魔王を倒した勇者

大和煮の甘辛炒め

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終章 魔王討伐へ

四十四話 戦域到達

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「第一次殲滅攻撃開始!」

ボーデッサンが命じる。

「何を言っておられるのですか!そんなことをしたら味方が大勢犠牲になります!」

軍の司令官が訴える。

「わらわは女王である、口答えするでない」 

ボーデッサンが圧をかける。

「く、分かりました」

司令官が諦めたように命令をだす。

「エルフ達に伝えろ。殲滅攻撃だ」

「り、了解しました!」

副官がその場を立ち去る。

『このくそ女め、気ィ狂ってんのか?B級魔獣数体と不死兵アンデッドおよそ五千匹に対して殲滅攻撃?しかも第一次とか言ってるし、あーパンタロン殿、早く猛者達を連れてきてー』

司令官が嘆く。


⭐⭐⭐

エルフ達が空爆を発動し、戦場の至るところから炎が立ち上る。

「おい、味方のことも考えろよ!」

一般兵から非難の声が上がる。

「そんなこと言ってる場合か!魔獣が来るぞ!」

兵士達が魔獣を取り囲む。

「うおおあ!」

兵士達が一斉に飛びかかる。

それを上から見ている人影があった。

「さて、あたしのデビュー戦、華々しくいかせてもらいますわ」

キュールが姿を巨大なドラゴンに姿を変える。

「グオオオオオ!」

咆哮で兵士達が吹っ飛ぶ。

「うわああ!」

「総員退却!」

エルフ達も空爆を中止し、キュールに火力を集中させる。

「効かぬわ!」

キュールは攻撃を意に介せず、エルフ達に向かって青白い炎を吐く。

「エレメントシールド……」

数十名のエルフが力を合わせて防御魔法を発動したが、一瞬で切り裂かれた。

エルフ達がいたところが消し飛ぶ。

「ふん、軟弱よのう」

キュールが呆れ返る。

そこにペラコントが跳んできた。

「取り敢えず半分は殺ったな」

「ええ、反対側にもエルフの集団がいるわ。そいつらさえやれば……うっ!」

「いっ!」

キュールとペラコントがビクッとする。

「感じたか?」

「ええ、ひしひしと感じる。強者の圧を」

ペラコントとキュールが警戒する。

トルキとココルも圧倒的な気配を感じとる。

「とんでもないのがいるみたいだね」

「ですが、魔王様の手を煩わすほどでも無さそうです」

トルキが微笑みながら言う。


⭐⭐⭐

『コイツら、凄い威圧だな』

アスフェンが前方を走るバルク達を見る。

「あんなに圧を出したらバレちまう」

ブリエッタが言う。

「でも、そのお陰でヴェスレイとブリエッタの存在がマークされにくい。正直あの子達は囮に過ぎないわ」

イザベラが好き勝手ほざく。

『お前も囮側だろ』

アスフェンはそう思ったが、口には出さなかった。

「見て、旧市街地の上空に大きなドラゴンが!」

アリスが指を指す。

「そろそろ行くか」

「おう!」

アスフェンとブリエッタが先頭に出る。

「さすが英雄、先陣切るんすか!」

バルクが隣に並ぶ。

ヴェルフェゴールも負けじと隣に並ぶ。

「おっさんなんかに負けてられるかよ!」

アスフェンが溜め息をつく。

「ったく、お前らは」

「良いじゃねえか、あんときみたいでよ!」

ブリエッタが豪快に笑い飛ばし、棍棒を握る。

他の者も武器を手にする。

「最短で行くぞ!」

アスフェン達が激戦の繰り広げられている旧市街地に突入していく。


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