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32話 聖剣に挑め! ②
しおりを挟む早くこの聖騎士をどうにかして倒さないと!
『そうだそうだ! 私もいまバチクソムカついてる!』
「ボクも同じさ!」
『よーし! あんのくっそ忌々しい聖剣をぶち折ってやろう!』
珍しく声を荒らげ、怒りの感情をさらけ出したメルに呼応して、ボクは目の前の聖騎士二人を睨み見た。
するとだ。
ボクを追放した聖騎士達の顔が重なってーー。
◇
「……ねぇ、聖騎士のひと!」
「あん?」
「なんですか? 魔族の少年」
二人の聖騎士の位置と、ウェドガーさんの距離を確認し、一歩ずつ歩み寄る。
ボクは聖騎士に向けて言った。
「あなたたちは、それなりに権威を持つ聖騎士なんですよね??」
「それなりだとぉ? けっ!! おいキルザ、この無礼極まるクソガキ今すぐぶっ殺してやろうぜ!?」
「ふっ……ハンス、まぁ少し待って下さい。私は彼の質問に少し興味が湧きました……で、それがどうかしましたか? 魔族の少年」
なるほど、片方のトゲトゲツンツン頭の聖騎士は短気で、長髪垂れ目の聖騎士は割と冷静沈着な性格をしてるんだね……!
攻略の突破口は短気な方にあるかも!
マルゲリフはどちらかといえば短気な方だったし、それを参考にするなら隙を突ける確率が高い。
……可能性ってだけで根拠は凄く弱いけど。
「魔族と人間の混血の子供を追放した聖騎士達のことを知っていますか?」
絶対に忘れられず、今も目を瞑らずとも思い出すあの時の記憶……絶対に忘れない。
「あ? ……えーと、どこの部隊だったっけ? なんか知ってる気がしなくもねえな」
「ハンス……私達と同じ『ロイヤルアークナイツ』の〝第4師団長アンソル殿〟のところの小隊でしょう?」
「……かあぁ! 今思い出した、なるほどアイツらか! あそこのブッサイクなライモンが副長を務めた例のアレだろ? 興味無えから忘れてたぜ」
やっぱり知ってた……!
ということはだ。
トゲトゲ頭と垂れ目の同じロイヤルなんたらかんたらの聖騎士たちだってこと。
ボクを追放したヤツらは、聖騎士達の中でも上位の騎士ということに相違ない。
……第4師団って事は、もっと強い騎士がいるんだろう。この聖騎士達は彼らよりも強い上位の聖騎士なんだろうか?
それにしてもボクを最も痛めつけた聖騎士の名前が〝ライモン〟小隊長が〝アンソル〟という名前なのがわかった。
「いけませんよハンス。貴方よりもアンソル殿は歳上なんですから、アイツら呼ばわりするのは好ましくありません」
「ふん! っても俺らより格下じゃねーかよ」
「やれやれ……ハンスはほんとガサツですねえ。もういいです、貴方に何を言っても無駄なようです」
「そうそう! いーんだよあんなヤツらのことなんざよぉ、それよりも第一師団長を務めるあのすまし顔の小僧をどうやって引きずり下ろしてやるかをだな……」
とりあえず彼らの情報は僅かだけど聞き出せた……!
それに、少しだけど時間稼ぎとして敵の意識を逸らす事は上手くいった。
ウルフィ、ファルルのこと頼んだよ……!
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