帰還してもファンタジーは続く~一つの世界を滅ぼした男は悪なのか~

 異世界に召喚されてから数千万年という途方もない時間が経過した。

 全ての生命を滅ぼし、世界の理そのものを破壊し、一つの世界を滅ぼした彼。
 彼もまた世界と共に消えゆくはずだった。

 彼を繋ぎとめたのは数千万という時間の中で薄れ、途切れてしまった元の世界とのつながり。
 最後に残った運命という名のか細い繋がりに導かれ彼は帰還を果たす。

 元の世界に戻った彼は失ったはずの日常を取り戻した。

 しかし非現実との邂逅を果たした者はその輪廻から逃れることは出来ない。

 彼の日常は非日常と化す。

 しかし彼の力は健在だ。
 無事を有事に有事を無事に、世界の全ては思いのまま。

 彼の力を人は”奇跡”と呼ぶ―――
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