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phase1 一章 赫翼のエリアルヘロン

五話 救出作戦(1)

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 「いやー、ハナサギ君を誘って正解だったねー」
ハナサギ達は格納庫を抜けて、通路を通っていた。

アリスがハナサギの脇腹を小突く。

「幸いハナサギの情報は他には伝わってないし、他のクランに囲い込まれることもないだろうよ」

ミネーの発言に俺は首を傾げる。

「どう言うこと?」

「お前みたいな将来有望株をそこいらに放っておく訳にはいかないだろ。しつこいようだが始めたてで赤蛇撃破ってとんでもないからな」

「対人戦でも期待できるしね。武闘派クランは喉から手が出るほど欲しいんじゃないかな、ハナサギ君のこと」

はー、そう考えると『ピースコンパス』に転がり込めたのは運が良かったのかな?

「対人戦か、、、、」

「安心して。私達はそんな物騒なことに首を突っ込んだりしないから」

ユカが笑いながら言う。

「物騒って、このゲームって対人戦がメインじゃないんですか?」

「それはイベントの時ね。なんにもない平場でガヤガヤプレイヤー同士で殺し合ってる奴らとは関わらないことにしてるのよ」

そう言いながらユカが目の前にタブレットを出現させる。

「これはね、『ノアの方舟』を動かすことができる人専用のタブレットよ。行き先であったり、戦闘態勢に移行するかの判断なんかも決めることができるのよ」

「へー、今からブレイクコロニーでしたっけ、そこに行くんですよね」

「うん、ヴァリュートにハナサギ君のこと紹介しないとだしね」

アリスがハナサギの方を振り向いてニッコリ笑う。

「あら、ヴァリュートからメッセージが来てる」

ユカがメッセージボックスを開く。

「どれどれ、、、、え!?」

「どしたの?」

アリスが覗き込む。

「うわぁ、、、、」

アリスの顔が引き攣る。

「なんだなんだ」

「ヴァリュートがエリアルSプライマルと遭遇、攻撃を受けたため潜伏中、救援を求む。だって、、、、」

「えー、、、、諦めてもらおうぜ」

「俺も賛成だ」

血も涙もない奴らだ。ミネーもヨッシーも嫌そうな顔をしている。

「別に倒せって言ってるわけじゃないの。ヴァリュートを見つけて即撤退する。それだけじゃない」

ユカが二人を睨みながら言う。

「それだけの作戦で今ある戦力を壊滅させられるかもしれんのだぞ」

「行こうよ」

俺はとりあえず発言した。助けを求めてるんなら応えてあげるべきだろ。

「マジかよ、いくらお前でもアレには勝てないぜ?」

ヨッシーが半ば呆れたように言う。

「勝つ必要は無いって言ってたじゃ無いか。それに助けを求めてる人を放っては置けない」

「ハナサギ君の言うとうり、勝つ必要は無い。ヴァリュートを救出するだけ。ブレイクコロニーから離れた場所にワープするわ。プライマルに気取られると厄介だからね」

「はあ、分かったよ。全くお前には敵わないよ」

ヨッシーが俺の肩をポンと叩いて今きた道を戻っていく。

「頑張ってヴァリュートを助けようね」

アリスが親指を立てる。

ミネーも苦笑いしながら頷く。

俺もついていかないとな。

⭐️⭐️⭐️
件のブレイクコロニーの一角。

朽ち果てたソーラーパネルの影に一機の紫色と灰色のエリアルアーマードスーツが隠れている。

救難信号を発したヴァリュートである。

機体名はエリアルゴースト。
ブレイクコロニーにて、ジャンク漁りをしていたところ、エリアルSプライマルから襲撃を受けそれを迎撃、見事に返り討ちにあい敗走。

十人いた味方は全滅、現在は交戦を避け身を潜めている。

遠くからコロニーの残骸が崩れる音がする。

「ち、虱潰しに探してやがるのか、、、、エリアルSプライマルどころか、エリアルフェンリルまでいるのか。迂闊に動けば速攻でやられる」

操縦桿を握る手が震える。

「早く来てくれ、、、、!」

⭐️⭐️⭐️
『ノアの方舟』はブレイクコロニーから少し離れた場所にワープした。

格納庫の扉が開き、宇宙空間が目の前に広がる。

エリアルヘロンのコックピットで待機していると、ヘルメットに内蔵されているマイクからユカの声が聞こえてきた。

そろそろだな。ふぅー、緊張してきた。

「今回作戦に投入されるアーマードスーツは八機よ。エリアルが四機、フルファイトとフルディフェンスが二機ずつ。エリアルが敵の気を惹きつけ、その間にフルファイトとフルディフェンスがヴァリュートを救出する算段よ」

「救出が終われば即座に撤退して良いんだよな?」

ミネーが尋ねる。

「勿論、長居は無用よ。さ、準備出来次第発進しなさい!」

「了解。エリアルシュトレイン、発進!」

エリアルシュトレインがカタパルトから射出される。

「エリアルワンダーランド、いっくよー!」

「エリアルガスター、出る!」

アリスとヨッシーの機体も射出される。

手が微かに震える。大丈夫、俺なら大丈夫。そう信じよう。

大きく深呼吸する。

エンジンが唸りを上げる。

エンジン音の昂りと共に気持ちも昂っていく。

ペダルを踏み込み、操縦桿を前に倒す。

「エリアルヘロン、発進!」
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