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囚われの身
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*龍之介視点
「困った事になっちまったな。」
亮を寝室に行かせて休ませたのはいいものの今度は俺が使いもんになんねぇよ。けど仕方ねぇ部分もある。完全に言い訳だがな。だがそんなつまんねぇ言い訳を俺がするほどのことがあったんだ。庵…あいつさっき絶対起きてやがった。亮は気づいてないようだが俺は騙されねぇぞ。
「たく、どうすっかなぁ。まぁ亮が上手く誤魔化してくれるだろ。」
ああ。ため息が止まらない。亮が苦しまなければいいが…。いやそれはこれからだ。これから亮を出来る限りカバーしていかなくてはいけない。あいつはああ見えて繊細なだからな。
「若?どうしたのですか?」
やべぇ…。リビングに瀧が戻ってくる気配すら感じられなかった。油断しすぎだ俺。家とはいえちゃんと警戒しとかねぇと外でも出来まう。こういう気の緩みが死に繋がっちまうからな。
「早かったな。」
「急いで戻りました。さっきの栗濱の事も気になりますし…。」
「そうだな。まぁ瀧、とりあえずこっちに来い。」
「はい。」
こいつは素直だな。亮と違って。瀧は俺の言うこと全てに従う。なんの文句も無しに。まぁ時々歯向かったり俺を止めて来るがそんときは余っ程のことがあった時だ。だからいつも瀧には助けられてる。もちろん今もな。
「話がある。さっきの栗濱の話だ。」
「何か進展があったのですね。」
さすがは瀧。話が早くて助かる。瀧はいつもそうだ。俺の表情を瞬時に読みとっていい事なのか悪いことなのかを直ぐに察知する。
「そうだ。俺も聞いた時かなり驚いた。」
「何があったのです?」
「亮がな、栗濱の息子だったんだ。」
「…………はい!?」
おお、瀧。お前のそんな表情久しぶりにみたな。いつも凛としてるくせに亮のことになるとお前は本当に感情が豊かになるな。
「息子って…え?実のですか?亮が?栗濱の!?」
「瀧、落ち着け。」
「す、すみません…。ちょっと興奮しすぎました。」
「いやまぁそうなるよな。」
「はい。それで、亮は本当に栗濱の息子なのですか?」
「ああ。」
俺がそう返事をすると瀧は考え込んだ。こいつなりに頑張って理解しようとしてんだろうな。冷酷非道で有名な栗濱がまさかの仲間の父親だったんだから。そりゃ驚くよな。けど瀧は切り替えが本当に早い。だからすぐに頭を働かせて仕事へと繋げ始めた。
「でも若。それはチャンスなのでは…?亮が何か情報を知っているかもしれないですよ。そしたら俺達は有利になります。」
「俺もそう思ったんだがよ。亮はまさかの愛人との子供でな。しかもその愛人…いや亮の母親は栗濱の手によって殺されたそうだ。」
「…………。」
そうだよな瀧。言葉出ねぇよな。俺もそうだった。いつも亮は笑ってっからよ。辛いことがあってもすぐ切りかえて仕事には感情を持ち込まない。お前と同じでな。けどその亮がさっき感情を持ち込んだんだ。そりゃまぁ驚いたさ。
「だからとりあえず亮は休ませた。本来なら調べもんさせるところなんだがな。」
「若の判断は正しいですよ。でも若がそうしたってことは亮が感情を乱したって事ですよね。」
「そうだ。それとこの話にはまだ続きがあるんだ。」
「なんですか?」
瀧の奴…ほんっと珍しく表情をコロコロ変える。けど逆に言えば瀧がそんな顔をしてしまうぐらい大変なことになってんだよな。
「亮は兄貴に売られたらしいんだ。栗濱によってな。」
「なるほど。栗濱はこの組の跡継ぎは玲二さんだと思ったのですね。それなら玲二さんが幹部たちをあんな簡単に殺せたのも納得がいきます。」
「そうだな瀧。お前も成長したな。俺のとこに来た時は何にせよ駄目駄目だったのによ。」
「まぁ若の元で働いてりゃ成長ぐらいしますよ。それもあって俺は若にずっとついてるんですから。」
「そうかそうか。」
嬉しい事を言ってくれるじゃねぇか。まぁそれなら良かった。本音かどうかは別として瀧が俺の元にいたいと思ってくれることが1番だ。
「若。それで、栗濱は宏斗さんとはいつ繋がったのでしょうか。」
「それが問題なんだ。だからそれを亮に調べさせようとしたんだが…。」
「まぁ無理ですよね。」
「ああ。だから一旦休ませた。その後も無理そうなら亮にはさせねぇ。瀧、悪いがお前に頼んでもいいか?」
「勿論ですよ。」
瀧。お前ならそう言ってくれると思った。そうと決まれば俺は違うことをする。気になっていたことがあったからな。
「すまないな。俺は俺で調べたい事があってよ。」
「それはなんなのか…お伺いしてもいいですか?」
「栗濱の愛人だ。」
「愛人ですか?」
「ああ。いきなり本人に近づくのは無理がある。部下もな。だから1番警戒心のなさそうな奴から攻めていく。」
「そうですね。」
愛人を調べたところで栗濱に近づけるかどうかは分からない。ちょっと調べたところ栗濱はいらなくなった愛人を直ぐに殺すからな。だから栗濱の女はすぐに変わる。だがそれでも何かに繋がるかもしれない。だったら調べる価値はある。瀧もそう思ってくれたようでそう言ってくれた。その後瀧はすぐに行動を開始した。
「では、俺は一旦先程の件を調べます。」
「ああ。任せたぞ。」
俺がそう言うと瀧はパソコンを持って少し離れたところで調べ物を開始した。それを見て俺もパソコンを開こうとした。だがその時動きが止まってしまった。あるものを見てしまったから。そのあるものというのは…。
「亮?なんでお前がここにいるんだ。」
「困った事になっちまったな。」
亮を寝室に行かせて休ませたのはいいものの今度は俺が使いもんになんねぇよ。けど仕方ねぇ部分もある。完全に言い訳だがな。だがそんなつまんねぇ言い訳を俺がするほどのことがあったんだ。庵…あいつさっき絶対起きてやがった。亮は気づいてないようだが俺は騙されねぇぞ。
「たく、どうすっかなぁ。まぁ亮が上手く誤魔化してくれるだろ。」
ああ。ため息が止まらない。亮が苦しまなければいいが…。いやそれはこれからだ。これから亮を出来る限りカバーしていかなくてはいけない。あいつはああ見えて繊細なだからな。
「若?どうしたのですか?」
やべぇ…。リビングに瀧が戻ってくる気配すら感じられなかった。油断しすぎだ俺。家とはいえちゃんと警戒しとかねぇと外でも出来まう。こういう気の緩みが死に繋がっちまうからな。
「早かったな。」
「急いで戻りました。さっきの栗濱の事も気になりますし…。」
「そうだな。まぁ瀧、とりあえずこっちに来い。」
「はい。」
こいつは素直だな。亮と違って。瀧は俺の言うこと全てに従う。なんの文句も無しに。まぁ時々歯向かったり俺を止めて来るがそんときは余っ程のことがあった時だ。だからいつも瀧には助けられてる。もちろん今もな。
「話がある。さっきの栗濱の話だ。」
「何か進展があったのですね。」
さすがは瀧。話が早くて助かる。瀧はいつもそうだ。俺の表情を瞬時に読みとっていい事なのか悪いことなのかを直ぐに察知する。
「そうだ。俺も聞いた時かなり驚いた。」
「何があったのです?」
「亮がな、栗濱の息子だったんだ。」
「…………はい!?」
おお、瀧。お前のそんな表情久しぶりにみたな。いつも凛としてるくせに亮のことになるとお前は本当に感情が豊かになるな。
「息子って…え?実のですか?亮が?栗濱の!?」
「瀧、落ち着け。」
「す、すみません…。ちょっと興奮しすぎました。」
「いやまぁそうなるよな。」
「はい。それで、亮は本当に栗濱の息子なのですか?」
「ああ。」
俺がそう返事をすると瀧は考え込んだ。こいつなりに頑張って理解しようとしてんだろうな。冷酷非道で有名な栗濱がまさかの仲間の父親だったんだから。そりゃ驚くよな。けど瀧は切り替えが本当に早い。だからすぐに頭を働かせて仕事へと繋げ始めた。
「でも若。それはチャンスなのでは…?亮が何か情報を知っているかもしれないですよ。そしたら俺達は有利になります。」
「俺もそう思ったんだがよ。亮はまさかの愛人との子供でな。しかもその愛人…いや亮の母親は栗濱の手によって殺されたそうだ。」
「…………。」
そうだよな瀧。言葉出ねぇよな。俺もそうだった。いつも亮は笑ってっからよ。辛いことがあってもすぐ切りかえて仕事には感情を持ち込まない。お前と同じでな。けどその亮がさっき感情を持ち込んだんだ。そりゃまぁ驚いたさ。
「だからとりあえず亮は休ませた。本来なら調べもんさせるところなんだがな。」
「若の判断は正しいですよ。でも若がそうしたってことは亮が感情を乱したって事ですよね。」
「そうだ。それとこの話にはまだ続きがあるんだ。」
「なんですか?」
瀧の奴…ほんっと珍しく表情をコロコロ変える。けど逆に言えば瀧がそんな顔をしてしまうぐらい大変なことになってんだよな。
「亮は兄貴に売られたらしいんだ。栗濱によってな。」
「なるほど。栗濱はこの組の跡継ぎは玲二さんだと思ったのですね。それなら玲二さんが幹部たちをあんな簡単に殺せたのも納得がいきます。」
「そうだな瀧。お前も成長したな。俺のとこに来た時は何にせよ駄目駄目だったのによ。」
「まぁ若の元で働いてりゃ成長ぐらいしますよ。それもあって俺は若にずっとついてるんですから。」
「そうかそうか。」
嬉しい事を言ってくれるじゃねぇか。まぁそれなら良かった。本音かどうかは別として瀧が俺の元にいたいと思ってくれることが1番だ。
「若。それで、栗濱は宏斗さんとはいつ繋がったのでしょうか。」
「それが問題なんだ。だからそれを亮に調べさせようとしたんだが…。」
「まぁ無理ですよね。」
「ああ。だから一旦休ませた。その後も無理そうなら亮にはさせねぇ。瀧、悪いがお前に頼んでもいいか?」
「勿論ですよ。」
瀧。お前ならそう言ってくれると思った。そうと決まれば俺は違うことをする。気になっていたことがあったからな。
「すまないな。俺は俺で調べたい事があってよ。」
「それはなんなのか…お伺いしてもいいですか?」
「栗濱の愛人だ。」
「愛人ですか?」
「ああ。いきなり本人に近づくのは無理がある。部下もな。だから1番警戒心のなさそうな奴から攻めていく。」
「そうですね。」
愛人を調べたところで栗濱に近づけるかどうかは分からない。ちょっと調べたところ栗濱はいらなくなった愛人を直ぐに殺すからな。だから栗濱の女はすぐに変わる。だがそれでも何かに繋がるかもしれない。だったら調べる価値はある。瀧もそう思ってくれたようでそう言ってくれた。その後瀧はすぐに行動を開始した。
「では、俺は一旦先程の件を調べます。」
「ああ。任せたぞ。」
俺がそう言うと瀧はパソコンを持って少し離れたところで調べ物を開始した。それを見て俺もパソコンを開こうとした。だがその時動きが止まってしまった。あるものを見てしまったから。そのあるものというのは…。
「亮?なんでお前がここにいるんだ。」
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