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三章 人魔戦線
三十八話 最強の魔術師(2)
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『しくじった、まさか帝王種固有の能力で仕掛けられるとは……!反魔法結界に反応が無かったのはそういうことね……!』
フュートレックが上から降ってくる二人を見ながら思慮を巡らせる。
『取り敢えずインパクトの瞬間にミラーシールドを展開する。地面に降りてあげるわ、そうじゃないとアスフェンとの結婚式をあげられないから』
アスフェンとアリスが各々の武器を振り下ろす。
「「オラァ!」」
「ミラーシールド!」
白い盾が二人の攻撃を受け止める。
「うおおお!」
アリスがありったけの力を込める。
「俺達も行くぞ!」
「うん!」
パンタロンとチュンチュンが白い盾に蹴りを叩き込む。
「こっからが本番だぞ!」
パンタロンが皆を鼓舞する。
「ふっ」
フュートレックが不敵に笑う。
盾が割れ、フュートレックが落ちていく。
「ちびっ子、アスフェンを掴んでやれ」
パンタロンがアリスを抱えて言う。
「ちょっと、胸に手が当たってるわよスケベおじ様!」
「そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!」
「そうだよ、これからどうするの?」
アスフェンを抱き抱えたチュンチュンが尋ねる。
辺りが結界に包まれる。
「チュンチュン、俺をしたまで全力で投げろ!」
アスフェンが叫ぶ。
「え、危ないよ!」
「速く!」
「分かった、おりゃ~!」
チュンチュンがアスフェンをぶん投げた。
次の瞬間、地面から無数の手が伸びてきた。
それらはアスフェンによって一瞬で切り刻まれた。
「アスフェンがいなけりゃ俺達やられてたかもしれんな」
パンタロンが冷や汗をかく。
「う、うん。あの人凄いね」
チュンチュンが同意する。
⭐⭐⭐
地上から空を眺めていたフュートレックは召喚した手が切り刻まれたことに気が付くと同時に腕を硬質化させた。
それは正しい判断だった。
瞬く間にアスフェンがフュートレックに迫ったのだ。
「はあん!闘ってるあなたの姿たまんないわ!腰砕けちゃいそうよ!」
フュートレックがそう言いながらアスフェンを蹴り飛ばす。
「くっ」
アスフェンが体勢を整える。
「そのわりに、随分腰の入った蹴りじゃないか」
「腰が砕けちゃやることやれないわ」
「……やることって何?」
上から魔弾丸が降り注ぐ。
フュートレックが律儀に避ける。
「アスフェン、畳み掛けろ!」
急降下してきたパンタロンがアリスをぶん投げた。
「うぎゃぁぁぁ!バカ投げないでよ!スケベおじ様ァァ」
アリスが涙目で叫ぶ。
剣が燃え上がる。
アスフェンが構える。
「『白夜』」
アスフェンが呟く。
フュートレックの身体に衝撃が伝わる。
『うふッ、衝撃波を飛ばす業……他の女にその業見せたのかしら』
フュートレックが吹っ飛ぶ。
「えぇー!」
アリスが地面に突っ込む。
「あ、すまん」
アスフェンが謝る。
「ちょっと!来ますよ!」
アリスが直ぐに起き上がって剣を構える。
四方八方から手が伸びてきて捻り潰さんと追いかけてくる。
パンタロンとチュンチュンは空、アスフェンとアリスは地上で手から逃れようとする。
「キャハハハハ!」
フュートレックが狂ったように笑いだす。
アスフェンに抱き続けた恋心が悪意の奔流となって溢れだす。
『一本潰したら十本沸いてきやがる。キリがない!』
パンタロンが襲い来る手の間を縫うように飛び回る。
『俺の魔力は残り半分といったところか……本当にここまで消費するとは思わなかった』
チュンチュンもフュートレックの周りを複雑に飛びながら手を避ける。
『アリスから血をもらったけど、もう足んなくなっちゃいそう』
チュンチュンが苦しげな表情をする。
「もう限界なんじゃない?吸血鬼」
「舐めないでよね!はぁぁ!」
チュンチュンがフュートレックに殴りかかるが、手によって打ち払われる。
「ゴフッ」
チュンチュンが大量に吐血する。
チュンチュンが地面に転がる。
「チュンチュンがヤバイ!」
アリスがそう叫んでチュンチュンの援護に入ろうとしたが、手の攻撃に身動きが取れない。
「くそったれ!」
パンタロンが何とか回収したが、手の攻撃によってチュンチュンは片腕を失ってしまった。
「しっかりしろちびっ子!」
パンタロンが必死に呼び掛ける。
『まずい、押しきられる!』
チュンチュンがパンタロンの手を振りほどき、攻撃を仕掛ける。
「ブラッドスピア!」
血の槍が屈折し、何本もの手を貫いてひとまとめに縛り上げる。
「無理するんじゃないぞ……」
チュンチュンの様相にパンタロンが押し黙る。
チュンチュンの身体中に血管が浮かび上がる。
目も充血している。
帝王種の吸血鬼の完全暴走状態。
脳内麻薬の分泌、身体強化、血液の超精密操作の効果を得ることができる。
代償は基本は死、運が良ければ一命を取り留める。
『ここで潰れる訳にはいかない、みんなの負担が大きくなっちゃう』
「何とか打開策を……」
パンタロンが呻いた時、凛とした声が聞こえてきた。
「突然戻ってこいなんて言うから何かと思えば……」
白髪の美女が仲間と共に歩いてくる。
「私達の故郷で暴れてんじゃねえ!」
シャルロッテが怒鳴って襲い掛かる手を切り払った。
「『スターハイツ』これより戦闘に移るぞ!」
フュートレックが上から降ってくる二人を見ながら思慮を巡らせる。
『取り敢えずインパクトの瞬間にミラーシールドを展開する。地面に降りてあげるわ、そうじゃないとアスフェンとの結婚式をあげられないから』
アスフェンとアリスが各々の武器を振り下ろす。
「「オラァ!」」
「ミラーシールド!」
白い盾が二人の攻撃を受け止める。
「うおおお!」
アリスがありったけの力を込める。
「俺達も行くぞ!」
「うん!」
パンタロンとチュンチュンが白い盾に蹴りを叩き込む。
「こっからが本番だぞ!」
パンタロンが皆を鼓舞する。
「ふっ」
フュートレックが不敵に笑う。
盾が割れ、フュートレックが落ちていく。
「ちびっ子、アスフェンを掴んでやれ」
パンタロンがアリスを抱えて言う。
「ちょっと、胸に手が当たってるわよスケベおじ様!」
「そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!」
「そうだよ、これからどうするの?」
アスフェンを抱き抱えたチュンチュンが尋ねる。
辺りが結界に包まれる。
「チュンチュン、俺をしたまで全力で投げろ!」
アスフェンが叫ぶ。
「え、危ないよ!」
「速く!」
「分かった、おりゃ~!」
チュンチュンがアスフェンをぶん投げた。
次の瞬間、地面から無数の手が伸びてきた。
それらはアスフェンによって一瞬で切り刻まれた。
「アスフェンがいなけりゃ俺達やられてたかもしれんな」
パンタロンが冷や汗をかく。
「う、うん。あの人凄いね」
チュンチュンが同意する。
⭐⭐⭐
地上から空を眺めていたフュートレックは召喚した手が切り刻まれたことに気が付くと同時に腕を硬質化させた。
それは正しい判断だった。
瞬く間にアスフェンがフュートレックに迫ったのだ。
「はあん!闘ってるあなたの姿たまんないわ!腰砕けちゃいそうよ!」
フュートレックがそう言いながらアスフェンを蹴り飛ばす。
「くっ」
アスフェンが体勢を整える。
「そのわりに、随分腰の入った蹴りじゃないか」
「腰が砕けちゃやることやれないわ」
「……やることって何?」
上から魔弾丸が降り注ぐ。
フュートレックが律儀に避ける。
「アスフェン、畳み掛けろ!」
急降下してきたパンタロンがアリスをぶん投げた。
「うぎゃぁぁぁ!バカ投げないでよ!スケベおじ様ァァ」
アリスが涙目で叫ぶ。
剣が燃え上がる。
アスフェンが構える。
「『白夜』」
アスフェンが呟く。
フュートレックの身体に衝撃が伝わる。
『うふッ、衝撃波を飛ばす業……他の女にその業見せたのかしら』
フュートレックが吹っ飛ぶ。
「えぇー!」
アリスが地面に突っ込む。
「あ、すまん」
アスフェンが謝る。
「ちょっと!来ますよ!」
アリスが直ぐに起き上がって剣を構える。
四方八方から手が伸びてきて捻り潰さんと追いかけてくる。
パンタロンとチュンチュンは空、アスフェンとアリスは地上で手から逃れようとする。
「キャハハハハ!」
フュートレックが狂ったように笑いだす。
アスフェンに抱き続けた恋心が悪意の奔流となって溢れだす。
『一本潰したら十本沸いてきやがる。キリがない!』
パンタロンが襲い来る手の間を縫うように飛び回る。
『俺の魔力は残り半分といったところか……本当にここまで消費するとは思わなかった』
チュンチュンもフュートレックの周りを複雑に飛びながら手を避ける。
『アリスから血をもらったけど、もう足んなくなっちゃいそう』
チュンチュンが苦しげな表情をする。
「もう限界なんじゃない?吸血鬼」
「舐めないでよね!はぁぁ!」
チュンチュンがフュートレックに殴りかかるが、手によって打ち払われる。
「ゴフッ」
チュンチュンが大量に吐血する。
チュンチュンが地面に転がる。
「チュンチュンがヤバイ!」
アリスがそう叫んでチュンチュンの援護に入ろうとしたが、手の攻撃に身動きが取れない。
「くそったれ!」
パンタロンが何とか回収したが、手の攻撃によってチュンチュンは片腕を失ってしまった。
「しっかりしろちびっ子!」
パンタロンが必死に呼び掛ける。
『まずい、押しきられる!』
チュンチュンがパンタロンの手を振りほどき、攻撃を仕掛ける。
「ブラッドスピア!」
血の槍が屈折し、何本もの手を貫いてひとまとめに縛り上げる。
「無理するんじゃないぞ……」
チュンチュンの様相にパンタロンが押し黙る。
チュンチュンの身体中に血管が浮かび上がる。
目も充血している。
帝王種の吸血鬼の完全暴走状態。
脳内麻薬の分泌、身体強化、血液の超精密操作の効果を得ることができる。
代償は基本は死、運が良ければ一命を取り留める。
『ここで潰れる訳にはいかない、みんなの負担が大きくなっちゃう』
「何とか打開策を……」
パンタロンが呻いた時、凛とした声が聞こえてきた。
「突然戻ってこいなんて言うから何かと思えば……」
白髪の美女が仲間と共に歩いてくる。
「私達の故郷で暴れてんじゃねえ!」
シャルロッテが怒鳴って襲い掛かる手を切り払った。
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