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ライ麦畑でつかまえて
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妹が私の部屋に入ってくる。また本棚を物色しているみたいだ。
「そういえばお兄ちゃんって小説とか読まないの?」と聞いてきた。
「読まなくもないけどね」私は本棚へ向かう。言われてみれば小説は少ない。
「これなんかどう?」と無即座に本を選んで差し伸べる。
「それはイヤ!」即答。
「タイトルも見ないでイヤってことないだろう」
「こういう時お兄ちゃんは無難な本を選ぶってことを知っているのよ。早く一番面白かった本をだしなさい」妹はニヤニヤしている。
私は、思考が読まれてムッとした。「あーそうですともこれは無難なやつですよー」と心の中で言ってやった。
「はいはい、んじゃこれだな」本を差し伸べる。「何これ?」「J.D.サリンジャーって人の『ライ麦畑でつかまえて』って本。タイトルぐらい聞いたことあるだろ?」
「そーね。聞いたことぐらいはあるわ」興味なさそうに本を取ろうとする。
「おっと!」慌てて手を引っ込めた。「初めはこっちの訳の方が読みやすいかもなー」私は、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』に変えて妹に手渡した。
「何でこっちは英訳のタイトルなの?」「さぁ。分からん」
36
ノック。トン、トン、トン。
「どうぞ」妹が部屋に入ってくる。ベッドに座りこちらを凝視。今日は何かな?
「あのさ、本読んだよ」
「ふーん、そうかい」
「この本って、本当にお兄ちゃんの一番好きな本なの?」
「そうだよ」
「本当に?」妹は釈然としない様子だ。
「つまらなかった?」
「うーん、分からない。面白いとは思うけど」私は、少し考えた。
「それはさ、私にとって色々な意味できっかけになった本なんだ。私はその作者の全体が好きでさ、おすすめするとなると、やっぱりそれが一番になるんだ」
「話が繋がっているの?」
「いや、そういう訳ではないよ。その後のものは、ほとんど繋がっているけど」
「う~ん。意味分かんないよ~」
「そんなもんだ。気になるならあそこらへんにサリンジャーの本固まっているから読んでみれば?」妹は、渋々数点持って行った。
妹が私の部屋に入ってくる。また本棚を物色しているみたいだ。
「そういえばお兄ちゃんって小説とか読まないの?」と聞いてきた。
「読まなくもないけどね」私は本棚へ向かう。言われてみれば小説は少ない。
「これなんかどう?」と無即座に本を選んで差し伸べる。
「それはイヤ!」即答。
「タイトルも見ないでイヤってことないだろう」
「こういう時お兄ちゃんは無難な本を選ぶってことを知っているのよ。早く一番面白かった本をだしなさい」妹はニヤニヤしている。
私は、思考が読まれてムッとした。「あーそうですともこれは無難なやつですよー」と心の中で言ってやった。
「はいはい、んじゃこれだな」本を差し伸べる。「何これ?」「J.D.サリンジャーって人の『ライ麦畑でつかまえて』って本。タイトルぐらい聞いたことあるだろ?」
「そーね。聞いたことぐらいはあるわ」興味なさそうに本を取ろうとする。
「おっと!」慌てて手を引っ込めた。「初めはこっちの訳の方が読みやすいかもなー」私は、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』に変えて妹に手渡した。
「何でこっちは英訳のタイトルなの?」「さぁ。分からん」
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ノック。トン、トン、トン。
「どうぞ」妹が部屋に入ってくる。ベッドに座りこちらを凝視。今日は何かな?
「あのさ、本読んだよ」
「ふーん、そうかい」
「この本って、本当にお兄ちゃんの一番好きな本なの?」
「そうだよ」
「本当に?」妹は釈然としない様子だ。
「つまらなかった?」
「うーん、分からない。面白いとは思うけど」私は、少し考えた。
「それはさ、私にとって色々な意味できっかけになった本なんだ。私はその作者の全体が好きでさ、おすすめするとなると、やっぱりそれが一番になるんだ」
「話が繋がっているの?」
「いや、そういう訳ではないよ。その後のものは、ほとんど繋がっているけど」
「う~ん。意味分かんないよ~」
「そんなもんだ。気になるならあそこらへんにサリンジャーの本固まっているから読んでみれば?」妹は、渋々数点持って行った。
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