魔王様はレベル1の勇者に恋をする! 〜ヤンデレ系こじらせ魔王は愛する勇者のレベルを上げさせない〜

愛善楽笑

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19話 魔王のヤンデレは止まらない

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 私は今、『神託の勇者ユーナ・パーティーメンバー結成記念祝賀会』に参加している。

 魔王だけど。

 ところで、この『始まりの街アルファ』の某所にある大型冒険者ギルド内は今夜、ユーナとそのパーティーを組んだ者たちを祝う式典会場になっていたらしい。

 どうりでガヤガヤとうるさかったわけだ。

 そして私はもちろん、冒険者として『変装』『擬態』の魔法をかけてある状態。キノコには正体をバラしてしまったが、私は魔王として騒ぎを起こすつもりはない。

 というのも、ユーナのめでたい門出をお祝いするのも、魔王軍の頂点にして魔王たる私の使命。

 愛する者を応援するのは男として当たり前のことだ。

 ステージの最前列で、私はグラスワインを片手にユーナの登場を待っていた。

 もちろん、ユーナの姿をこの目いっぱいに焼きつけるための位置、そしてユーナに『私はいつも君を見守っているよ』というのをアピールするために。

 すると、準備ができたのかステージ端に冒険者ギルドの女性スタッフが我々に向けて一礼すると。

『それでは、神託の勇者ユーナ・ステラレコード率いる新生勇者パーティー・【天使の聖剣エンジェル・セイバーズ】結成記念祝賀会を開催いたします』

 丁寧な言葉遣いで、開会式の挨拶を始める。

 オープニングで紹介されるのはもちろん私のマイハニー、ユーナであるとのこと。

 あと紹介されるのは、その他のどーでもいーパーティーメンバーだそうだ。

 と、その時だった。

 私の魔導水晶板にDM通知音が鳴る。魔法電波はいつの間にか回復していたようだ。

 宛名を確認すると、送信元はなんて嬉しいことだろうか!

 私の愛する天使、ユーナからである。

『うう……ヨーケス聞いて。あんな? ユーナ、めっちゃ緊張しとる……』

 というメッセージに返信するべく、私は魔法文字をすぐさまポチる。

 私のユーナが緊張して困っているのだ、すぐにエールを送らねば! 少しでも彼女の不安を取り除いてやりたい!

【大丈夫だユーナ、私がついている。もしあまりに緊張しているようなら、私の時空魔法で時間を止めよう。だから安心するんだ】

 送信するとすぐに、ユーナが私のメッセージを見てくれたのか『既読』の文字がつく。

 そして、私がチラっとステージの袖から見えるユーナに視線を送ると、一拍おいてユーナからの返信が来る。

 私はすぐさま確認すると、内容はこうだった。

『あんな? よけーなことしよると、ユーナもうヨーケスと口聞かんからね? やけど、気持ちは嬉しい。ありがとヨーケス♡』

 というかわいいお返事。しかも私の名前の最後にハートマークだ。これはもう私とユーナの恋愛成就は近いのかもしれない。

 いや、待て! このステージはもしや……ユーナから私への公開告白ライブのために用意されたのではないだろうか!?

 ハートマークの意味はそういうことだろう? まったく、ユーナもかわいい演出をしてくれるなあ。
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