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第二章 「家族の想い」と「新たな路」
修行の日々5
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「旦那様方、ユーリ様とレイシェン様をお連れいたしました。」
執事長がノックをしてから扉を開けた。いつの間にか食堂についてたみたい。
「ユーリ殿、いきなりいなくならないでくださいよ。それに、先にレイに会ってしまわれるとは…。…順を追ってレイに紹介しようと思っていたのに。」
親し気にユーリ殿に近づいた父上が声を上げ、お小言を言っている。
「いやはや、申し訳ない。早く、貴殿が噂するレイ君の姿を見たくってな。」
「まったく…」
そんな風に二人が話をしていると、横から母上も話に入ってきた。
「小兄様、お久しゅうございます。」
「お!ティナか。元気にしていたかね?」
「ええ、もちろんですわ。」
「小兄様…??」
「あ!もしかして、レイが叔父上と会うのは初めてだったのか。」
状況が分からないでいる僕に兄上が話しかけてきた。
「え~っと、母上が小兄様と呼ぶ叔父上ということは、…母上の兄君ということですか?…」
「ああ、そうだよ。小生はレイ君の母であるティナの二番目の兄だ。改めて、初めましてだね。長い付き合いになるだろうけどこれからよろしく。」
父上と母上との話がひと段落したのか、ユーリ殿がこちらに声をかけてきた。
「こちらこそ初めまして…。ん?長い付き合いに…?」
「ありゃ…?これもまだ言ってなかった感じかな、ルーリス?」
穏やかに苦笑している。
「ええ、レイにはあなたの存在も言ったことはなかったですな。まあ立ったまま話すのもなんですし、晩餐にいたしましょうか。」
そんな父上の言葉とともに晩餐が始まった。
食事の最中も話は続く。
「あー…、カーウェルはユーリ殿にあったことがあったよな。」
父上が話を始めた。
「はい、父上。幼いころに幾度か勉強を教えていただきました。」
「そうか。ならば、初対面はレイだけだな。レイ、この人はティナの兄君の一人であり、今は宰相補佐の位についておられるユーリ殿だ。ハインリッヒ家出身で、お前からは叔父に当たり、さらに個人で子爵位も持っておられ……」
…宰相補佐…?この人が文官として高位に当たるくらいについている一人だというの…?
確かに、今まであったことがある中で一番所作が優雅ではあるけれども…。
父上の話の間もそんな考えに頭が埋められてしまった。
「おーい、レイ?聞いてるか?」
「っは!!申し訳ありません父上。ユーリ殿は宰相補佐をしていらっしゃるというのあたりからそのことに頭が占められてしまっていました。」
「あはは。噂通りだね~。でも、文官になることを望むなら最低限相手の話を聞けないのは減点だな~。まあ、とにかく小生は君の叔父に当たるよ~。よろしくね~。」
「はあ、相変わらず高位の文官だとは思えないほど軽いですね…。」
「ところで父上、なぜユーリ殿は、突然この家に来たのですか?私が5歳を過ぎたころから仕事が忙しくなったとかで、一度も会いに来られていなかったはずですが。」
兄上が話を進めようとしたのか声を上げた。
「おお、ルーリスの子とは思えないくらい鋭いね。実はね~、…」
「ユーリ殿!その話はまだレイにしておりません。俺たちからレイに話させていただきたいのですが。」
何かまずいことでも言おうとしたのだろうか。父上が慌てて止めている。
「小生がこの屋敷に来ているのに、なんでまだ話してないのさ…。」
「それは、ユーリ殿が帰宅しようとしていた俺の馬車に突然乗り込んできたからでしょう…。まったく。」
「あはは~、そうだったねー。まあ、とりあえずちゃちゃっと話しちゃいなよ。」
なんだか、話の雲行きが怪しくなってきた気がする…。
執事長がノックをしてから扉を開けた。いつの間にか食堂についてたみたい。
「ユーリ殿、いきなりいなくならないでくださいよ。それに、先にレイに会ってしまわれるとは…。…順を追ってレイに紹介しようと思っていたのに。」
親し気にユーリ殿に近づいた父上が声を上げ、お小言を言っている。
「いやはや、申し訳ない。早く、貴殿が噂するレイ君の姿を見たくってな。」
「まったく…」
そんな風に二人が話をしていると、横から母上も話に入ってきた。
「小兄様、お久しゅうございます。」
「お!ティナか。元気にしていたかね?」
「ええ、もちろんですわ。」
「小兄様…??」
「あ!もしかして、レイが叔父上と会うのは初めてだったのか。」
状況が分からないでいる僕に兄上が話しかけてきた。
「え~っと、母上が小兄様と呼ぶ叔父上ということは、…母上の兄君ということですか?…」
「ああ、そうだよ。小生はレイ君の母であるティナの二番目の兄だ。改めて、初めましてだね。長い付き合いになるだろうけどこれからよろしく。」
父上と母上との話がひと段落したのか、ユーリ殿がこちらに声をかけてきた。
「こちらこそ初めまして…。ん?長い付き合いに…?」
「ありゃ…?これもまだ言ってなかった感じかな、ルーリス?」
穏やかに苦笑している。
「ええ、レイにはあなたの存在も言ったことはなかったですな。まあ立ったまま話すのもなんですし、晩餐にいたしましょうか。」
そんな父上の言葉とともに晩餐が始まった。
食事の最中も話は続く。
「あー…、カーウェルはユーリ殿にあったことがあったよな。」
父上が話を始めた。
「はい、父上。幼いころに幾度か勉強を教えていただきました。」
「そうか。ならば、初対面はレイだけだな。レイ、この人はティナの兄君の一人であり、今は宰相補佐の位についておられるユーリ殿だ。ハインリッヒ家出身で、お前からは叔父に当たり、さらに個人で子爵位も持っておられ……」
…宰相補佐…?この人が文官として高位に当たるくらいについている一人だというの…?
確かに、今まであったことがある中で一番所作が優雅ではあるけれども…。
父上の話の間もそんな考えに頭が埋められてしまった。
「おーい、レイ?聞いてるか?」
「っは!!申し訳ありません父上。ユーリ殿は宰相補佐をしていらっしゃるというのあたりからそのことに頭が占められてしまっていました。」
「あはは。噂通りだね~。でも、文官になることを望むなら最低限相手の話を聞けないのは減点だな~。まあ、とにかく小生は君の叔父に当たるよ~。よろしくね~。」
「はあ、相変わらず高位の文官だとは思えないほど軽いですね…。」
「ところで父上、なぜユーリ殿は、突然この家に来たのですか?私が5歳を過ぎたころから仕事が忙しくなったとかで、一度も会いに来られていなかったはずですが。」
兄上が話を進めようとしたのか声を上げた。
「おお、ルーリスの子とは思えないくらい鋭いね。実はね~、…」
「ユーリ殿!その話はまだレイにしておりません。俺たちからレイに話させていただきたいのですが。」
何かまずいことでも言おうとしたのだろうか。父上が慌てて止めている。
「小生がこの屋敷に来ているのに、なんでまだ話してないのさ…。」
「それは、ユーリ殿が帰宅しようとしていた俺の馬車に突然乗り込んできたからでしょう…。まったく。」
「あはは~、そうだったねー。まあ、とりあえずちゃちゃっと話しちゃいなよ。」
なんだか、話の雲行きが怪しくなってきた気がする…。
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