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第二章 「家族の想い」と「新たな路」
修行の日々1
しおりを挟む「……後ちょっとだよ、レイ。」
そんな声が僕の耳に届く。
さて、僕は今、何をしているでしょ~うか?
正解は、………母上と一緒に庭を走っています!
初の外出の翌日である今日、日の出の前に母上に起こされ、走り始めました。
曰く、体力をつけるためなんだとか。
「ゼぇ、ゼぇ……。母上、もう無理です。」
二週目に差し掛かり、そろそろ限界が近づいている。
母上に必死に訴えかける。
「もう、レイってば。弱音を吐かないの。」
母上、厳しいです……。
「母上、レイはまだ一歳と少しなのですよ。もう少し手加減してもよいのでは?」
近くで、昨日もらった剣を慣らすため、素振りをしていた兄上が救いの手を差し伸べてくれた。
「…………それもそうね、ごめんなさい。レイはまだ幼いってこと忘れてたわ。」
そう言って母上は走るのを辞めた。
「はぁ、はぁ………。つ、疲れました。」
「それじゃあ、鍛錬の終わりにする柔軟を教えるわね。」
「え……、まだ、終わらないのですか………?」
「ほら、すぐに終わるから。レイ、鍛錬をやりっぱなしにすると体に良くないのよ。これをすることで、疲れた筋肉をほぐれ、回復が早めるの。鍛錬の終わりと寝る前には必ずすること。いいわね。」
「は~い。」
柔軟も終わり、僕は、疲れた体を引きずるように食堂に向かう。
体が弱るからと、セバスに運んでもらうのを禁止されたのだ。
「大丈夫ですか?レイシェン様。」
「だ、だいじょうぶだよ、シェバス。」
あ!せ、せっかく活舌をよくしようって気をつけていたのに…。
僕がひそかに落ち込んでいると、
「レイシェン様、焦らずに頑張ってくださいね。かわいらしい子供時代はあまり長くは続かないのです。生き急ぐのはあまりよくないですよ。」
こんな風に言われてしまった。
「う、うん。そうだね。」
もしかすると、僕はアンジュとの約束をかなえたいと、焦っていたのかもしれない。
自分のペースを忘れずに頑張ろう。そう心に刻み込む。
ようやく食堂に着いた。
「「「「いただきます。」」」」
挨拶とともに、いつもの朝食が始まる。
「レイの初の鍛錬はどうだった、ティナ?」
父上が尋ねる。
「一歳にしてはとても頑張っていますわ、ルーリス様。」
いつも道理のあまあまな二人である。
「そうか、ならばよかった。これからも励むんだぞ。にしてもレイの記念すべき初鍛錬が見られないだなんて…。」
「父上。そんなに見たかったなら何で来なかったのですか?」
兄上が尋ねた。
「あ、ああ。レイの家庭教師をしてくれる人を探していたんだよ。」
「そ、それで?見つかったのですか?」
父上はもう僕のために探し始めてくれていたらしい。
「もう数人候補は決めたんだけどな~。レイの望んでいるのは、俺が分からない習い事が多いだろ。だから、決めてかねて悩んでるんだよ。」
「でしたら、私たちで、面接でもしてみたらいかがでしょう。」
「うむ。それならいいかもしれないな!候補に挙げている者の中には国内にいないやつもいるから、移動時間も考えて、従騎士認定試験後の3か月後あたりにするか。」
「え、それでは私はレイの家庭教師の選考に関われないではないですか。」
兄上がむくれて言う。
「カーウェルも関わりたかったの?」
「もちろんですよ母上。愛しい弟を任せるんですよ。」
「弟思いなのはいいことだが、今は目先の試験に集中しなさい。」
「むぅ。仕方ないですね……。」
兄上の反発もあったがそんなこんなで、僕の家庭教師の選考の日程は決まった。
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