スペースウォーリャーズ

大和煮の甘辛炒め

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phase1 三章 第十一回イベント

三十五話 第十一回イベント-最終準備

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第十一回イベントの二日前、地球防衛機構のフロンタル基地にプレイヤーが集結していた。

ログインした俺はありえないほどの混雑状況に放心する。

「え?なにこれ」

「おーい、ハナサギ」

ミネーが人をかき分けてこちらに向かってくる。

「ミネー、これって、、、、、」

「一昨日発表された情報でみんなやる気出したみたいだな。カガリの一押しもあってだろうが」

「勝利特典が『スペースウォーリャーズ2』へのデータ引き継ぎだったよな。また一からやり直させるつもりだったのか?」

「うーん、どうなんだろ。なんでも良いから特典にしてやれっ!て感じなのかもな」

「イベントは明後日だよな?なんで今日集まったんだ?」

「作戦立案だろ?前回の総力戦をベースにした作戦を立てるらしいぞ。前回は結局おじゃんになってカガリ一人で敵を全滅させたらしいけど」

「えぇ、、、、、」

「今司令室で作戦会議中だぜ。無茶なものじゃなきゃ良いけど、、、、、」

ミネーがそう言ってその場を去る。

その司令室では、

「前回の総力戦の内容から推測するに、リスポーン制限はあるだろう」

カガリが推測を口にする。

「一回やられればそれで終了、ってことね」

ユカがため息混じりに言う。

「敵の数もとんでもないわよね」

「恐らくな。イベント概要の内容は前回のと対して変わっていないようだったし、序盤は大規模戦闘、中盤にトンデモ兵器、終盤にラスボス出撃って流れだろう」

「編成は?」

テリアンクランのグレイスが尋ねる。

「序盤の大規模戦での損害を考慮していないと痛い目見るよ」

ブルーファイターズクランのカナが続ける。

「トンデモ兵器は、、、、、私たちが対応するとして、ラスボスは誰がやるの?カガリがやるに越したことはないけど」

「大まかな編成は決めようと思っているが、戦況次第になりそうだ。まぁプレイヤーの数はかなり多いし、よほどのことがない限り数が足りなくなることは無いだろ」

「今回は運営が相手だしね、計画通りには進められないよ」

「とりあえず生き残ることを優先させよう」

グレイスが立ち上がる。

「じゃ、アタシもこれで」

カナも席を立つ。

「みんなもせいぜい墜とされないように頑張ってね」

「それぞれのクランメンバーにも伝えておいてくれ」

カガリが笑いながら言う。

「んで、君はどうするの?またオペレーター?」

カガリがニヤニヤしながらユカに尋ねる。

「、、、、、!い、嫌よ!」

何かを察したユカが顔を真っ赤にして否定する。

「なんで、かっこよかったじゃないか。エリアルディノ、、、、、」

「恥ずかしいからやめてぇぇっ!!」

ユカが司令室から飛び出して行った。

「勿体無いな、彼女もかなりの戦力になると思うんだがなぁ」

カガリがぼやく。

⭐️⭐️⭐️

守岡が会議室に部下を集めていた。

「明後日、第十一回イベント、総力戦が開催される。我々の持てる全ての技術を使ってハナサギを倒し、シンギュラリティがカガリだけだと証明するぞ」

「チート対策部門と協力者達も準備出来ています」

守岡直属の部下が守岡を横目に尋ねる。

「ホントに『エリアルアイリス』に乗るんですか?」

「乗るさ。豊さんと一緒にな」

「人間が電子世界に意識を移すことなんか出来るんですか?いくらヒナタを創ったとはいえ、、、、、」

「出来るさ。豊さんは天才だ。それに『エリアルアイリス』は俺たちの陣営で唯一ヒナタに対抗できる機体だ。万一ヒナタがハナサギ側に着いたときの対策は『エリアルアイリス』と、、、、、」

「そちらの方も抜かりなく」

「よし、全員明後日の第十一回イベントに備えろ」

守岡が部下たちに言い放つ。

⭐️⭐️⭐️

ハナサギは格納庫をずっと歩き回っていた。

お目当てはエリアルワンダーランド、アリスのアーマードスーツだが、、、、、。

「やっぱり無い。アイツ今日大学にすら来なかったし」

「探してるのは彼女ちゃんかい?」

後ろからカナが肩に手を回してきた。

「わっ、びっくりした!」

俺は大きな声を出してしまった。

「アリスって言ったっけ?」

カナがニヤニヤする。

「いなくて寂しいのかい?」

「そんなんじゃ無くて、心配なだけです」

「ほーん、じゃ伝えとくけどアリスちゃんとはイベントの中盤か終盤でしか会えないと思うよ」

「は?それって、、、、、」

「じゃ、早々にリタイアしないようにがんばろーねー」

カナが俺のほっぺたを人差し指でグリグリして踵を返す。

「、、、、、なんだったんだ?」
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