血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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調教される日々

続く擽り

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「庵が悪ぃんだぞ。」

「やらっ、あはは、ははっ、やめてっ、ぅ、ふっ、いやだ!」



あれからもう1分追加と言われ庵は亮に再びくすぐられている。しかも今回は両脇へのくすぐりだ。亮は庵の腕をタオルで拘束すると脇が閉じれないようにそのタオルをどこかに縛り付けた。そしてがら空きになった脇を容赦なくくすぐっていたのだ。



「あ?聞こえねぇよ。ちゃんと喋れ。」

「もぅ、むりっ、はははっ、はは、ぎぶっ、ぎぶ!」

「ギブ?」

「う゛んっ、ぎぶっ、やめて!」

「まぁ辛そうだしな。」



そう言いながらも亮は手を止めない。止めるどころか指の動きを早めているような気もする。そんな手の動きをして止めてくれるはずもなく亮はさぞ楽しそうに庵をくすぐり続けた。



「でもやめねぇよ。」

「なん、っ、なんでっ、はははっ、やだっ、やめろよ!」

「そんなん決まってんだろ。まだ1分経ってねぇしよ。」

「たった、っ、た、った、あは、はははっ、ぎぶ!」

「経ってねぇって。」



体をくねらせてなんとしてでも亮の手から逃げようとする庵に笑いながら亮がそう言った。このまま気絶するまでくすぐり続けたい。それぐらい目の前の庵が可愛くて仕方がなかった。



「やだっ、もぅ、むりっ、あはは、なんでもっ、なんでもするから!」



限界を突破したからであろうか。庵の思いもよらない言葉に亮は口角を上げた。この言葉が聞けると思わなかったからだ。



「何でも?」

「なんで、もっ、ははっ、なん、でもするっ、から、やめて!」

「後から嫌っつっても駄目だからな?」



念には念をと亮が執拗く聞いてくる。だが庵にはそんな余裕すらなかった。聞くと言っているのだから早く辞めて欲しい。



「わ゛か、っ、てるっ、わかった、から!」

「ならやめてやる。」




亮はそう言うとあっさりやめてくれた。さっきまで散々いやいや言ってもやめてくれなかったのに急にやめてくれた。それは庵がなんでも言うことを聞くと言う約束をしたからである。だがしかしとんでもない約束をしてしまったことに庵は気づいていない。それほどまでにくすぐられている時は余裕がなかったのだ。今も息を整えるのに必死であとのことを考える余裕すらない。



「はぁ…っ、はぁ…っ、しぬ…。」

「死なねぇって。俺がお前の限界を見誤るわけねぇだろ。」



あれは絶対に1分を超えてした上にとっくに庵の限界を突破していたと思う。だから自信満々にそう言ってきた亮を思わず睨みそうになったが直前でやめた。



「おっと、今は未遂だったがその未遂すらいけねぇよな。もう1分追加するか?」

「いやだ…っ。」

「はは、冗談だ。もうやらねぇよ。言うこと聞けるようになったみたいだしな。さ、続きは風呂に入ってからだ。」




亮はニカッと笑いそう言うと庵の頭を少し乱暴に撫でた。そして庵をまるで腫れ物を扱うかのように優しく抱き上げた。庵はその時抵抗することをしなかった。それは亮が何もしない。そう思えたからだ。だから風呂場に入って体を優しく洗われている時も抵抗しなかった。そのままされるがままになっているとふと亮が話しかけてきた。



「なぁ庵。俺の名前なんだっけ?」

「………。」



さっきなんでも聞くと言ってしまった庵。だからこの亮の問いかけにも答えなければならない。だけど言いたくなかった。だから黙り込んでしまう。すると亮はそんな我儘は許さないと言わんばかりに庵の体をいやらしく触り始める。



「泡着いたまま擽られると堪んねぇだろうな。」

「りょ、亮…っ!」

「はは、呼び捨てかよ。まぁいいけど。」




亮はそういいまた庵の頭を撫でた。癖なのだろうか。亮はことある事に頭を撫でてくる。庵は初めての感覚だった。頭なんて撫でられる事はそうそうない。特に庵はそうだった。だから亮に頭を撫でられる度無意識のうちに目に涙がたまる。怖いからなのかそれともずっと欲しかった愛情を貰えたからなのか…理由は庵にも分からなかった。



「いい子だ庵。」



今は優しくそう言ってくる亮。しかしまた逃げ出せばこの男は容赦なく庵をいたぶるだろう。躾だと言って泣かせてくるはず。だけど何もしなければこんなに優しい。優しくしてくれる。 怖いことをされない。逃げなきゃ行けないのに庵はまた逃げる気が失せてしまう。辛いのは嫌だから。そんな風に色々考え込んでしまった庵に亮は優しく話しかけた。



「なぁ庵。湯船浸かるか?」



そう亮に言われると庵は小さく頷いた。言うことを聞かなければならないから。さっきなんでも言うことを聞くって言ってしまったから。だけど本音としてはもう風呂場から出たかった。それはさっきからフラフラするから。これはもしかしたらゆだってしまったのかもしれない。



「庵…?」



何かを言えば答えるようになった庵。なのに今回は頷くだけだった。その異変に気づいた亮はすぐに庵の顔を覗き込む。



「ん?ゆだっちまったか?顔真っ赤になってんじゃねぇか。早く言えよ馬鹿。痩せ我慢なんかすんな。」




そう言うと亮は庵を抱きかかえて慌ててふろ場を後にした。その後換気がてらに浴室と廊下を繋ぐドアを開け急いで庵の体を拭いた。亮は自分の体は適当に拭きとりあえずそこにあった服を着る。そして服がない庵には大きなバスタオルを巻き付けて亮は急ぎ足でリビングへと向かっていった。



「おい瀧!」

「今度はなんだよ…ってお前なぁ。」



風呂場に行ったと思えば叫びながら帰ってきた亮に瀧雄は呆れ顔だ。しかもそれに追い打ちをかけるかのように庵の様子がおかしい。これは…。



「お前さては庵に手出したな。」

「違ぇよ。普通に洗ってたわ。でもゆだっちまってよ。」

「全く何してんだよ。お前らしくもない。」

「悪い。今回ばかりは俺のミスだ。ちゃんと見てなかった。」

「たく、とりあえずお前は水持ってこい。」

「おう。」

「冷蔵庫に入ってるはずだからそれを頼む。」




そう言い亮の腕から庵を受け取った瀧雄。そしてそのまま庵をソファに寝かせた。冷房も調節し庵の体温を下げるようにする。それを終えると瀧雄はしゃがみこんで庵に話しかけた。



「庵。大丈夫か?」 

「…ふらふらする。」

「頭もフラフラするか?」

「…うん。」

「じゃあまだ寝てろ。ゆっくりしてろ、な?」



瀧雄にそう言われると庵は小さく頷いた。思ったより重症だったようだ。起き上がることすら出来そうにない。それにはここ最近の疲労も関係しているだろう。その弱っている身体に追い打ちをかけてしまったのだから起き上がれないのも無理はないだろう。そんな庵を見て瀧雄はため息をつく。



「お前に任せきれねぇよ亮。俺も若も明日から出張に行くんだぞ。大丈夫かよ。」

「大丈夫だ。俺がちょっと揶揄うようなこと言っちまったから庵が興奮しただけだからよ。」

「ならいいんだが…。」

「安心しとけって。」



水を手にソファまできた亮はそう言って庵の体を起こし始めた。水を飲ませるために。



「庵。飲めそうか?」



亮は庵の体を起こして自分に庵が体を預けるような形にした。そして亮は庵の口元にストローを近づけるが庵は口を開かなかった。その理由を察した瀧雄は庵の頬を撫でながら話し始める。



「なんも悪ぃもん入ってねぇから安心しろ。ほら、口開けてみ。」



瀧雄は庵の唇を触りながらそう言った。ストローが入る隙間さえ作ればいい。だが庵はそれさえ辛そうにしていた。



「駄目か…。」



身体が火照るのだろう。庵は意識すらちゃんと保っている様子には見えなかった。このまま無理やり飲ますのもあまり良くない。そう思った亮は水を下げようとしたがそれを瀧雄が止めた。



「おい亮。それ貸せ。」

「これか?」

「そうだ。水だ。」

「何すんだよ。」

「飲ませるに決まってんだろ。飲めねぇなら飲ませるまでだ。」



そう言い亮から水を奪い取ると瀧雄は水を口に含んだ。そして庵の顔を掴み固定すると指を突っ込み無理やり口を開けさせる。



「おい瀧。何してんだ。やめとけって。」



体調が良くない庵に無理やりしてもいいことは無い。そう思っている亮は瀧雄を止めようとするが瀧はそれを拒んだ。そしてゆっくりと自分の口に含んだ水を庵の口の中に流し込んでいく。



「…っ……。」

「いい子だ庵。」


流し込んだ全ての水を飲み干した庵に瀧雄は庵の頭を撫でながらそう言った。



「もう一口飲めそうか?」



その瀧雄の問いかけに庵は小さく首を振った。それも無理はないだろう。眠たいのか庵は意識を飛ばしそうなのだから。



「まぁいいだろ瀧。一口飲んでくれたしよ。悪化するようなら医者を呼べばいい。」

「そうだな。」

「てことだ庵。ゆっくり休んでていいぞ。」



そう言いながら亮が頭を撫でてきた。瀧雄には身体を撫でられる。庵は意識が朦朧としているからかこの時母親のことを思い出した。こんな風に撫でてくれた時あったっけ…?なかったかもな。庵にとってたった一人しかいない頼れる存在。帰る家もご飯も母親に握られている。だから依存していたのかもしれない。龍之介の言う通りだ。悔しいな…。



「寝たか?」

「ああ、寝たみたいだ。」



瀧雄の問いかけに答えると亮は庵に毛布をかぶせた。寒くないように。そんな亮に瀧雄は険しい顔をして話し始めた。



「亮。分かってはいると思うが俺らが出張に行く時気を張っとけよ。こいつが逃げるとしたらそん時しかねぇからな。」

「勿論分かってる。まぁどの道逃げられやしねぇと思うがな。」

「そうだな。まぁ念の為だ。」

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