をずっと見ていられるので全然構わない。だがやはり庵は嫌だったようだ。
「…やだ。」
「おいやだとか言うな。」
あまりにも庵がストレートに嫌と言ってきたので思わず俺はつっこんだ。そんな俺らを見て亮が笑ってきた。まーたあのうるさい笑い声で。
「はは、庵は正直でいい子だな。」
「うるさい亮…!」
はは、庵って亮に対しては一段と強気だよな。怒らせたら1番やべぇやつなのに庵は亮には何も我慢せず言いたいことを言う。そんな庵をみて亮はいつもの如くお触りが始まっていった。けど俺はまだ庵を離さねぇ。だから庵は亮に好き放題されていくしかねぇな。
「なーに。照れてんのか?」
「ちょ、やめてっ、違うから!」
亮が服越しに庵の乳首を触り始めた。それから逃げようと庵は腰をくねくねさせてっけど俺が離さねぇからまぁ逃げられねぇよな。
「気持ちいいか?」
「きもちくない…っ、ぁ、やめ!」
亮の問いかけにそう答えながらも庵は喘ぎ声が抑えられていない。そんな庵の様子を組長もニヤニヤしながら見ていた。もちろん俺も。こんな至近距離でもがいている庵の姿があるのだ。ニヤニヤしないはずがない。と、俺が目の前の庵の様子を見て楽しんでいると亮が…。
「なんだよ。正直に言えば瀧から助けてやったのに。」
「っ、亮の助けなんかいらないから!」
「可愛くねぇやつ。」
「なに……っ、んん゛!?」
庵の声が突如くぐもった。何があったんだ…と俺が庵の顔を見てみるとなんと亮が庵にキスをしていた。今は俺が庵を可愛がっている番だ。多少体に触れるのは許してやったがキスは許す訳にはいかねぇ。だから俺は亮の鳩尾を思いっきり殴ってやった。
「おい亮!ふざけんな!」
「……瀧雄。本気で殴ってくんじゃねぇよ馬鹿。」
「お前が悪い。今は俺が庵を可愛がってんだ。邪魔すんな。」
「はぁ?いつも俺が可愛がってる時お前手を出してくんじゃねぇか!」
「過去の話をするな。俺は今現在の話をしている。」
たく、せっかくいい気分で庵と戯れていたのに亮と喧嘩を始めちまった。しかも終わる気配がねぇ。どうすっかな…と俺が困っていると。
「もうやめてっ、2人とも喧嘩しないでよ…!」
「悪い悪い。でも今のは亮が悪いだろ?」
と、俺が庵の頭を撫でながら言うと後ろから足音が聞こえてきた。その足音の主は組長だった。
「どっちもどっちだ。いい加減にしとけよお前ら。」
「すんません組長。」
亮が適当に組長にそう言った。だが組長はそんな亮を怒らなかった。だから良かったものの亮のせいで更にややこしくなりそうだった。危ない危ない。つかなんでこんなことになってんだ。そうだ。元はと言えば庵が俺にキスしねぇからじゃねぇか。
「つかお前が早く俺にキスすりゃいい話じゃねぇか。」
「…だって、」
「なに?恥ずかしい?」
と、俺が言うと庵は顔を赤く染めた。なんて可愛いやつなのだろう。
「…うん。恥ずかしい。」
「今更じゃねぇか。んーまぁお前がそういうなら5分間俺を見つめられたら解放してやる。」
「それはもっと嫌…!」
庵はわざわざ俺が提案してやった事に全力で拒否してきた。キスよりも嫌?俺に見つめられんのが?どうしてだよ。
「なんでだよ。」
「お腹すいたから。だから5分も待てない。」
「はぁ?それが理由かよ。子供だな。」
「亮うるさいってば!」
まぁたしかに庵は長い間食べ物を口にしていない。だからお腹が空くのは無理もない。なのに亮がまた余計なことを言って庵を怒らせた。
「庵の言う通りだな。お前は黙っとけって言ってんだろうが亮。」
「へいへい。」
そういった亮だが全く反省していないし今も庵の近くにいる。こいつの愛情表現は呆れるほどにめんどくさい。だから俺はもう亮をほおっておくことにした。
「つか庵よぉ。それなら尚更早くしねぇとな。俺はお前がやるまでは絶対離さねぇからよ。」
「……………っ。」
「やらねぇなら俺が意地悪しちまうぞー。」
「だから亮、お前は黙ってろって言ってんだろうが。」
「へいへい。」
あーくそ。亮のやつ俺をわざと怒らせようとしてんなぁ。まぁそうすりゃ庵を抱けるチャンスが回ってくるからな。けど今はダメだ。亮は亮なりに考えて今庵を抱くのがいいと思ったのだろうけど庵的にはダメだ。まだトラウマになっている。だから俺は少しずつしていきたいのだ。こうしてまずはゆっくりとキスから…。
「庵。どうすんだ?」
「…たき?」
俺がじっとしてろって言ったからキスされんのかと思って庵は目をつぶって耐えていた。だが俺がいくら経ってもキスをしなかったからか目を開けて俺の名を不思議そうな顔をして呼んだ。あーなんて可愛んだこいつ。だから意地悪したくなんだよな。
「やっぱお前からしろ。その方がいい。」
「な、なんでよっ、俺やだって言ったじゃん!」
「そうだっけ?」
「そう…!」
「んーまぁどっちでもいいが俺の気が変わったってことだ。それによぉ庵、お前が嫌って言ったところで俺が引き下がると思うか?」
「…………っ。」
今度は悔しそうな顔してんなぁ。そんなに嫌なのか?まぁ恥ずかしがり屋だし無理もない。今は組長も亮もここにいるしな。その2人に見られながら俺にキスしなきゃなんねぇんだからそりゃ恥ずかしがり屋のお前からしたら勇気がいることだな。でもだからって逃がさねぇよ。
「してくんねぇなら暫くこのままになっちまうな。別に俺は構わねぇが。」
と、俺が言うと庵は考えた。多分このままというのは嫌だったんだろう。俺的には庵の顔をずっと見ていられるので全然構わない。だがやはり庵は嫌だったようだ。
「…やだ。」
「おいやだとか言うな。」
あまりにも庵がストレートに嫌と言ってきたので思わず俺はつっこんだ。そんな俺らを見て亮が笑ってきた。まーたあのうるさい笑い声で。
「はは、庵は正直でいい子だな。」
「うるさい亮…!」
はは、庵って亮に対しては一段と強気だよな。怒らせたら1番やべぇやつなのに庵は亮には何も我慢せず言いたいことを言う。そんな庵をみて亮はいつもの如くお触りが始まっていった。けど俺はまだ庵を離さねぇ。だから庵は亮に好き放題されていくしかねぇな。
「なーに。照れてんのか?」
「ちょ、やめてっ、違うから!」
亮が服越しに庵の乳首を触り始めた。それから逃げようと庵は腰をくねくねさせてっけど俺が離さねぇからまぁ逃げられねぇよな。
「気持ちいいか?」
「きもちくない…っ、ぁ、やめ!」
亮の問いかけにそう答えながらも庵は喘ぎ声が抑えられていない。そんな庵の様子を組長もニヤニヤしながら見ていた。もちろん俺も。こんな至近距離でもがいている庵の姿があるのだ。ニヤニヤしないはずがない。と、俺が目の前の庵の様子を見て楽しんでいると亮が…。
「なんだよ。正直に言えば瀧から助けてやったのに。」
「っ、亮の助けなんかいらないから!」
「可愛くねぇやつ。」
「なに……っ、んん゛!?」
庵の声が突如くぐもった。何があったんだ…と俺が庵の顔を見てみるとなんと亮が庵にキスをしていた。今は俺が庵を可愛がっている番だ。多少体に触れるのは許してやったがキスは許す訳にはいかねぇ。だから俺は亮の鳩尾を思いっきり殴ってやった。
「おい亮!ふざけんな!」
「……瀧雄。本気で殴ってくんじゃねぇよ馬鹿。」
「お前が悪い。今は俺が庵を可愛がってんだ。邪魔すんな。」
「はぁ?いつも俺が可愛がってる時お前手を出してくんじゃねぇか!」
「過去の話をするな。俺は今現在の話をしている。」
たく、せっかくいい気分で庵と戯れていたのに亮と喧嘩を始めちまった。しかも終わる気配がねぇ。どうすっかな…と俺が困っていると。
「もうやめてっ、2人とも喧嘩しないでよ…!」
「悪い悪い。でも今のは亮が悪いだろ?」
と、俺が庵の頭を撫でながら言うと後ろから足音が聞こえてきた。その足音の主は組長だった。
「どっちもどっちだ。いい加減にしとけよお前ら。」
「すんません組長。」
亮が適当に組長にそう言った。だが組長はそんな亮を怒らなかった。だから良かったものの亮のせいで更にややこしくなりそうだった。危ない危ない。つかなんでこんなことになってんだ。そうだ。元はと言えば庵が俺にキスしねぇからじゃねぇか。
「つかお前が早く俺にキスすりゃいい話じゃねぇか。」
「…だって、」
「なに?恥ずかしい?」
と、俺が言うと庵は顔を赤く染めた。なんて可愛いやつなのだろう。
「…うん。恥ずかしい。」
「今更じゃねぇか。んーまぁお前がそういうなら5分間俺を見つめられたら解放してやる。」
「それはもっと嫌…!」
庵はわざわざ俺が提案してやった事に全力で拒否してきた。キスよりも嫌?俺に見つめられんのが?どうしてだよ。
「なんでだよ。」
「お腹すいたから。だから5分も待てない。」
「はぁ?それが理由かよ。子供だな。」
「亮うるさいってば!」
まぁたしかに庵は長い間食べ物を口にしていない。だからお腹が空くのは無理もない。なのに亮がまた余計なことを言って庵を怒らせた。
「庵の言う通りだな。お前は黙っとけって言ってんだろうが亮。」
「へいへい。」
そういった亮だが全く反省していないし今も庵の近くにいる。こいつの愛情表現は呆れるほどにめんどくさい。だから俺はもう亮をほおっておくことにした。
「つか庵よぉ。それなら尚更早くしねぇとな。俺はお前がやるまでは絶対離さねぇからよ。」
「……………っ。」
「やらねぇなら俺が意地悪しちまうぞー。」
「だから亮、お前は黙ってろって言ってんだろうが。」
「へいへい。」
あーくそ。亮のやつ俺をわざと怒らせようとしてんなぁ。まぁそうすりゃ庵を抱けるチャンスが回ってくるからな。けど今はダメだ。亮は亮なりに考えて今庵を抱くのがいいと思ったのだろうけど庵的にはダメだ。まだトラウマになっている。だから俺は少しずつしていきたいのだ。こうしてまずはゆっくりとキスから…。
「庵。どうすんだ?」
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