中二病少女

木下寅丸

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願望の達成は混乱をもたらす

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 しばらく日にちが経った。例によって妹は急に入ってくる。
「分かったわ。お兄ちゃん!」テンションはいつも高い。
「行きなり入ってくるなりなんだい?全く」テンションの温度差を感じる。
「だから、分かったの!」
「何が分かったんだ? 藪から棒に」
「あれは途中経過だったの! 途中経過だったのよ。お兄ちゃん!」
「分かるのか? おまえ…」私は固まった。
「ふぅ~」妹は背伸びをした。
「やっとモヤモヤが解けたわ、素敵な本をありがとね」そう言って部屋から出ようとした。
「おい、ちょっと。ちょっと待て」
「へ?」
 呼び止めたものの、何を言って良いのか分からなかった。こんな時がくるなんて思わなかったからだ。私が感じたことと、全く同じことを…。
 妹はキョトンとしていた。呼び止めたのにもかかわらず、何も言わない私に?を感じたのだろう。
 脳内が加速する。今までのことをマッハスピードで振り返る。点と点を繋いでいき、一つの結論へと向かう。そして、思考が急ブレーキを踏んだ。
「おまえは天才だ」
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