血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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極道の世界

駆け引き

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「亮は褒め上手だね。」

「そうか?初めて言われだぞそんな事。つかそもそも俺あんま人の事褒めねぇしな。」

「うそだっ、だって俺のことは褒めまくりじゃん。」

「それはお前だからだ。お前は俺のお気に入りだから可愛がるに決まってんだろ。」



そう言った亮に対して庵は思った。初めてであった時のあの恐怖はなくなってしまったな…と。亮らが怖くないのはいいことかもしれない。けど依存したらダメなんだと感じる。それは龍之介らにいつ捨てられるか分からないから。



「…変なの。」

「あ?なにがだ。」

「あんな酷い事してきたのに優しくしてくるんだもん。意味わかんない。」

「そりゃこっちのセリフだ馬鹿。」

「え?」



まさか亮がそう言ってくるとは思ってもいなかったので庵は目を見開いた。こっちのセリフとはどういうことなのか分からなかったから。そんな庵に対して亮は丁寧に説明をしてくれた。



「お前がこんなにすぐ良い子になるとは思わなかった。俺らは恐怖で支配して逃がさねぇようにするつもりだったのにこれは予想もしてなかったな。まぁ結果としては良かったけどよ。」




亮の言ったことを聞いて庵は過去を思い出した。借金の利息を尋常ではないほどつけられ取り立てされていたのだ。庵が彼らを怖くないと思わないはずがなかった。それに極道ってだけで怖い。だけどそれは違った。中身を見なくては分からない。彼らがいい人であるのはもう庵はこの短時間でよくわかった。



「…亮たちが悪い人じゃないってわかったから。」

「何言ってんだ。俺らは悪い人だぞ。」

「世間的に言ったら悪いのかもしれないけど…俺を救ってくれたことには変わりないから。」

「ふーん。」

「…なんだよその反応。」



庵がそう言うと亮は喜ぶと思ったのに亮は目を釣りあげて庵を見下ろしてきた。だから庵はすかさず強気で言い返した。亮に隙を見せるとすぐに襲われてしまうから。



「そうやってすぐ人を信じるから俺らみたいな奴に捕まってレイプされんだよ。」

「それって俺が悪いの…!?」

「自己防衛をもっとしろって言ってんだ。まぁここに来たからには自己防衛はする必要ないがな。」



亮はそう言ったがここに来たからこそ自己防衛をしていかないといけないと庵は思った。常に気を張っておかなければすぐ襲われる。襲ってくる人がここには3人もいるのだから…。だけどそれは言わない。言ったら亮が興奮するかもしれないから。だから庵は話題を変えた。



「…俺ほんとに外に出れなくなるの?」

「当たり前だ。逃げる可能性が少しでもあるうちは出さねぇしここで躾をする。」

「…………っ。」



逃げる気がないと言えば嘘になるかもしれない。だけど帰る場所がない庵からしたら逃げても行くところがない。だから逃げたくても逃げられない。けれどやっぱり外に出て色んなことをしたいという思いもあった。なにせ庵はまだ成人すらしていないのだから。だからやりたいことだらけなのだ。けど躾をするなんて言われては言い返すことも出来ない。そのため庵は黙り込んでしまった。



「つか逆になんでそんなに外に出たいんだよ。なんもねぇだろ。」

「風に当たったり太陽の日を浴びるのが好きなんだよ。」

「へぇ、変なやつ。」



生きてきた世界が違うのだから価値観は違って当然だ。庵はかつて母親に対するストレスを空を見たり風に当たったり海を見たりすることで解消していた。それが出来ないとなると庵のストレスを解消するはけ口がなくなってしまうのだ。だからそういったのだが変なやつ扱いされてしまった。



「なっ…そんなことないしっ、てかそっちが変だからな!」

「いやお前だろ。」

「…もういいキリがない。」



こんな小学生みたいな言い合いに終わりなんてない。これ以上この会話を続ける必要も無いので庵はそういうことで会話を終わらせようとした。だが亮には庵がハブててしまったように見えたらしく亮は庵を抱きしめてきた。



「たく、すーぐハブてんのやめろって。襲いたくなるだろ。」

「うっ…い、いやでも自己防衛するから大丈夫。」

「今はしなくていいんだよ。」

「今しないでいつするんだよ…!」

「んー例えば…玲二さんが来た時とか。」



確かにその時はしなくては行けない。絶対に。絶対にだ。だけどそれはもう無いかもしれない。瀧雄がセキュリティを強化してくれているから。それでももし来たら庵には打つ手がない。



「それはもう逃げるしかないよ。俺じゃ勝てない。」

「そうだな。俺でも勝てねぇんだからお前なんてイチコロだな。」

「そんなことないし…っ!!」

「そんな事あるわ。」

「うるさいっ、もうこの話は終わり!」



亮と話すといつもこうなる。喧嘩がすぐ始まってしまう。そんな会話ばかりしてしまう自分にも呆れる庵。もうため息しか出なかった。そんな庵とは裏腹に亮はどこで興奮したのか勃起していた。そして庵の太ももをいやらしく触り始める。



「なぁ庵。」

「ダメだからね。やらないから。」



亮に何を言ってももう怖くない。逃げようとしない限り亮は優しくしてくれる。それを知っている庵は強気でそう言った。だが亮も亮で引く気は無いらしい。



「いいじゃねぇか。今若あっちにいるんだし。つか若がいいって言ったろ?」

「え、なにを…?」

「さっきドア越しに聞いたぞ。お前が俺ら3人に抱かれ続けるってな。俺の出番はなしかと悔しがってたが若がそういうんじゃ遠慮する必要なんてねぇもんな。」



なんでやつだ!自分のことしか考えてない!庵はもう体力も限界を迎えていて腰だって痛い。なのにこんな状態で抱かれたら明日は動けなくなってしまうだろう。そんなの…そんなの嫌だ!



「お、俺の気持ちも考えろよ…!」

「気持ちいいことしてぇって顔してんぞ。」

「してないから!」

「ならその気にさせてやる。」

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